流浪の運命共同体~長野・山梨・静岡・男女殺害遺棄事件①~

「なぜ母が殺されなければならなかったのか。そしてなぜ、姉がそれに加担したと言われるのか、まったく理解できません。
ふたりは仲の良い母娘でした……」

黒磯市役所で記者会見に応じた男性は、悔し涙をにじませた。
傍らには、妻の姿もあったが、この二人は一歩間違えれば今頃生きていなかったかもしれなかったのである。
ふたりは生き延びたが、入れ替わりに行方不明になった男性の母と姉は、壮絶な人生を送る羽目になってしまった。 続きを読む 流浪の運命共同体~長野・山梨・静岡・男女殺害遺棄事件①~

流浪の運命共同体~長野・山梨・静岡・男女殺害遺棄事件②~

金づる





上原は、この放浪生活は実に3度目だった。
1度目は1997年ころ、トラック運転手をしていた上原は闇金からの借金を逃れるために、当時の妻と自身の両親に、「暴力団と土地をめぐってトラブルになったので逃げよう」と騙し、2か月ほど各地を転々としていた。
その後は離婚しいったん落ち着いたものの、1998年9月に闇金に居場所を突き止められてしまい、今度は交際中だった現在の妻とともに車上生活を送る。その期間、なんと2年である。
上原は筋金入りの放浪のプロだったのだ。 続きを読む 流浪の運命共同体~長野・山梨・静岡・男女殺害遺棄事件②~

流浪の運命共同体~長野・山梨・静岡・男女殺害遺棄事件③~

母娘

警察は、上原のほかに、悦子さんの娘である美緒も、悦子さんを殺害した容疑で逮捕、送検していた。
しかも、当初暴行を加えたのは美緒であり、上原はそれに加担した、といった報道だった。
上原も、裁判では「もともと合流した当初から、母娘の中は悪かった。日ごろから美緒は悦子さんと口論が絶えず、存在を疎ましいと感じていた」といった主旨の発言をしていた。
そのうえで、殺害に至った当日も、口論から美緒が悦子さんに暴行を加えているところへ、上原と中里さんが加担した、とされていた。 続きを読む 流浪の運命共同体~長野・山梨・静岡・男女殺害遺棄事件③~

「うじ虫」と呼ばれた妻が遂げられなかった本懐~伊丹市・夫殺害未遂事件~




平成13年8月15日

「うじ虫。出ていけばええやん。」

夫の暴言は今に始まったことではなかった。これまでに何度、どれほどの暴言を吐かれてきたか。
いつものように、言い返すこともできた。いつものように、とりあえず外へ逃げて気分を落ち着かせることもできた。

けれどこの日、妻は逃げなかった。
妻は台所で文化包丁を手に取ると、茶の間で寝そべってテレビを見ながら馬鹿笑いを続ける夫の背後に、静かに正座した。

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娘を守りたかった父に遺族が叫んだ「そこまでするか」~久慈市・男性傷害致死事件~




平成13年5月17日

その夜、父親は自宅の娘の部屋から男の声が聞こえることに驚いた。
「なんで男がいるんだ?」
不審に思った父親は、そっと娘の部屋を覗くと、そこには娘とその女友達、そして見知らぬ男がいて一人酒を飲んでいた。
男はすでに酩酊状態に見え、父親が何をしている、どこの誰なんだ、と問い詰めても、一向に意に介さない風でへらへらと酒を飲んでいた。
娘にも状況を訊ねるも、なぜか娘とその女友達もその男がどこの誰でどういう関係なのか、なぜここにいるのか要領を得ない。
「今すぐ出て行け。」
父親が怒鳴ると、男は捨て台詞を吐いて部屋を出た。 続きを読む 娘を守りたかった父に遺族が叫んだ「そこまでするか」~久慈市・男性傷害致死事件~