満期出所しても許せない、被害者遺族の慟哭~恵庭OL殺害事件③~

遺留品と発見者の謎

捜査が厳しくなってきた4月11日、大越元受刑者はある場所を訪ねる。
子どものころから知っており、親交のあった自然保護団体のT氏が経営する喫茶店であった。
大越元受刑者が誰かに尾行されていると感じ、その相談のためであった。
T氏が確認し、おそらくマスコミであろうと考えたT氏はその車に接触し、そこで警察車両であるとわかる。
その11日から連日、大越元受刑者は喫茶店を訪れ、T氏になにごとかを相談していた。
14日の事情聴取の際には、このT氏も事情聴取を受けている。
そして、T氏は帰宅後、友人らのアドバイスで大越元受刑者に弁護士をつけることを決め、大越元受刑者、その両親の同意を得る。
翌15日、知人の紹介で伊東秀子弁護士に接触、伊東弁護士と共に千歳警察署に赴き、大越元受刑者とも面談する。
大越元受刑者の車から香さんのロッカーキーが見つかったのち、「早来町民の森」で燃やされた香さんの車のカギなどが見つかる。
この遺留品を見つけたのは捜査関係者ではなく、T氏が会長を務める自然保護団体の会員であった。早来町民の森は大越元受刑者の自宅からそう遠くなく、この遺留品の件で大越元受刑者への疑いはさらに深まったとみられる。

実はこの遺留品が発見される数日前、大越元受刑者がT氏の喫茶店を訪れたのち、T氏は早来町民の森にそのようなものが無かったことを13日に確認している。
ということは、遺留品が焼かれたのは4月13日夕刻(T氏が確認したのは仕事の帰りであったことから)以降、15日の発見時刻である16時ころまでということになる。
大越元受刑者にはすでに捜査関係者が張りついており、その間に大越元受刑者が早来町民の森で堂々と香さんの遺留品を燃やすことなど出来るのだろうか。
誰か(真犯人、あるいは共犯者)が、大越元受刑者を陥れるためもしくは大越元受刑者に頼まれて遺留品を燃やしたとも考えられる。
ただ、「13日にはそんなものはなかった」と証言しているのはT氏のみであり、そのあたりの「勘違い」も可能性としては有り得るだろう。
しかし、田舎とはいえ遺留品を「偶然」発見したのが大越が頼る人物が運営する団体の会員であったというのも、すごい「偶然」だなー(棒)といえる。

「震える姿、小鳥のよう」

弁護を引き受けた伊東弁護士は、大越元受刑者を見て「やっていない」と感じたそうだ。
というのも、接見した際の大越元受刑者は、小柄でおとなしそうな表情、その上で震え怯えていたという。
それを見て、直感的に「彼女はやっていない!」と主婦の勘!じゃなくて弁護士としての勘(?)で思ったのだそうだ。
たしかに、事件当時ワイドショーや週刊誌でさんざん報じられた香さんと大越元受刑者のツーショット写真は、比較的大柄な印象を受ける香さんとは対照的に、大越元受刑者は小柄で非力でおとなしそうな印象に見える。弁護団のお気に入りのフレーズは、「どんぶりも持てない非力な女性」である。
さらに弁護側はこの二人の体格差をことさら強調し、身長差、もともと小指が短いという手の特徴のみならず、体重まで持ち出して大越元受刑者がいかに非力であるかを主張した。
これに激怒したのは香さんの父、隆司氏である。新潮45、2007年3月号において、隆司氏は手記の中でこう証言している。

”例えば、娘の体重のことです。裁判で弁護側は、2人の体格の違いから被告は娘を殺せるはずがない、と主張しました。一審での弁護側冒頭陳述書には、娘を「身長一六〇センチメートル以上・体重約六〇キログラム」とし、犯人を「身長一四七センチメートル・体重四七キログラム」と記しました。

そしてことあるごとに体格差を強調し、それは裁判の前からマスコミにもそう言ってきました。
ですが、娘はそんなに太ってはいないのです。裁判では事件前年の5月か6月に行われた会社の健康診断のデータが出ましたが、そこで娘は「五十二.五キロ」で、同じ日の犯人は「五十一.二キロ」です。一キロちょっとしか変わらない。(以上新潮45 2007年3月号橋向隆司氏の手記 p226~227より引用 )”

これは私自身、隆司氏の主張を全面的に支持する。私自身、168センチあり、体重も60キロ以上あるわけだが、背が高いとそれだけで「でかい」「ガタイが良い」と見られがちだ。身長160センチであれば52キロは「普通」だ。
むしろ、147センチで52キロの大越元受刑者のほうが「小太り」の印象なのではないか。
さらに、2人の体格差を印象付けた写真がある。隆司氏は、その写真を「二人の親密さを強調する道具にされた」としか言っていないが、私には悪意すら感じる写真である。
会社の同僚らと複数で行われた飲み会の席で、たまたま隣同士に座った二人をふくめた集合写真の、2人の部分だけを切り取っていたのだ。
しかも、手前の香さんの後方に大越元受刑者は映っており、少し離れただけでも撮る角度によっては大越元受刑者は小さく映る。私自身も、人と写真を撮るときは出来るだけ後ろに下がりたいし、経験上実際以上にデカく映るのはよく知っている。

だからこそ、この写真はふたりの体格差を印象付けるために悪意をもってばらまかれたと私は思う。絶対そうだ、異論は認めない。

弁護側の主張に見る笑止

一方、弁護側は独自の実験や専門家らへの聞き取りで、大越元受刑者による犯罪ではないと立証するため必死であった。

その必死さたるや、あまりにツッコミどころの大きいものでも声高に主張しているところからもあきらかである。

①犯人は男
根拠としては、遺体の下半身が開かれ、その部分を中心に焼かれていたことがある。
確かに、レイプの痕跡を消すためにそのような事をするケースもあるだろう、しかし、遺体は下着を身に着け、ジーンズまで履いていたことから、レイプして殺した後ご丁寧に下着をつけさせ、ジーンズまで履かせるレイプ犯がいるもんだろうかという疑問が残る。
さらに、衣服に乱れがなかった点、靴のぬげた片方が現場で見つかっていることからも、別の場所でレイプして服を着させて車で現場へ運んだとは考えにくい。
そもそもまだ寒い3月の北海道の屋外でそのような犯行に及べるものだろうか。ち〇こ凍らない?

②犯人は複数犯、目撃された2台の車
また、犯行時刻付近で二台の車が現場近くで目撃されたという。
火が燃えるその近くで、複数の人と2台の車が止まり、燃える火を見ていたというタクシー運転手から聞いたという人(誰だよしかも伝聞かよ)が、弁護士事務所へ電話してきたという。
しかし、タクシー運転手から電話させるといったその人物からも、タクシー運転手からもその後一切の接触はなかった。
これが重要証言と言えるなら、ウソでもなんでもOKということになると思うが…

さらに、2台の車の目撃談は別の主婦からももたらされた(こちらは出廷して衝立の向こう側で証言)。
しかし、炎を見たという証言は複数あるのに、その炎に照らされた2台の車を見たという人は他にいなかった。
さらに、証人は国産車と外車の区別もつかず、証人自体が信用に足る人物ではないということもわかってきた。

というかさ、それが事実として、じゃあその犯人たちは夜の農道でめっちゃみられる可能性が高い場所で、近所に民家もあり車も通ってる場所で、被害者を殺して焼いて燃えてるのをじーっと見てたってこと?
逃げろよバカ。

③現場からガソリンキングまで20分で移動は不可能!
法定速度でならね。

④ビブロスで大越元受刑者を目撃した男女がいる
具体的に話していたというその二人は、なんと消息不明。それでも重要証言として自身の著書にまでそれを書いちゃう伊東弁護士。
これには実は別の話がある。証拠採用されたわけでも、公的な機関で証言されたわけでもなく、ただのネット上の話であり、信憑性は全くないわけだが、ちょっと載せとこう。

その話をした女性は、日ごろから家事を終えた深夜の時間帯、ビブロスで立ち読みなどをするのが好きだったという。
時期的にはちょうど事件が起こった時と重なる。しかし、当時は詳しい事件の内容に興味もなく、ましてや大越元受刑者がその日ビブロスにいたかどうかが焦点になっていることなど全く知らなかった。
あとになって、事件の詳細を知り、ちょうど自分がいた日の目撃情報が話題になっていることも知る。
そして、彼女はこう話した。
「あの車の持ち主がこの事件の犯人だとわかって驚いた。たしかに、よくビブロスの駐車場で見かける車だった。赤いホイールをはかせていたので、「赤い靴を履いた車」と形容していた。夫にもよく話した。というのも、運転のマナーが悪い印象を持っていたから。子供を乗せている時にも割り込みをされた。だから覚えている。
あの事件の日あの時間、ビブロスに大越元受刑者はいなかった。なぜかというと、そもそも深夜のビブロスには女性の客は少ない。しかも、駐車場も広くはなく、もし大越元受刑者の車があったら、また赤い靴の車があった、と思うだろうし、家族にも話すだろうから。そういったことはしていない」

ビブロスには防犯カメラがなかったため、今でもビブロスにいたのかどうかは証明されていない。

このほかにも、香さんの体重と同じ豚に服を着させて氷の上に寝かせて灯油をかけて燃やすというCSI科学捜査班を真似たとしか思えない実験をやってみせ、燃え方が同一ではないからおかしいと主張。
しかし、実際の体重が違っている、そもそも豚と人間とは皮膚の厚みも違うし状況も完璧に再現できたとは言えず、頑張った努力は認めるものの、結果としては裁判に影響はなく、むしろ豚を香さんに見立てるというやってはならないことをしでかし、遺族の怒りを買う羽目になった(当たり前)。

タクシー運転手の目撃情報を重要としながら、弁護側はタクシー会社を調べた形跡がない。
のんきに電話が来るのを待っていたのだろうか。また、男女の目撃者についても連絡がつく状態でないなど、やる気があるのかないのかさっぱりわからない展開となった。

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