🔓あなたと、地獄の果てまでも~大和市・連続主婦強盗殺害事件②~

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庄子のそれまで

庄子幸一は昭和二九年一〇月に生まれ、両親と弟と四人で川崎市を中心に生活してきた。
父親は感情の起伏が激しく、家族は父親の顔色をうかがいながらの緊張した中で生活し、庄子も時に暴力を振るわれるなどして育った。中学二年の時に両親は離婚。母親に引き取られたものの、中途半端な時期の転校となったこともあり、中学へはほとんど通わなかった。この頃は附田(つくだ)姓であった。
中学を卒業した後、電気店などに就職はしたものの長くは続かず、怠惰な日々を送っていた。そんな中、庄子は次第に犯罪に手を染め始める。

最初は窃盗だった。しかし犯罪行為はエスカレートの一途をたどり、放火事件を起こして中等少年院へ。退院後も素行が改まることはなく、昭和五〇年に懲役五年の実刑を受ける。
その後、三年足らずで仮釈放となったものの、住居侵入、窃盗、強盗、強姦などの重罪を積み重ね、仮出所から一年もたたない昭和五三年一一月、懲役八年の実刑となった。
昭和六一年の暮れ、出所した庄子は母親のもとに身を寄せた。その際、離婚した父親が「庄子」の姓を継がせたいと希望していたことなどから庄子幸一に戻った。

昭和六二年の秋、母親とその内縁の夫、そしてその二人の間にできていた子供と埼玉県春日部市に引っ越し、きちんとした会社に一旦は就職した。
しかし半年で辞め、またもや以前のような無為徒食の日々を送るようになる。その後、母親らが川崎市へ戻ってからはひとり春日部市内に残ったものの、出所後間もなくから犯した罪(強盗強姦未遂、窃盗、強盗致傷など)で逮捕され、懲役九年の判決を受けた。
次に出所したのは平成一〇年七月のことである。

このように、庄子の人生は、少年院なども含めるとこの時点で人生の多くの時間を塀の中で暮らしていたことになる。
殺人こそ犯していないとはいえ、同じような犯罪を何度も繰り返すあたり、刑罰をもってしても矯正、更生には程遠いと言わざるを得ない男だった。

平成一〇年に出所した後は、東京都内で経理関係の仕事に就きはしたがここもすぐ辞め、当時横浜市瀬谷区に住んでいた母親の近くに住居を構えていた。
時折、近隣の県へ働きに行くなどしたともいうが、横浜市瀬谷区内のアパートを母親に借りさせ、生活費なども頼りながら怠惰なその日ぐらしが主であった。

そして平成一二年四月、大和市鶴間のスナックに行った際、ホステスをしていた章代と出会うこととなる

【有料部分 目次】
章代のそれまで
「藤原孝」
逃避行
保土谷の祈祷師
東京事件
5つの扉と、仇(あだ)なすもの
共同作業
摩訶不思議な供述
フミのことだけ
死刑台手前の告白と、異常性欲
章代という女
別れの時

男の罪を見つめた火の玉~宮崎・独居2女性連続強盗殺人事件~

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平成13年11月26日

女性はその日、隣の家の灯りが朝になっても付きっぱなしになっていることに気が付いた。
夜遅くまで仕事をして帰宅し、疲れてそのまま寝てしまったのだろう、そう考えながらその家に入っていった。
勝手知ったるその家は、女性の53歳になる娘が暮らす家で、実家の隣という安心感からか、玄関に鍵がかかっていないこともあった。
電気を消そうと寝室へ向かった女性が目にしたのは、ベッドの上であおむけに倒れ、胸から血を流して息絶えた娘の姿だった。
殺害されていたのは橋田とし子さん。西都市内でスナックを経営していた。 続きを読む 男の罪を見つめた火の玉~宮崎・独居2女性連続強盗殺人事件~

男の罪を見つめた火の玉~宮崎・独居2女性連続強盗殺人事件②~

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待ち伏せ

松田は11月25日午前3時、潜伏していた資材置き場の小屋から出た後、目についた倉庫やビニールハウスなどに忍び込んでは、防寒具や食料(ミカンなど)を次々盗んだ。
そして、橋田さん方の裏手に当たる空き家に入り込み、そこでまた計画を練っていた。
すでに橋田さんを殺害してでも金品を奪おうと考えていた松田は、凶器になり得るものがないか探していた。
ふと、自転車の車輪部分にあるスポークが目に入った。
松田は、この針金状の金属をどうにか加工すれば、凶器の代わりになるのではと考えた。 続きを読む 男の罪を見つめた火の玉~宮崎・独居2女性連続強盗殺人事件②~

男の罪を見つめた火の玉~宮崎・独居2女性連続強盗殺人事件③~

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知的、精神遅滞への判断

松田は裁判で精神鑑定が行われた。
弁護側は、複雑な家庭の中において十分なしつけや愛情を受けずに育ったことでいわゆる社会規範を身に着ける機会を失い、くわえて養育環境や親からの遺伝的な要素によって知能検査は軽度の精神遅滞にあたる低さになっていたことを訴えた。
また、松田は4度の窃盗での服役の過去があるが、実は幼少の頃より盗癖があったのだという。それが理由で、小学5年生から中学までを養護施設で過ごすことになったのだ。
クレプトマニアという言葉が聞かれるようになり、罰よりも治療を受けさせることが優先されるとも言われているが、松田の盗癖はこのクレプトマニアとは違うようであった。
クレプトマニアは、成育歴なども大きく関係する病気であり、摂食障害との関連性も大きいもので、利益のために盗むのではなく、盗むために盗むといわれているが、松田の場合は完全に自己の利益のためである。

そして、盗むために、自己の利益のために殺人を犯しているので、全く別物だろう。
裁判でもこの盗癖についてはさほど重要視されていないように見受けられた。 続きを読む 男の罪を見つめた火の玉~宮崎・独居2女性連続強盗殺人事件③~

550円で奪った命と無期懲役~東京駅・コンビニ店長刺殺事件~

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平成14年7月21日早朝

男はその日、いつものように始発電車の切符を買い、東京駅と八王子駅を結ぶJR中央線に乗り込んだ。
早朝5時とはいえ、この季節はすでに外は暑い。男は八王子と東京駅を往復するその電車に乗って、睡眠をとるのが日課になっていた。
6時45分、電車が東京駅に着いた。寝付けなかった男は、空腹を覚えとりあえず東京駅に降り立った。
ふと目についたコンビニに入り、そっと辺りをうかがう。
「大丈夫、これまでも一度もバレなかった」
おにぎりとパン、そしてコーヒー牛乳を隠し持ったまま、男は店を出る。
男はそれまでもこの店で何度も万引きをしていた。東京駅構内のコンビニという立地上、客が多く混雑する中での万引きは楽勝であった。
しかし、この日男の行動の一部始終を店員が見ていた。 続きを読む 550円で奪った命と無期懲役~東京駅・コンビニ店長刺殺事件~