家と家族を焼かなければ手に入らなかったもの~熊谷・一家3人放火殺人事件①

平成18年12月下旬

「誰がやったんだろう、怖いね……
埼玉県熊谷市のとある民家で、軒先の鉢植えに火がつけられる「事件」が起こった。
火の気がないのは明らかで、大事には至らなかったものの、誰が、なぜこのようなことをしたのか、その民家の住民のみならず、近隣では回覧板を回すなどして注意を呼び掛けた。

年の瀬でもあり、季節がら火を使う家も少なくないため、いくつかの家では煙探知機などの警報器をつけたという。

しかし、その「事件」からおよそ一か月、その民家から1.5kmほど離れた別の家が燃えた。 続きを読む 家と家族を焼かなければ手に入らなかったもの~熊谷・一家3人放火殺人事件①

家と家族を焼かなければ手に入らなかったもの~熊谷・一家3人放火殺人事件②~

見えない動機

綾は逮捕当時、「灯油をまいてライターで火をつけた。3人を巻き添えにして自分も死のうと思っていた」と話していた。
精神的に不安定だった綾が、突発的に無理心中を図ったかにも思えたが、捜査が進むにつれ、綾の不審な行動が露呈し始めた。 続きを読む 家と家族を焼かなければ手に入らなかったもの~熊谷・一家3人放火殺人事件②~

嘘八百男に振り出し続けた愛の約束手形~臼杵市・交際女性殺害事件①~

平成13年7月21日午後3時半

大分市横田の県道沿いの緑地帯駐車場で、タクシー運転手はいつものように休憩をとっていた。
ふと、同じ駐車場内に停めてある車に目をやった。
「そう言えばあの車、もう何日もここに停まっちょるけど……。」
そこは、県道22号線沿いに広がる緑地帯に設けられたスペースで、トラックやタクシーの運転手が時折休憩のために車を停めることはあっても、周辺には家も店もないため長期間車が停められているのは不自然だった。

気になった運転手が、乗用車の中を覗いたところ、人が乗っている気配はなかったが、女性の持ち物らしきハンカチやブラシが落ちていた。
気になりながらも引き返そうとした時、後部座席にあった粘着テープが目に入った。
ふっ、と、運転手の心がざわついた。運転手が見たのは粘着テープだけではなかった。車内には、無数のハエが飛んでいたのだ。 続きを読む 嘘八百男に振り出し続けた愛の約束手形~臼杵市・交際女性殺害事件①~

嘘八百男に振り出し続けた愛の約束手形~臼杵市・交際女性殺害事件②~

13通の偽造手形

由香さんに対して、絶対に銀行に回ることはないから安心しろなどと言っていた冨田は、その手形を受け取ったその日のうちに、手形割引業者に裏書譲渡した。
由香さんが勤務していた会社は特に経営に問題がなかったため、割引業者らも冨田からの依頼であっても拒否する理由がなかった。
もちろん、ここで偽造されたものではないのか、という疑いを持たれれば拒否される可能性はあったが、この時点ではその疑いを持つ余地はなく、また、冨田の「嘘」を全員が見抜けなかった。
この時冨田が得た現金は、4625741円だった。 続きを読む 嘘八百男に振り出し続けた愛の約束手形~臼杵市・交際女性殺害事件②~

嘘八百男に振り出し続けた愛の約束手形~臼杵市・交際女性殺害事件③~

振り払った救いの手

経営者の妻らに知られたことで、本来ならば由香さんの苦悩はここで終わるはずだった。
理解ある経営者の妻と息子は、由香さんが騙されてやったことであり、現時点では会社に損害も出ていないことから、由香さんを今後監督していくことで不問に付した。
それはもちろん、由香さんが洗いざらい話してくれたと思ってのことであり、心労をかける必要はないとして由香さんの両親にも何も言わないことにしたのだ。

しかし、由香さんはすべてを話してはいなかった。 続きを読む 嘘八百男に振り出し続けた愛の約束手形~臼杵市・交際女性殺害事件③~