🔓姪の命と引き換えで目が覚めた妻の覚悟~福岡・二丈町たてこもり殺害事件②~

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迷走する一家

川村を捨てきれなかったA子さんは、自分たちの家がないということに気づく。
市営住宅を解約してしまっていたため、家族3人はとりあえず自動車に生活用品を積み込むと、各地を転々とした。川村には多額の借金まであり、手持ちの金だけが頼りだったが、行き先のあてなど全くなかった。
離婚を後押ししてくれた周りの人には顔向けできなかったし、川村の手前、A子さんがひとりで動き回ることもできなかった。

少なくても金があるうちはそれでもまだ良かった。
ラブホテルで寝泊まりし、それがダメなときは車内や公園にテントを張ったりもした。
だんだんと残金が乏しくなると、川村は窃盗をはたらいた。時にそれはひったくりにかわり、A子さんも手伝った。
川村がひとり歩きの女性や高齢者からバッグなどをひったり、逃げる。車で待機しているA子さんと落ち合って、逃走。
覚えているだけでも20回以上は行ったという。

この頃にはまた以前のような不安定な状態になっていた川村は、なにかにつけA子さんにきつく当たった。
パトカーや警察署の近くを通るたび、「お前は一回俺を警察に売ったから信用できない」などと因縁をつけ、A子さんに暴力を振るった。
経済的な困窮と、肉体、精神的な暴力を受け続けたA子さんは、これはもう川村ともども死ぬしかないと思い詰めるまでになっていた。
相変わらず覚せい剤をやめていなかった川村は、A子さんのその決意を知って落ち込んだという。
しかし、「一緒に死んでくれるなら死のう」と川村も同意した。

A子さんは地元の福岡では死にたくなかったので、誰にも知られない場所でひっそり死にたいと言うと、川村は唐突に「なら北海道」と言った。
北海道なら広いし、知り合いもいないから当分気づかれないというのがその理由だった。
そして一家は本当に室蘭行のフェリーに乗った。
現金は20万円ほどもっていたが、それらもどんどん減っていく。北海道に着いても、すぐに死ぬことはどちらともなく言いだしていなかった。
死ぬ決意は出来ていたはずなのに、数日間あてもなく北海道を彷徨った。
残金が数万円になったころ、川村は死ぬ予定であるにもかかわらず金が残り少ないことを心配し始めた。
「最期にカニでも食べてから死のう」
そうA子さんが言うと、途端に川村は逆上し、「死ぬ気もないくせに!!」とA子さんを殴りつけた。

結局、一家は生き延びた。

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「🔓姪の命と引き換えで目が覚めた妻の覚悟~福岡・二丈町たてこもり殺害事件②~」への4件のフィードバック

  1. 自分の娘が嫌って一緒になるのを拒否している時点で、川村との結婚を思いとどまらなければならなかったですよね。覚せい剤をやってることを知っているのならなおさら・・・
    結局A子さんは、わが子の気持ちより「この男を何とか立ち直らせたい!」という自分の気持ちを優先した、その結果ですよね。

    川村はもう救いようのないクズでゴミ以下の人間であることは間違いないんですが、私はこのA子さんにもイラついてしょうがなかったです。姪っ子が殺されてやっと目が覚めるなんて、遅すぎるしアホすぎる。

    亡くなってしまった志歩ちゃんが本当に気の毒で・・怖かっただろうし、痛かっただろうなぁ、、、

    1. ほっとけーき さま
      コメントありがとうございます。

      最近でも福岡で立てこもりがあり、この事件をいやでも思い出しました。
      この事件のきついところは、なんの関係もなかった姪が犠牲になっている点、全てが家族の中の問題だった点、川村本人が全く反省できない、しない点、もうあげるとキリがありませんね。

      A子さんのようなタイプは一定数いて、ドンと受け止めることに美徳?を感じるというか、お母さんタイプというか。
      ダメなんですよね、それをやっていいのは本当のお母さんだけです。
      本当のお母さんでも時として突っぱねなければならないのに、A子さんは姪が殺されるまで気づけなかった。
      贖罪のひとつとしての手記だったと思うのですが、やるせない思い出いっぱいですね

  2. 自分で人間を辞めた川村は言わずもがな、
    A子さんのアホさに辟易しますね。
    あなたが自分で選択した結果だよと言いたい。
    もしこれで被害者づら、悲劇のヒロイン気取りならば救いようが無い。
    当事者にしか判らない事情もあるでしょうけどね。
    本当に目が覚めたかも怪しいものです。

    ただ、「DVに支配されて云々」っていうのに理解を持てないのは、
    私が男性だからなのかもしれません。

    1. いわしサバ さま
      コメントありがとうございます。
      つい最近も福岡で立てこもり事件があり、その際、過去のこの事件を知る人々は「どうか過去の二の舞にならぬよう」と思ったようです。

      亡くなったしほちゃんのお父様は、この事件で何がいけなかったのか、を問うためにドキュメンタリーにでられたことがありますが、残念ながらそれは私は見ることが出来ていません。
      川村の元妻は、手記を出してその時何があったか、川村とはどんな男なのかを知らしめたのは意義があったかも、ですが、やはりどことなく違和感ありますよね。

      今DVや洗脳が話題になることがありますが、この事件の場合はこの元妻の性格というか、それも大きく関係してるのかなぁと感じてます。

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