強制退去で娘を殺した母親にあえて言いたい「ふざけるな」~銚子市母子家庭娘殺害事件~

平成26年9月24日

その日、千葉県銚子市の県営団地において強制退去が行われる予定であった。
対象は、その団地に7年前から入居している松谷美花(当時43歳)とその娘・可澄さん(当時13歳)が暮らす一室で、この部屋は長きにわたって月額12800円の賃料が延滞、あるいは滞納されていた。
この時点でも、最終支払いは前年の4月。それでも滞納額は10万2400円となっていた。
強制執行についての段取り、日時などは、入居者である美花には事前に知らせてはあったが、ここ数日は松谷親子とは連絡が取れていなかった。

鍵を開け、室内に入ると人の気配がある。
テレビの前に敷かれた布団に、娘がうつぶせに寝ていた。そしてその傍らで、呆けたような表情の美花が、テレビ画面を指さし、「これ、うちの子なの」などと言った。
その時点で、室内に入った執行官や業者らは娘が寝ているのではなく、死んでいるということに気づく。

美花は、テレビに映る鉢巻き姿の娘を指さし、
「頭に巻いてる鉢巻きで首を締めちゃった」
と言った。

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強制退去で娘を殺した母親にあえて言いたい「ふざけるな」~銚子市母子家庭娘殺害事件②~

貧困などとは無縁の「調査団」

失礼は重々承知だが、私はこの調査団が公表した本を購入し、読んでいる。だから、私には批評する権利があると考えている。
そして、私はこの事件にかかわった専門家の誰よりも、母子家庭や貧困のリアルを知っているし、私自身、その経験をしている。

私が住んでいる松山市は、物価の安さでは美花の暮らした銚子市に似たり寄ったりであろう。時給についても同じようなものだ。
そして美花と同じように、築40年以上の県営団地での暮らしも経験している。そうだよ貧乏だったんだよ。
結婚して夫の実家での同居がこじれ、私と夫の二人はすぐに入れることを最優先にした結果、近くの県営団地に行きついた。
老朽化したその団地は、エレベーターなしの5階建て。私たちの住まいはその5階だった。家賃は18000円。
6畳和室二間、四畳半の和室が1間、ところどころ剥げたPタイルの床のキッチンに錆びついた公団シンク、引き出しにはゴキブリの死骸があった。
和室は砂壁で陽に褪せケバだった畳、窓の外の柵にはハトがいて、サッシの外側のレールには大量の糞が積もっていた。
老朽化して鉄筋が見えているベランダに洗濯機を置いたが、犬を飼っていた階下の人がベランダで犬の排せつ物を流すため、排水の樋を伝って尿臭がわきあがっていた。
県営住宅にはありがちなことだが、風呂の設備がなかった。正確には、風呂場はあるが、浴槽と湯を沸かす設備がなかったのだ。
これは部屋によっては前入居者が好意で置いて出ていく場合もあるが、基本的には自前だ。
換気もままならない小さな窓はしっかりと閉まらず、冬は隙間風の中で体を洗った。

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