暴走反応〜松山市・同居女性傷害致死事件〜

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松山地裁第41号法廷にて。
令和422日から始まったその裁判は、交際していた女性を同居していた男が死なせたという事件についてだった。

奇しくもその裁判が始まった日は、2年前に事件が起きた日と同じ日。すでに保釈されていた被告の男は、スーツを着て髪も短く刈り、神妙な面持ちでメモをとりながら裁判に臨んでいた。

二人の間に何があったのか。なぜ男は愛する人を死なせてしまったのか。

当初の報道では、痴話喧嘩の末に体力で勝る男が女性を死なせたという印象だったが、弁護側は無罪を主張。
被害者には心臓に不安な点があったというのが根拠となっていたが、裁判が進むにつれて明らかになったことがもう一つあった。

自分でどうにかしたかった男と、男が全てを受け入れたがために制御不能となった女の事件。 続きを読む 暴走反応〜松山市・同居女性傷害致死事件〜

🐅2022新春特大号🌸

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皆様、新年あけましておめでとうございます。

今年も事件備忘録をどうぞよろしくお願いいたします。

さて新春一発目は特大号といたしました。
今後もこのような特集号を計画していきたいと思います。

今回取り上げましたのは、桶川ストーカーより前、同じように非業の死を遂げた女性とその家族の戦い、無計画な出産を繰り返した挙句、かわいくないからと次々と子供を殺した夫婦、高橋ユキさんの名言、アウト老を体現した千葉の一家皆殺し、和歌山と福岡で同時期に起きた悲しい事件とそれぞれを支えあった遺族の話、このサイトでも取り上げた愛知の信じられない詐欺事件とその結末そして、幼い子供が親の都合でその将来を断たれてしまった事件。

以上の6本だてでお送りいたします。

都合上、無理やり有料にした記事もありますが、注意書きご納得いただけましたらどうぞ購入なさってくださいませ。

では、2022年新春特大号、はじまりはじまりぃ。

🔓守られなかった命~太子町・ストーカー殺人事件~
殺人の家~柏市・一家4人撲殺事件~
🔓あなたが、お前が、望むこと~大阪・長女三女殺害事件~
火車~豊田町・一家無理心中事件外伝~
ほんなごてい はがいかねぇ~ふたつの女児殺害事件~
🔓弱すぎた男と、クソ女~水戸市・父子無理心中事件~

🔓守られなかった命~太子町・ストーカー殺人事件~

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平成111026日、埼玉県桶川市のJR桶川駅前で一人の若い女性が殺害された。
殺害されたのは、女子大学生の猪野詩織さん。犯人は元交際相手を中心とする男5人のグループだった。
加害者が元交際相手だったことや、被害者が若い女性でブランド物を複数所有していたことなどを警察が公表したことでワイドショーなどではなぜか詩織さんがあたかも奔放で加害者を弄んでいたかのような取り上げ方をされた挙句、被害者のみならず遺族までも貶めるような報道が相次いだ。

しかしその後、被害者らがなんども警察に相談していたにもかかわらず警察が真摯に向き合っていなかったこと、事件後の警察の隠蔽が発覚、さらには改ざんや隠蔽に加担した警察官らが起訴され有罪となるなど、警察の怠慢が大きくかかわっていると判明した。

遺族らは埼玉県警に対し捜査の怠慢が事件を起こし、詩織さんが死亡したとして国家賠償請求訴訟に踏み切る。
事件後、遺族に対して非を認める発言をしていた埼玉県警だったが、この裁判においては手のひらを返したような態度を取り始めた。
結果、最高裁まで争われたものの、司法の判断は
「怠慢は認定、しかし被害者が殺害される結果との因果関係は否定」
した。

判決は遺族にとって満足できないものではあったが、この事件をきっかけにその後ストーカー規制に関する法律が成立、また、同じ警察の捜査怠慢が問題視された栃木リンチ殺人での国家賠償請求では、その警察の捜査怠慢と被害者の死の因果関係が認定された。
この訴訟は、桶川ストーカー事件の被害者遺族の存在が大きく関係していたといい、桶川ストーカー事件の遺族もこの判決を評価している。

ストーカーに関する認識を大きく変え、警察の姿勢やマスコミの被害者叩きなど多くの問題を露呈させ、変えていった事件としてこの桶川ストーカー事件は広く知られているが、実はこの事件の数か月前、同じようなストーカー殺人事件が兵庫県で起きていた。

その事件は、もしも警察がしっかりと対応し事件化されていれば、同じケースだとして埼玉県警が被害者殺害より前に何らかの対処が出来ていた、せざるを得なかったのではないか、とすら思えるほどのものだった。
【有料部分 目次】
早朝の正面衝突
男の素性
神崎の事件
警察署逃げ込み事件
肋骨骨折事件
誓約書を勧めた警察官
コンビニ事件
「女でも紹介したったらどないや」
苦悩と憤り
由加子さんへの誹謗中傷
一部認容、一部棄却
無理心中か、否か
思い

🔓殺人の家~柏市・一家4人撲殺事件~

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ネギ畑とナシ園が広がるのどかな郊外。
神社の周辺には公園があり、散歩する高齢者や畑仕事に精を出す人々の平和な日常があった。

その一帯の中で、異様な一角があった。
ぱっと見でも、大きく立派な家屋がそこにはあったことがわかる。しかし今、その家屋は焼け落ち、かつてここで暮らした人々も、たった一人を除いてこの世に存在していない。

ここには、つい先日まで一家5人が仲良く暮らしていた、と思われていた。
互いの名を呼ばずとも通じ合える老夫婦、中学教師と看護師という、申し分のない長男夫婦。そして、おじいちゃんのことが大好きな幼稚園に通うかわいらしい娘……

平成20年6月24日朝、家族の幸せな日常は突然終わりを告げる。

その一家を葬ったのは、家族の中の一人だった。 続きを読む 🔓殺人の家~柏市・一家4人撲殺事件~

🔓あなたが、お前が、望むこと~大阪・長女三女殺害事件~

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「ありさ、泣いてるで」

また始まった。いつもこうだ。この子はあんたの子でもあるんや、なんで自分で抱いてやろうとかせぇへんのやろ。
「あんたが起きたらええやんか」
7月の蒸し暑さがまるで澱のように部屋に垂れ込める。
しばしの口論の後、夫はそれでも背中を向けたまま動こうとしない。

もう限界だった。全然かわいくない。
低い声で泣く娘の傍らに座りなおすと、女はおもむろに娘の顔面を拳で殴りつけた。それでも気がおさまらず、柔らかなその腹部にも拳を叩きつけた。泣き声ともうめき声ともつかない、その声は耳をふさぎたくなるほどだった。
女はそのまま娘の胸ぐらをつかみあげると、自分の肩の辺りまで娘を持ち上げ、そのまま布団の上に2~3回叩きつけた。
もう、娘は声をあげなくなっていた。

女は娘を抱き上げ、炬燵が置かれた部屋に移動、上半身をねじると背後で背を向けて寝たふりを決め込んだ夫にこう告げた。

「止めへんかったらどうなっても知らんから。」

夫は女を見た。しかし、一度目を合わせただけで、黙ったまま再び背を向けた。

女はそのまま、娘を炬燵の天板に叩きつけた。

【有料部分 目次】
平成9年7月21日
長女の不審な死
連続殺人
ふたりのそれまで
小さい娘
望まない子
保険金
地裁の判断
共同正犯
鬼となった女