拾い上げた耳たぶ~北茨城市・女性監禁リンチ事件②~

裁判





平成12年6月4日、水戸地検はA子とB子を「刑事処分相当」の意見書を付け、傷害と監禁の容疑で水戸家裁に送致した。

水戸地検の石橋基耀次席検事(当時)は、「被害者の状況と、8日間に及ぶ監禁を行った事件の重大性」から、刑事処分が相当と判断した。
児島さんのケガは全身に及び、全治6か月という重傷だった。体の傷のみならず、心にも大きな傷を負った児島さんは、事件後仕事も始められず、夜の犬の散歩以外は外に出られないような状態が続いていた。

水戸家裁は平成12年7月1日までに、A子とB子を中等少年院送致とする保護処分を決定した。

一方、監禁場所となったプレハブを提供した鳥居は、傷害ほう助と逮捕監禁で逮捕されていたものの、検察は逮捕監禁容疑で起訴。ただ、起訴状では鳥居も児島さんに暴行を加えたとしていた。
鳥居自身は、現場は見たし、一度逃げた児島さんを車で連れ戻したことは認めていたが、暴行を加えたことは否定していた。
同年9月19日、鳥居は懲役1年6月、執行猶予3年間の保護観察処分の判決を言い渡された。




地方都市のこの時代のDQN

この事件で何が気になるといえば、この登場人物の関係性である。
鹿嶋市で起きた女性リンチ殺害も、その仲間内の面妖な関係にはある意味背筋が凍ったものだが、この事件でもその関係性はどこか違和感を覚える。
被害者の児島さんは、当時26歳。一方の加害者少女らは17歳であり、この年齢差で友人関係が成り立つのかというものである。
これはこの世代独特の感覚で、たとえば30代以上になれば年齢差はさほど気にならないが、10代から20代の人間関係において、この年の差はもはや親子ほど離れているといってもおかしくないほどで、友人関係が成り立つとはとても思えないのだ。
これについて、児島さんは
「年下の人間と遊ぶのもいい気晴らしになる」
と思ってのこと、と話すが、どこか引っ掛かりを感じる。

一方の少女らからしたらどうだったか。
これは児島さんも話していることだが、A子は児島さんを友人というよりも車を持っていることで「パシリ」と考えていたようだ。
実際、父親に児島さんを紹介した際に、「こいつ私のパシリなんだ」と話している。10も離れた相手をこいつ呼ばわりしている時点で、児島さんとA子の関係性は明らかだ。
A子らにとって、児島さんはただの便利でいうことを聞く道具でしかなかった。児島さんもおそらくそれは気付いていたと思う。それでもA子に呼び出されれば出向いてしまう、このあたりに児島さんの個人的な問題も見える気がする。




千葉で戸籍上の妻を殴り殺した事件では、主犯は年下の子分を引き連れていたが、この北茨城の事件の場合は逆だ。
未成年特有の頭の悪さをまるで盾にして、おそらく同年代の友達が少なかったであろう児島さんをいいように利用した。
友達とは言えない関係ではあるが、それでも遊ぶときに呼んでもらえるだけでもマシ、なのかもしれない。
最初から利用されるだけだった児島さんは、最終的に少女らの鬱憤を晴らす道具に使われた。

A子は捜査の過程で、過去にA子がレイプされそうになった際、児島さんが助けてくれなかったことを恨んでいた、という話をしていた。
しかし児島さんによれば、男性と複数でホテルに入って遊んだ(?)ことはあるが、その時のことを言っているのならばレイプなどなかったし、助けも求められてないしホテルを出るときはA子と二人で出た、しかもそれは2年前のこと、と話す。
ただこの時、児島さんのこれ以外の話をもとに考えると、同じ部屋の中でA子は性行為に及んでいた可能性が高く、その光景を思うとちょっと眩暈。

A子があの日ぶちギレていたのは、過去に行った援助交際のことをばらすと知人に言われたせいかも、と児島さんは話していた。が、もう一つ、B子が児島さんの車にA子を乗せて運転中、自損事故を起こし修理代に20万円ほどかかったという。その修理代を、児島さんがA子とB子が折半すればいい、という話をしていた。
それがムカついたのかも、と児島さんは話す。
このあたりにも地方都市のDQNの生態が見える気もする。
携帯電話料金に何万円もつっこみ、カラオケに汚い金髪、援交、この時代のいわゆるギャルの王道を行く一方で、金もなく、ぼろ汚いプレハブ小屋に溜まるしかない侘しい地方都市のギャルたち。

もちろん、どんな理由があっても児島さんがこのような仕打ちをされるいわれはないし、なによりあの時逃げ出せたからよかったものの、もしも逃げなかったら、それこそ殺人に発展していた可能性は高い。
どのリンチ殺人事件も、最初から殺す気などなかった。やり過ぎた。引き際、止め時を逸した末の、隠ぺいのための殺人だ。




事件発覚後、B子の母親は直接電話で謝罪してきたという。
「健人君(鳥居)とB子に対してはあまり怒りはない。ふたりとも、A子に強要されてやったと思うから」
全員さほど思い罪にも問われず、児島さんが受けたリンチの残虐さのみがクローズアップされた。
児島さんは逃走する際、ゴミ箱を漁ってA子が捨てた右の耳たぶを拾っていた。
しかし、時間が経ち過ぎていたこともあって、耳たぶを元に戻すことはできなかった。
左耳の耳たぶは、見つからないままだった。

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参考文献
新潮45 2006年7月号 
茨城・17歳少女二人のバイト仲間「監禁暴行」の凄惨
深井一誠 著

週刊ポスト 2000年6月23日号
「独占告白」耳たぶ切り被害女性が初めて明かした「恐怖の全裸リンチ6日間」--「あの17歳少女は人間じゃなかった…」

事件備忘録…にOFUSEする
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