求刑も判決も重くない~鹿児島・女子短大生殺害事件~

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください
**********

 

平成14年10月3日。福岡高裁宮崎支部で、一つの殺人事件の控訴審判決公判が開かれた。

被告人席には青のデニムシャツと茶色のパンツ姿の男。終始、視線を足元に落としていた。
傍聴席には、笑顔の若い女性の遺影を抱いた遺族。

「原判決を破棄する。被告人を、懲役18年に処する」

岩垂正起裁判長は、厳しいまなざしのまま被告人に言い渡した。その瞬間、傍聴席からは涙を堪えきれない人の嗚咽も聞こえた。

男の原判決は懲役15年、量刑不当で控訴したのは検察だった。
そして迎えた控訴審判決では、原判決よりも重たい判決が言い渡されたのだった。 続きを読む 求刑も判決も重くない~鹿児島・女子短大生殺害事件~

5歳の目撃者〜〜座間市・三歳児暴行死事件〜

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください
**********

 

救急車にて

「ごめんね、ごめんね

救急車の狭い車内で、母親と思しき女性は意識のない子供の手を握りしめ、涙を目にためながらそう呟いた。
大学病院に搬送されたのは、まだオムツも取れていない小さな男の子。意識はなく、かなり危険な状態だった。

男児はその後搬送先の病院で救命及ばず、短い一生を終えた。

横浜地方裁判所

平成17年3月1日、横浜地方裁判所は、当時3歳の内縁の夫の連れ子に暴力をふるい死なせたとして、辻岡裕美(仮名/当時28歳)に対し、懲役4年6月の判決を言い渡した。

罪状は、傷害致死。
裕美はこの裁判で一貫して無罪を主張していた。事実、裕美が逮捕されたのは事件が起きた約1年後であり、判決が出たのはさらにその2年半後で、未決拘留日数は800日に及んでいた。

しかし裁判の結果は、有罪。

男児の死は事故か、それともそこに誰かの悪意があったのか。

有罪の決め手は、小さな目撃者の存在だった。 続きを読む 5歳の目撃者〜〜座間市・三歳児暴行死事件〜

午前4時の熱湯シャワー〜八王子・6歳養女せっかん死事件〜

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください
**********

 

笑顔のお誕生日会

平成769日。
八王子市中野上町の小さな二階建てアパートの一室には、子供たちの歓声が響いていた。
大きなバースデーケーキと、甘いお菓子。飲み物もたくさんあった。
7歳の男の子と、6歳の女の子。二人は兄妹で、お誕生日が近かったことからこの日二人分のお誕生パーティーを両親が開いてくれたのだ。

笑顔の兄妹を、両親は目を細めて何枚もカメラに収めた。

ただ、その笑顔はところどころ、青や黒いアザに覆われている。

そしてこの2週間後、妹は死亡した。

顔と右半身の皮膚を真っ赤に爛れさせ、想像を絶する苦しみの中もがき続け、誰にも助けられることなく短い一生を終えた。

幼い女の子が最後に見たのは、母親の再婚相手の姿だった。 続きを読む 午前4時の熱湯シャワー〜八王子・6歳養女せっかん死事件〜

🔒馬鹿者~大阪・男児監禁致死遺体遺棄事件~

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください
**********

 

ちいさな行旅死亡人

平成19年5月28日付官報に、このような行旅死亡人に関する記事が掲載された。

行旅死亡人データベースより)

行旅死亡人とは、いわゆる身元不明のご遺体のことをいい、その事件性の有無にかかわらずこのように官報に掲載される。
ある時、このデータベースを漂っていたときにこれを見つけた。
年代別に検索できるのだが、基本子供の遺体は嬰児、胎児であることがほとんどで、いわゆる生み捨てたと考えられるものが多い。
死産の可能性もあるし、そもそも戸籍もまだない状態であるわけでどこの誰なのかは母親のみぞ知る、である。
そんな中で、この死亡人は年齢的に社会との関わりもあったろうし、発見された状況からも完全に殺人死体遺棄事件であると言わざるを得ない状況だった。

このデータベースには解決し身元が判明したものもそのまま掲載されていることから、これをもとに事件を検索したところ、該当する事件があった。

幼い子供をゴミ袋に入れて捨てた人間はどんな奴で、いったい何をしたのか。
しかしそれらを調べれば調べるほど、ここまで想像力の欠如した人間が社会で普通に生活しているのかと恐怖を覚えるほどの、バカとしか言いようがない救いがたい人間がいるという事実をただ知ることにしかならず、感情が滅多打ちにされただけであった。

側溝のゴミ袋

平成19年4月23日夕方、大阪府能勢町の国道173号線につながる道路沿いの側溝に、青いごみ袋のようなものがあるのを通りがかった男性が見つけた。
この道路は生活道路や抜け道としても利用されることは少ないといい、交通量も日にせいぜい4~5台だった。
男性が近寄ると、ごみ袋の横に何かが見えた。その「何か」は、小さな子供の全裸の体だった。
男性はすぐさま警察に通報、警察の調べによるとその遺体は2歳前後の男児ということで、死後約一週間。すでに顔は一部腐敗がはじまっていた。

状況から、全裸の状態でごみ袋に押し込められた後この場所に遺棄されたが、おそらく風雨や動物の影響でごみ袋が破れ、その後頭部だけにごみ袋がかぶさった状態になったとみられた。

その体には、動物によるものなのか判別のつかない外傷もみられたことから、単なる死体遺棄にとどまらない可能性も視野に警察は捜査を進めた。

はやい段階で判明すると思われた男児の身元特定は思いのほか難航した。
男児は栄養状態が悪くなかったため、直前までごく普通の環境で育っていたと思われることから、虐待要注意の家庭のみならず、付近の自治体に所在確認できない子供がいないか確認を急ぐよう通達が出た。

あわせて大阪府警は、府内で昨年以降に子供を連れて家出したなどの捜索願が出ている13件について捜査したところ、ある若い母親の存在が浮かび上がった。
淀川区内で実父らと暮らしていた女性が、子供を連れたまま実家を出て行方が分からなくなっていることをつかんだのだ。その母親が連れている子は、1歳8か月の男児だった。

そして5月17日、大阪府警は側溝で見つかった男児の遺体がこの母親の子供であると特定、当時豊中市で生活していた21歳の女と、その再婚相手の男を尼崎市内発見し、男児の死体遺棄容疑で逮捕する。(・・・再婚?)

逮捕されたのは田宮美香(当時21歳)と、再婚相手の田宮元貴(当時21歳)。男児は美香の子供で、峯松優ちゃん(当時1歳)だった。

【有料部分 目次】
驚愕の死亡原因
夫婦のそれまで
死亡時期と目撃情報の謎
出刃包丁と「ミキサー」
かわいそうなあの人
記念日

🔒鬼の棲む家~泉崎村・虐待死事件

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください
**********

 

入学式にて

平成18年4月。福島県泉崎村の小学校では入学式が執り行われていた。
両親の手を引かれ、緊張した面持ちながらどこか晴れ晴れとした顔で校門をくぐる子供たち。
そんな中、教師や保護者は新入生の一人である児童の姿にくぎ付けとなった。

その新入生は、異様だった。

身長は他の児童が110センチから120センチであるのに対し、約80センチと、とても7歳になる子供とは思えなかったのだ。
身長だけではない、体重も10キロあるかないかで極度に痩せ細り、足はまるで「棒切れ」のようだった。さらに、ランドセルを背負うとそのままひっくり返ってしまった。

「……病気なのかな」

一部の保護者の間では心配する声もあったが、特に介助をする保護者の姿もそばになかった。

入学式から3か月後、その痩せ細った児童の両親は保護責任者遺棄「致死」の容疑で逮捕された。

しかし、死亡したのはこの痩せ細った新入生ではなかった。

捜査員が絶句した現状

平成18年7月28日、3歳になる三男に適切な養育をせず、衰弱死させた疑いで福島県泉崎村の夫婦が逮捕された。
逮捕されたのは無職の白髭功(当時40歳)と、その妻で同じく無職の和歌子(当時33歳)。

調べによると白髭夫婦は、平成18年5月28日ころ、三男・広(ひろむ)ちゃん(当時3歳)の具合が悪くなったことで病院に担ぎ込んだが、広ちゃんは死亡。状況から病院が警察へ通報したことで事件が発覚した。

しかし、広ちゃんの遺体は捜査員らが憤りを隠せないほどの凄惨な状態だった。
体重は平均の半分の約7,9キロ、これは生後半年程度の乳児の平均体重で、全身に暴行を受けた痕があった。
広ちゃんの手足に筋肉はほとんどなく、ずいぶん前から寝たきり状態にあったことも分かった。そして、死亡直前に食べさせられたとみられる「バナナ」のかけらが喉をふさいでいた。

広ちゃんは、反射運動すらできないほどに衰弱させられていたのだ。

広ちゃんが死亡した直後、連絡を受けた警察が自宅を訪問したところ、家の中には極度に痩せ細ったあの児童がいた。しかも、そのほかに姉と思われる女児の姿もあった。
女児もその発育が一目で極端に遅れていることが分かるほどの状態で、女児の腕には刃物で切り付けられた傷まであった。
警察はすぐさま二人を児童相談所へ連れて行き、そのまま姉弟は保護となった。

出迎えた村の女性職員が思わず子供たちを抱きしめると、きょとんとした顔をして、
「なんでそんなに優しいの?」
と聞いてきたという。

「どんなことがあっても親の責任を追及する。」

捜査員の一人は戦慄いてそうつぶやいた。
この家には3人の子がいて、広ちゃんは死亡、上の兄と姉は保護されたが、この夫婦の子供はあと2人いた。
長女は生後3か月で乳児突然死症候群で死亡していたが、長男は健在だった。が、ここにはその姿はなかった。

平成14年に功と和歌子は長男の親権を失っていたのだ。

【有料部分 目次】

長男への虐待
「難しい家族」
功と和歌子
地獄の日々
裁判
小さな地域社会の限界
親子という幻想