実名を掲載することについて

先日、コメントをいただいた。
全文はコメント欄を見てもらえればわかるが、私の記事には遺族への配慮がないのでは、というご意見だった。
ちなみに、このサイトでは説明にもある通り、被害者に著しい被害が及ぶ可能性がある場合は姓名のいずれかを匿名とするが、遺族や関係者についてはメディアや講演会などで名前を出している場合、書籍などで名前が出ている場合、すでに他サイトなどや過去の報道で容易にその氏名がわかる場合はその限りではないとしている。
たとえば光市母子殺害事件の被害者遺族、本村氏などは匿名にする方が不自然なほどその名前には強さがある。
そのあたりの判断は、私自身が慎重に考えてどうするかを決めている。

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その涙に虹がかかるまで~名護市女子中学生暴行殺害事件~

1997年正月

「美香じゃない、美香じゃない。絶対に人違いだ」

この日、沖縄県名護市に住む伊地茂さん(当時42歳)は、山奥へと車で揺られながらずっとそう考えていた。
茂さんは、昨年の6月21日から一日も休むことなく、突如行方が分からなくなった中学3年生の娘・美香さん(当時15歳)を探し続けてきた。
美香さんは家出などではなかった。行方不明になった日、自宅まであと600メートルというサトウキビ畑で、白いワンボックスカーに連れ込まれるのを目撃されていた。
それから半年。
茂さんは美香さんは生きていると信じて、沖縄中の路地という路地まで捜し尽くしていた。

現場には、美香さんがつけていたカエルのキーホルダー付きのリュックが遺されており、状況的に間違えようもなかったが、それでも父は、信じたくなかった。

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それでも家に帰りたかった、”きみはいい子”①~南国市小5男児暴行致死事件~

平成20年2月4日

その男児は、いつも池のほとりで一人佇んでいた。
来る日も来る日も、放課後の校庭の、支柱のついた丸時計が見えるその場所で、なにをするわけでもなくひとり、いた。
雨の日も、冬の寒い日も、陽が落ちて暗くなっても、男児は18:00までずっとそこにいた。

「彼はサインを出していた。それを僕がよう受け止めなかった」

事件後、男児が通っていた小学校のある教諭は、こういって涙をこぼした。

高知県南国市で小学5年生の藤岡和輝君が、母親と内縁関係にあった無職の男に暴行され、右硬膜下血腫などによる心肺停止で搬送され、びまん性軸索損傷により死亡した。
11歳のあっという間の人生であった。

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それでも家に帰りたかった、”きみはいい子”②~南国市小5男児暴行致死事件~

他人事の母親

最初に断っておくが、この事件で母親については全く罪に問われていない。法律的には、和輝君の母親は罪を犯していないことになっている。

しかし私は、この母親はなにか人格的、あるいは発達的な障害を持っているのではないかと真剣に感じている。

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22歳元自衛官が見誤った故郷の誇り~宮崎家族3人殺害事件①~

2010年3月1日

午前5時。
寝静まった家族の傍らで、男は一人、ほんの数日前に思いついた自分のこれからの行動について思いめぐらせていた。
「この人から離れたい」
自分がひとりになるためには、もはや物理的に離れるだけでは無理だと考えていた。
この人をこの世から消してしまわなければ、自分は逃れることが出来ないのではないか。
しかし、男には他にも家族がいた。「この人」の娘でもある妻、そして生まれたばかりの「妻の子でもある」長男。
男は「この人」と「娘である妻」と「妻の子でもある長男」は一つの存在に思えていた。

長男の柔らかい首に手をかけ、力を込める。そして、水を張った浴槽に沈めた。扉を閉めたその背後から、バシャバシャと水音が聞こえた。
男はそのまま、妻と「この人」がいる寝室へと消えた。

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