22歳元自衛官が見誤った故郷の誇り~宮崎家族3人殺害事件①~

2010年3月1日

午前5時。
寝静まった家族の傍らで、男は一人、ほんの数日前に思いついた自分のこれからの行動について思いめぐらせていた。
「この人から離れたい」
自分がひとりになるためには、もはや物理的に離れるだけでは無理だと考えていた。
この人をこの世から消してしまわなければ、自分は逃れることが出来ないのではないか。
しかし、男には他にも家族がいた。「この人」の娘でもある妻、そして生まれたばかりの「妻の子でもある」長男。
男は「この人」と「娘である妻」と「妻の子でもある長男」は一つの存在に思えていた。

長男の柔らかい首に手をかけ、力を込める。そして、水を張った浴槽に沈めた。扉を閉めたその背後から、バシャバシャと水音が聞こえた。
男はそのまま、妻と「この人」がいる寝室へと消えた。

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22歳元自衛官が見誤った故郷の誇り~宮崎家族3人殺害事件②~

貴子さんとくみ子さんの過ち

貴子さんについて、裁判の過程で次々とその気の強さから出てしまった奥本への暴言、叱責、暴力が浮かび上がった。
先にも触れたが、経済的に余裕がなかった奥本に対し、折に触れまるで出来損ないであるかのような言葉を投げかけた。
「雄登の抱き方がなってない」「若いんだから寝てばかりいるな!」
また、その叱責の仕方も「大声で」繰り返されたといい、肉体労働を経て帰宅した奥本にとっては心身休まることは難しかったであろう。

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自己憐憫の夫がつけた、やり過ぎた妻へのおとしまえ~日立母子6人殺害事件①~

2017年10月6日

月明かりに照らされた家族の寝顔を、男はしばらく眺めていた。
リビングのテレビが、午前4時39分を告げたころ、男は答えを出した。
左利きの男は左手に包丁を持ち、妻と子供が眠る寝室へと向かう。

午前5時ごろ、茨城県日立市田尻の県営上田沢アパート7棟から出火。
通報で駆け付けた消防によれば、そのアパートに暮らす小松恵さん(33)とその子供ら5人の合わせて6人が倒れているのを発見、長女以外はその場ですでに死亡、長女も病院に搬送されたが病院で死亡が確認された。

騒動になった頃と時を同じくして、日立署に一人の男が現れた。
脚にやけどを負い、錯乱に近い状態のその男は、応対した署員にこう告げた。

「ごめんなさい、妻と子供を刺して火をつけました」

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自己憐憫の夫がつけた、やり過ぎた妻へのおとしまえ~日立母子6人殺害事件②~

恵さんへの違和感

幼い子どもたちとともに突然殺害された恵さんについて、報道によれば「しっかり者のお母さん」「病院で薬剤師として働く立派な人」「働かない夫から暴力を受けていた」というようなものばかりである。
被害者という立場を差っ引いても、夫である小松被告のクズっぷりが凄いため恵さんについては同情の声しかない。
しかし、どうも私は恵さんという女性について、そういった世間の声と本人像が合致せずにモヤモヤしたものがあった。

被害者を貶める意味ではなく、客観的に冷静に恵さんという女性を見た場合、事件が起きてしまった要因もまた見えてくる。もちろん、だからといって殺されて良いはずは全くない。

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強制退去で娘を殺した母親にあえて言いたい「ふざけるな」~銚子市母子家庭娘殺害事件~

平成26年9月24日

その日、千葉県銚子市の県営団地において強制退去が行われる予定であった。
対象は、その団地に7年前から入居している松谷美花(当時43歳)とその娘・可澄さん(当時13歳)が暮らす一室で、この部屋は長きにわたって月額12800円の賃料が延滞、あるいは滞納されていた。
この時点でも、最終支払いは前年の4月。それでも滞納額は10万2400円となっていた。
強制執行についての段取り、日時などは、入居者である美花には事前に知らせてはあったが、ここ数日は松谷親子とは連絡が取れていなかった。

鍵を開け、室内に入ると人の気配がある。
テレビの前に敷かれた布団に、娘がうつぶせに寝ていた。そしてその傍らで、呆けたような表情の美花が、テレビ画面を指さし、「これ、うちの子なの」などと言った。
その時点で、室内に入った執行官や業者らは娘が寝ているのではなく、死んでいるということに気づく。

美花は、テレビに映る鉢巻き姿の娘を指さし、
「頭に巻いてる鉢巻きで首を締めちゃった」
と言った。

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