満期出所しても許せない、被害者遺族の慟哭~恵庭OL殺害事件①~

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください
**********

 




2018年8月12日、札幌刑務所。

黒の乗用車がその門から出てくると、周辺で待機していた報道陣からフラッシュがたかれた。
さほど多い数ではないが、地元新聞社をはじめいくつかの取材陣が彼女の出所を待っていた。

大越美奈子元受刑者。

彼女は2000年に恵庭市で同僚女性を殺害したとして逮捕起訴され、この日16年に及ぶ刑を終え、出所した。
彼女は逮捕前から裁判中、そして現在に至るまで一貫として無実を訴え続けている。担当弁護士は逮捕当時から変わらず伊東秀子弁護士。
表情をうかがい知ることは出来なかったが、彼女は今何を思うのだろうか。

事件概要

2000年3月17日午前8時。
まだ多くの雪が残る北海道恵庭市北島の農道で、「燃えた遺体のようなものがある」という通報があり、警察官が駆け付けるとそこには下半身が燃やされ、あおむけに倒れた遺体があった。
燃え残った靴などから早い段階で被害者は特定された。被害者は、日本通運株式会社札幌東支店キリンビール事業所の契約社員で、キリンビール株式会社北海道支社千歳工場に勤務する橋向香さん(当時24歳)。
香さんは、前日の16日午後8時半ごろに、同僚女性と退社したのを最後に行方が分からなくなっていた。
翌日の午後1時ごろに家族が捜索願を出したものの、すでにその時点で香さんは帰らぬ人となっていた。

香さんには交際していた男性がおり、当然その男性(I氏)にも嫌疑はかけられたようだが、事件発生時刻にはI氏は工場内の事務所で複数の同僚らと残業中であり、アリバイは成立している。
また、香さんとI氏の間にトラブルはなかった。
ただ、一点を除いて。

I氏は香さんと交際する前に、同じ勤務先の同僚である女性と交際していたが、結婚に対する考え方の違いなどからその女性とはうまくいかなくなり、I氏は香さんと親しくなる。
きちんと香さんと付き合うために、I氏は交際女性に別れを告げた。
そのI氏の元カノであり、香さんと最後に接触した同僚女性こそ、大越美奈子元受刑者であった。




逮捕まで

捜査は思いのほか時間がかかった。容疑者としてI氏や大越元受刑者を含め浮上する人間はいたものの、いずれも確定的な証拠が掴めずにいた。
しかし、状況証拠を固めるうちに、大越美奈子元受刑者の関与が濃厚となり、同年5月、大越美奈子元受刑者は逮捕となった。
当初はその犯行現場の状態や遺体の状況から、乱暴目的、あるいは怨恨の「男性」による犯行ではないかと目されていたが、香さんの携帯電話から死亡推定時刻よりも後に架電されていた事実や、消された発信履歴、そしてその携帯電話が会社のロッカーから発見されたことで、犯人は会社内部に詳しいもの、あるいは会社の女性用ロッカーに出入りできたものという像が浮かび上がり、結果として大越美奈子元受刑者に疑惑の目が向けられるようになる。
というのも、携帯電話の履歴ログを確認したところ、大越美奈子元受刑者から香さんへ多数のいたずら電話が掛けられていた事実が判明していたからだ。
大越美奈子元受刑者と香さんは、同僚ではあったものの親しい間柄ではなかったと遺族は証言している。
また、香さん自身も、友達へのメールで「最近大越さんが苦手、ヘルプって感じ―」と愚痴をこぼしている。
香さん自身、いたずら電話の主が大越元受刑者かもしれないと感じていたのだろうか。

その後、香さんが死後灯油をかけられて焼かれていたという点から、警察は大越元受刑者の写真をもって近隣のガソリンスタンドなどを聞き込んだが、大越元受刑者が灯油を買いに来たという証言は得られなかった。
しかし、4月14日の任意同行の際に、大越元受刑者が「ふくみや」にて、事件直前である3月16日午前0時過ぎに杏露酒とともに10Lの灯油が入ったポリタンクを購入していることを自供(警察はこの事実を知らなかった)。レシートと、大越元受刑者の証言により父親が借りていた社宅からポリタンクに入った灯油を押収した。
しかし、この灯油の成分は、ふくみやが仕入れている灯油とは合致しなかった。

また、大越元受刑者の所有する車(日産マーチ)の助手席側のタイヤ前輪部分に、焼けたものに乗り上げた際に出来る焼け焦げのような跡があるのをイエローハットの店員が確認していた。
この間、警察は複数体制で大越元受刑者を張り込んでいたが、追跡に気づいた大越元受刑者に車で振り切られることがあった。

4月14日には大越元受刑者の車の検証が行われ、グローブボックスからは香さんのロッカーのカギが見つかる。さらに、マットから灯油の成分も検出された。
自宅でふくみやのレシートを押収した際、香さんの携帯電話番号を含む複数の携帯電話番号を書いたメモが発見、押収された。
これはのちの調べで、元交際相手のI氏の携帯を盗み見て、は行、ま行にある番号を書きだしたものと分かった。

この翌日、とある団体の関係者が、大越元受刑者もよく知る「早来町民の森」にて、不自然に焼かれたゴミがあるのを発見し、その焼かれたものが香さんの車のカギ、財布などであることが確認される。
そして5月23日。大越元受刑者は殺人と死体損壊の疑いで逮捕された。




「満期出所しても許せない、被害者遺族の慟哭~恵庭OL殺害事件①~」への3件のフィードバック

  1. 私がよく思うのは.冤罪事件で出て来た人はその間すごく辛い思いをしたけどその後.警察は真犯人をさがさないのはどうしてですか.いつも疑問に思うのは私だけですか

    1. 横山康代 さま

      コメントありがとうございます。
      ご質問の件ですが、私は警察の人間では無いのでお答えしかねますが、少なくとも真犯人を探してないわけではないと思いますよ
      例えばどの事件のことをおっしゃっているのでしょうか。

      この記事にコメントされてるので、この事件を冤罪だと信じてらっしゃるのかもしれませんが、そうであるなら、私はコメントする立場にありません。
      冤罪と思ってないからです。

コメントは停止中です。