難病の息子に手をかけた老母の「限界」~塩釜市・息子殺害事件②~

その夜

遺書をしたためて以降、なるべく早いうちに決行しなければと思いはしたものの、それでも富久男さんの顔を見るとその決意は揺らいだ。
そして5月22日の夜、様子を見に行った際に富久男さんが寝入っていることを確認したとき、母の心は決まった。

「眠っている時ならば、苦しまずに死ねるのではないか」

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孫に手をかけた姑と許せという実母~茨城・孫二人殺人未遂事件~

平成16年7月10日


茨城県関城町(現・筑西市)。
この日、いつものように午前中農作業を終えて午前11時半ごろに帰宅したこの家の祖父は、家の中から孫の泣き声が聞こえるのに気付いた。
「やれやれ、ケンカでもしたかな」
そう思った次の瞬間、自宅前の車庫で孫の礼司くん(仮名/当時7歳)が倒れているのが目に飛び込んできた。
急いで抱き起そうとすると、孫の顔は殴られたかのように腫れ上がり、首には絞められた痕、そして、上半身には切り付けたような浅い傷がいくつかあった。
さらに、二階で泣いていた孫の和史くん(仮名/当時4歳)も、顔がうっ血しているような状態だった。 続きを読む 孫に手をかけた姑と許せという実母~茨城・孫二人殺人未遂事件~

孫に手をかけた姑と許せという実母~茨城・孫二人殺人未遂事件②~

思い通りにならない嫁

下館市出身の真紀さんは、高校卒業後は地元で就職していた。特に目立つ人ではなかったようだが、悪い話もない、そんな人だった。
その真紀さんが見合いをしたのは、真紀さんの実母の判断があったという。
今でこそ、30歳を過ぎてからの結婚は珍しくもなんともないが、当時は25歳を過ぎれば行き遅れとみなされる時代だった。ましてや、30歳を過ぎても結婚しないというのは、結婚できない女とみなされても文句は言えなかった。 続きを読む 孫に手をかけた姑と許せという実母~茨城・孫二人殺人未遂事件②~

謎の一家失踪と蔓延るうわさ~世羅町・一家失踪事件①~

平成13年6月4日

「なんで来とらんの。家に行っても誰もおらんってどういうこと?」

その採石会社では、社員旅行で中国の大連に向かうことになっていた。
しかし、集合時間を過ぎても、一人の女性社員が現れなかったのだ。同僚らが自宅を訪れたが、その女性もその家族も、誰一人として家にはいなかった。

「鍵もかかっとるし、どうしたんじゃろ……」

とりあえず連絡をつけられる親類に事情を話すと、なんと女性の夫も無断欠勤をしていることが分かった。さらに、家にいるはずの男性の母親も見当たらない。玄関にはしっかりと鍵がかけられ、呼びかけにも中から返答はない。
「車が1台ないけぇ、どっかに出かけたんじゃろうか」
その家には、乗用車と軽トラがあったが、乗用車がなくなっていた。そのかわりに、一人娘のものと思われる車が止まっていた。

連絡を受けた女性の弟が、はしごをかけて家の二階にあがった。一か所、鍵のかかっていない窓があったため、そこから家の中へ入ると、そこにはごく普通の、ありふれた生活の匂いが残っていた。

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謎の一家失踪と蔓延るうわさ~世羅町・一家失踪事件②~

発見

平成14年9月7日。
世羅町京丸にある京丸ダムに、車の底が見えていると通報があった。
実は以前にも、別のダムに沈んだ車が発見されたことがあったが、山上さんとは無関係の車で、車内からは中年男性一人の遺体が見つかり、山上さんではないことは判明していた。

警察が車を引き上げたところ、山上さん宅の乗用車と同じ白のスプリンターだった。
心配そうに見守る住民らの前で、車は静かに引き上げられ、中からは成人と思われる4人の遺体と、後部座席には動物の骨が発見された。

歯型鑑定の結果、4人は山上さん一家と断定、行方不明から1年と3か月、事態は最悪の結末を迎えてしまった。 続きを読む 謎の一家失踪と蔓延るうわさ~世羅町・一家失踪事件②~