夫と子供を殺した女が欲しかったもの~佐賀・長崎父子連続保険金殺人④~

母親と、愛

礼子の幼少時代については先にも触れたとおり、取り立てて目立ちもしない、ごく普通のおとなしい少女であった。
家族皆が女遊びの激しい父親に背を向ける中、礼子だけは父を慕った。鍼灸師の母親は苦労しつつ、それでも子供達のためにとその父とは離婚せず、礼子らが独立した後に離婚した。 続きを読む 夫と子供を殺した女が欲しかったもの~佐賀・長崎父子連続保険金殺人④~

暗闇で「やったつもり」の育児の果て~厚木・男児死体遺棄事件~

平成26年5月30日

神奈川県厚木市下荻野のアパートに、警察官に連れられた男の姿があった。
男は警察官に促されて自室のアパートの玄関を開けた。
室内は真っ暗だったが、それでもゴミだらけの凄まじい状態であることは一目瞭然、カビとも腐敗臭ともつかない異様な臭いがたちこめていた。

警察官らが室内に入るのを横目に、男はその場に立ちすくみ、額から汗を滴らせている。

室内奥の六畳間を開けた警察官らは、にわかに騒がしくなった。
ゴミをかき分け進んだ6畳間の布団の上で、小さな小さな白骨遺体が発見されたのだ。

男はその部屋に住んでいた斎藤幸裕(当時37歳)。トラックの運転手をしていた。
その年の3月、厚木児童相談所が所在のつかめない児童を掲載したリストの一斉点検を行ったところ、小学校に入学していない男児の存在が明らかになったことで、父親であり、該当の住所に住んでいた男のアパートを警察が任意で調べることになったのが事件発覚のきっかけだった。
白骨遺体は、幸裕の長男で所在不明になっていた斎藤理玖くんだった。所在が不明になってから10年近くが経過し、さらにはいつ死亡したのかもわからなかった。

続きを読む 暗闇で「やったつもり」の育児の果て~厚木・男児死体遺棄事件~

暗闇で「やったつもり」の育児の果て~厚木・男児死体遺棄事件②~

もう一人の保護責任者

この事件では幸裕の無責任っぷりばかりがクローズアップされた。法廷でも時に居眠りを長時間していたり、理玖くんの死は「事故のようなもの」と言い放つなど、裁判員らに対する心証も最悪であった。
そんな中、ある時妻のことに話が及んだ際、聞かれてもいないのに「妻は風俗で働いていました、自分は知りませんでした」と言った。
これも、妻は風俗で働くような女だから信用ならないと印象付けたかった、かのようにも報道され、幸裕の責任転嫁の表れととらえられもした。 続きを読む 暗闇で「やったつもり」の育児の果て~厚木・男児死体遺棄事件②~

暗闇で「やったつもり」の育児の果て~厚木・男児死体遺棄事件③~

発覚が遅れたのはなぜか

幸裕は会社に勤め、外部との接触を持っていた。結婚したのはそもそも理玖くんができたからであり、双方の両親や家族だって理玖くんの存在を知っていた。
にもかかわらず、理玖くんの存在が7年以上も誰からも気にされなかった、こんなことってあるんだろうか。

児相が役立たずだったのは今も昔も同じことで、厚木児童相談所もそもそも朝の4時にオムツ姿の裸足の乳児が外で震えているのに、迷子で片づけるくらいだから程度が知れる。

しかし、家族らはどうだったのだろうか。 続きを読む 暗闇で「やったつもり」の育児の果て~厚木・男児死体遺棄事件③~

三つ子ワンオペ育児は情状酌量に値するか?

平成30年1月11日

豊田市内のアパートから、「子供が動かない」と119番通報があった。
救急隊員らが駆け付けたところ、1歳くらいの男児がぐったりとしており、傍らでは通報してきた母親らしき女性が必死に心臓マッサージなどを施していた。

男児は病院へ搬送されたものの、意識不明の重体であった。診察した医師によると、頭がい骨骨折の所見があった。

当初、母親は付き添っていたが、忽然と姿を消す。幼い子どもが生死の境をさまよっているというのに、なぜか母親は黙って自宅へと戻っていた。
ケガの状況などから不審に思った病院が児童相談所(県豊田加茂児童・障害者相談センター)へ通告。その後の調べで、母親が男児を床に複数回叩きつけたことを認めたため、殺人未遂で1月12日に逮捕した。

男児はその後、1月26日に死亡したため、殺人容疑に切り替えて捜査が行われた。当初は幼い乳児を床に叩き付けるという残虐な行為に非難が殺到、母親に対しても当たり前の批判が展開されたが、裁判が始まると、風向きが変わった。

母親が育てていたのは、その男児を含めた「三つ子」だった。

続きを読む 三つ子ワンオペ育児は情状酌量に値するか?