鬼畜の宴~群馬・赤城村男性リンチ殺害事件②~

なぶり殺し

山中へ分け入ると、角田らはかわるがわる島村さんに暴行を働いた。
素手ではなく、こん棒のようなもので島村さんを滅多打ちにし、それぞれが疲れ果てるまでその暴行は続いた。
そして、一緒に連れてきた6歳の子供の目の前で、近場にあった重さ約70キロの丸太を信沢と七海が担ぎ上げ、もはや虫の息の島村さんの胸部めがけて投げ落とした、2度も。
さらに、その丸太の上に乗って飛び跳ねるなどした。
結果、島村さんは心臓破裂、肝臓破裂による内蔵損傷で死亡した。

島村さんが死亡したことを確認した3人は、遺体を再びトランクに押し込むと、なぜかそのまま山を下りた。そして遺体をトランクに入れたまま2~3日放置する。
やっぱり山に埋めようと決めた3人は、埋めやすくするために遺体を燃やすことを思いつく。提案したのは七海だった。
しかし群馬県内の山の中でガソリンをかけて遺体を燃やしてみたものの、自分たちの想像通りには焼けなかったという。
そこで、なんと3人は再びその遺体をトランクに入れ、山を下りる。さらに2~3日が経過した後、再び山中へいって島村さんの遺体を燃やし、それをまた運んで赤城村深山の保安林に穴を掘って埋めた。

二度も焼かれた島村さんはビニールに包まれて埋められていた。
角田ら3人に金づるにされ、家に帰ることすら許されず、あげく虐待の限りを尽くされて殺害された島村さんの長い長い数か月間を想像すると吐き気を催す。冗談じゃなく本当に恐怖と無念で気持ちが悪くなった。
どんなに帰りたかったか、父の死に目にも会えず、兄や妹のことを案じ、それでもなすすべなく見知らぬ親子の前でも笑いものにされる日々。
身体的な虐待に止まらず、精神的にもこれ以上ないというほどの虐待を繰り返されたにもかかわらず、正直この事件は大きく報道された形跡がない。

この事件は、綾瀬のコンクリート詰め殺人や、栃木のリンチ殺人を彷彿とさせるというか、凌駕しているともいえるほどの凄惨な事件である。
詳細を調べていくと、もう一つ似たような事件に行き当たった。
伊勢崎の主婦監禁餓死事件である。どこが似ているのか。

主犯の角田と共犯の信沢が、中学校時代に同じ時期ではないものの特殊学級に在籍していたという点である。

何かが欠落した人間たち

この3人が犯した罪は非常に重いし、まれにみる残虐な行為だと言える。
こういった犯罪を起こすのは、もともと冷酷だったり、人格に問題があったりというようなことを想像するが、この3人に関してはちょっと違うように思える。
他人を金づるとして利用するために監禁するといったことは、九頭竜湖の事件や北九州の松永太、尼崎の事件などが思い起こされるが、あの犯人たちが金づるから巻き上げた金は数千万円以上だ。
そしてそのやり方も、家族丸ごととか残虐である上に狡猾である。
しかしこの3人はというと、島村さんから巻き上げた金は130万円余り。七海に至っては一銭も手にできなかった。
だからこそ、伊勢崎の事件にどうしても近い印象を受けてしまう。島村さんのことは、最初こそ金づるであったにせよ、途中からは玩具でしかなくなっていた。
特殊学級と言えどもその程度はさまざまであることは理解しているが、それでもどうしても、「そうだったから故に起きた事件」と思わざるを得ないのも事実だ。

何もかもが子供っぽ過ぎるのだ。
その日をしのぐための金を得るために、警察に駆け込まれれば一発アウトなわかりやすい金の引っ張り方をし、虐待の内容も幼稚すぎる。子供じみた残酷さというか、大人のそれとは違うように感じる。
遺体の始末の方法も、本来なら一刻も早く処分してしまいたいと思うところを、なんども持ち帰ったりするあたりまともな犯罪者(?)がやることではない。
遺体を始末しやすくするために焼いたというが、それでも名古屋のドラム缶殺人や愛犬家連続殺人には遠く及ばないし、適当にもほどがある。

彼らは全体でみれば「弱者」なのだろう。ある面においては誰かの手助けを必要としなければ、成り立たなかった。しかし、それに気づく人間は周りにいなかった。怒られてもいいから書くけど、周りの人間もまた、同じ「何かが欠落した」人間だったからだ。

この事件において、逮捕されたのはこの3人である。しかし、関わっていた人間は3人だけではない。
島村さんが信沢宅で寝泊まりを強要された際、同居していた実母はどうしていたのか。成人男性のすることにいちいち関心を寄せられないのは理解できるが、何かがおかしいと気付かなかったのだろうか。

裁判ではさらりと流され、報道では一切出てこなかった東京在住の女の存在も理解できない。
この、知人女性とは何者か。何度も信沢の家を訪れ島村さんの存在を知っていた。見るたびに島村さんの様子がおかしくなっていったこと、明らかに人としての扱いを受けていないことを知らなかった、分からなかったはずがないのだ。少なくとも普通の神経をしていたら一度でも島村さんの存在を知ったら二度と関わりたくないと思うのではないか。
にもかかわらずこの女性は、子供まで連れて再三島村さんがいる場所へ出向いている。

島村さんが殺害されたとき、トランクに島村さんがいることをこの女は知っていたし、「何の目的で」山の中へ連れていかれているのかも絶対に知っていた。
さらに、殺害現場に子供を連れて行き、島村さんが殺害される一部始終を見せたのだ。たった6歳の子供に。なんでこいつ逮捕されないの??手を出してないから?島村さんの状態を見て危険を感じなかったとすれば、それはもう人として終わっている。

もうひとりいる。
殺害直前に角田らが立ち寄った知人である。
トランクから連れ出された角田さんの外見的な状態はもはや異常であった。度重なる暴行の痕が消えなくなっていたのだ。しかも、極端にやせ衰えている。おそらく、会話もできる状態ではなかったろう。
そんな状態を見ただけでも普通ならば異常事態だとわかるし、その場ではできずとも警察に通報するなども可能だった。
食事も与えられず、残飯に大量の七味唐辛子とタバコの吸い殻を混ぜたものを強制的に食べさせられる島村さんを見て、この知人は一緒に笑ったのだろうかこの後島村さんがどうなるのかも、知らなかったのだろうか。
同じ赤城村のなかにあって、島村さんがその直後から行方不明になっていることをこの知人は知らなかったのだろうか。そんなことある?

バカがバカに出会うととんでもないことが起こるとはよく言うが、この事件では島村さん本人とその家族を除いて全員バカと言っても差し支えない。
知能が足りないとか、そういうことではなくて恐怖を感じるレベルのバカだ。人間として最低限のレベルに達していないというか、だから人ではないのだ。
その、バカ同士の結託の前で、気の弱い島村さんに逃げるすべはなかった。島村さん家族も、言葉を選ばずに言うと本当の意味での弱者だったのかもしれない。

ハエみたいなやつ

にもかかわらず、3人は裁判において島村さんのことを「人間としてみていなかった」と話した。
信沢に至っては、「ハエみたいなやつだと思った」などととんでもないことを言う始末である。こういうところだ、普通ではないのだ、普通の神経をしていたら思っていたとしても言わないし、言ってはいけないとわかる。
一審の前橋地裁は角田と信沢に求刑通りの無期懲役を、七海には懲役15年を言い渡した。
判決を言い渡した後、久我泰博裁判長は、
「君たちのような残虐な殺し方は今まで見たことがない」
と吐き捨てた。

にもかかわらず、当時も地元の新聞で報道された以外、際立った報道はなかったし、だからこそ今調べてもほとんど出てこない。
なぜか。
そこにはやはり、角田と信沢が特殊学級に在籍していたという点が関係していると思わざるを得ない。
知能がうんぬんよりも、彼らは人として成り立っていなかった。生まれつきという意味ではない、成長過程で人になれなかったのだ。
その点においては、裁判で情状証人として出廷したそれぞれの同居する母親にもお前今まで何してきたんやと言いたいし、彼らをのさばらせていたその環境も信じられない。

3人はそろいもそろって40歳から50歳という、完全な成人男性として、父親として存在していた。
定職にも就かず、どうやって生活していたのかと思うがなぜか角田と七海にはそれぞれ4人も子供がいた。
子供が多いことは良いことだけれども、私はこのケースにおいてはもう気持ち悪いとしか言えない。
この3人はこの年になっても、形としては父親であっても、中身はとんでもない子供だった。
気の弱いおとなしい人間を見つけては食い物にし、その時の感情で虐待して憂さを晴らし、度が過ぎていることにも気が付けず、自分たちが何をしているのかも、それがどういうことなのかも、こいつらは全く理解していなかった。
だからこそ、島村さんを殺した後も同じように島村さんの代わりを見つけてはタカっていたのだ。

自分たちこそ、人にタカる「ハエ」そのものだった、それすらも気づけないまま、老齢の域に達するその時まで角田と信沢は出てこられない。
心から思う、もう獄中で死んでお願い。

「鬼畜の宴~群馬・赤城村男性リンチ殺害事件②~」への2件のフィードバック

  1. 本当にひどい事件ですね‥。
    それなのに、まったく知らない事件でした。
    備忘録さんの取り上げている事件は半分くらい知らなかった事件があり、いつも驚きとともに読ませて頂いてます。
    ストリートビューを貼ってくれているのもなにげに嬉しいです。
    私の住んでいる場所も適度に田舎なので見たことあるような風景ばかりで、だから尚更怖いというか‥。
    いつ何時自分も巻き込まれるか、または自分が犯罪者側になる日が来はしないか等、色々考えてしまいます。
    これからも、更新待っています!

    1. にしも さま
      Twitterでもフォローありがとうございます☺
      この事件、私の中では本当に胸糞度が高くて頭おかしくなりそうでした。
      ストビューは、事件が起こった場所の空気を感じてほしい、この景色を加害者も被害者も見ていたわけで、それを知ることでまた見えてくるものもあるかと思ってます。
      ただ、プライバシーの観点もあり、全てが現場、という訳ではありませんので、その点はご了承ください
      犯罪って、なにもスラム街のような場所や都会だけで起こるわけではなく、のどかな田舎や高級住宅街でも起こります。
      このサイトでも取りあげている、北海道の広尾町幼児殺害などは、町役場の前なんですよ。
      当時の町長さんが、白昼こんな恐ろしい事件がこんな場所で起こるなんて、と、仰ってました。

      あまり有名でないような事件をこれからも取り上げようと思ってます。よろしくお願いします。

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