彼女が死んだ理由~倉敷市・11歳女児餓死事件③~

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優先された「自己の感情」

友里恵は裁判で、ことあるごとに「屈辱」「惨めな思い」を口にし、控訴審の最終陳述では、
「私と同じような人はいると思います。役所は本当に困った人を助けてほしいです。私と同じような人間をなくしてほしいです。私のような体になるのは私だけで結構です。」
と述べている。 続きを読む 彼女が死んだ理由~倉敷市・11歳女児餓死事件③~

🔓護られたかった人~小牧市・同居女性殺害事件~

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平成18年8月17日

名古屋高裁でこの日、とある殺人事件の控訴審判決が言い渡された。
被告人は、原田芳文(仮名/当時39歳)。平成16年に小牧市内で同居していた女性を殺害、遺棄した疑いで逮捕起訴されていた。
半年前の28日に下された一審判決は、懲役12年。求刑が15年であったことからも、妥当な線に思えた。
しかし、この日名古屋高裁の前原捷一郎裁判長は、原判決を破棄、懲役10年を言い渡した。
さらに減刑となった理由は、殺人が起こるその過程に注目したうえで、一審判決はそれを十分に考慮していない、というものだった。

男が殺人を犯した理由は、なんだったのか。

事件概要

愛知県小牧市新町2丁目のとあるアパートの駐車場に停めてあったトラックの箱の中から、毛布にくるまれた遺体が発見された。
そのトラックは、思えば長いことそこに放置してあった。運転席や助手席には書類や新聞紙、ゴミなどが山積みの状態で、使用されている形跡もうかがえない。
トラックは愛知県内の食料品加工会社のもののようだったが、その会社はすでに倒産していた。一度、トラックの周辺で異臭騒ぎがあり、アパートを管理している会社が来て調べたことがあったが、その時は運転席をのぞき込んだりする程度で箱を開けてはいなかった。

夏の暑さが本格的になった平成16731日。不審に思った住民女性が、思い切ってそのトラックの観音を開けた。
もともと食品を運んでいたトラックだから、ニオイはした。
しかし箱の中には明らかにそぐわない、布団のような、毛布のようなものが見えた。そして、その布団から、人の手らしきものがはみ出ていたのだ。

通報を受けた小牧署員が確認したところ、そこには白骨化した遺体があった。その後の調べで、遺体は女性、年齢30歳から50歳くらいの成人で、身長約160センチ、髪は茶髪で肩くらいまで、と発表される。
服装は紺色のジーンズに、上半身は下着姿。足元には枕と靴があったという。

すぐさまこのトラックを使用している人物の特定がなされ、そのアパートに住む食品製造会社勤務の男性と判明。
名古屋ナンバーのそのトラックは保冷車で、平成16年の1月頃からそのスペースに停められていたという。
警察が男性に話を聞いたところ、確かにそのトラックを使っていたのはその男性だったが、給料未払いの代わりに会社が男性に譲渡したものだということがわかった。
男性は現在別の食品会社で働いており、通勤にそのトラックを使っていたものの、故障したため3月以降放置していたという。箱を開けたのは、昨年末が最後だった。

警察は当然、この実質の所有者の男性に話を聞くことになる。しかし男性は遺体に関して全く知らないと主張。警察は男性の部屋のほかに、トラックが止められていた場所に一番近い部屋も捜索していたが、そもそも遺体の状況もよくわからなかった。
司法解剖で死因は特定されておらず、遺体もほとんど白骨化しており、いまだ身元も不明だった。
遺体は箱の真ん中より後方にあったが、敷布団と掛布団、それに枕、靴まであった。
箱は外から簡単に開けることができるため、たとえば浮浪者などがこっそり入り込み、それを知らない所有者もしくは第三者が観音を閉めてしまった、そういう可能性もあった。
しかし、箱の中や観音の内側に出ようとした形跡がないことから、やはり女性は殺害されこの場所に遺棄されたと断定、84日には遺体の身元が近くに住んでいた35歳の女性であることも判明した。

女性の交友関係などから、女性が行方不明になった際に同居していた原田が浮上、警察が事情を聞いたところ、5月に女性を殺害してこのトラックの箱の中に遺棄したことを認めた。

しかし、同時に驚愕の事実が判明する。
女性には13歳の息子がおり、事件当時は原田と3人での生活だった。そして、警察がその息子にも事情を聞いたところ、なんと「遺体を運ぶのを手伝った」と話したのだ。

【有料部分 目次】
3人の38日間

母親の「癖」
息子の心
振り回される人々
原田の過去
「私霊感が強いの」
壮絶な母
守れなかった制服
本当は、護られたかった人

🔓無戸籍よりキツい母の家庭内教育~鳩ケ谷市・20年間無戸籍判明事件~

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平成19年3月27日

さいたま地裁。
この日の午前、とある事件の判決公判が開かれた。
被告は、20歳代の男。罪状は、未成年者略取と窃盗だった。
任介辰哉裁判長は、「卑劣で悪質な犯行だが、学校教育を受けず、閉鎖的生活をし、知的障害も認められる」とし、求刑3年に対し、懲役2年6月、執行猶予5年の判決を言い渡した。
実はこの男は、公判中から「別の事柄」が発覚して注目されていた。
裁判長が情状酌量として認めた事柄には、「男が20年間無戸籍」であったことも含まれていたのだ。

事件概要

平成18年6月25日夕刻、埼玉県鳩ケ谷市内の公園で遊んでいた当時4歳の女児が行方不明となった。
その後、同じ鳩ケ谷市内のスーパーで女児は無事保護されたが、下着を盗まれていたという。
埼玉県警武南署は、窃盗と未成年者略取の疑いで捜査をし、10月になって、鳩ケ谷市内に暮らす当時二十歳の男を逮捕した。

しかしその後の展開は予想外のものとなった。
武南署が男の身元を紹介したところ、なんと無戸籍ということが判明したのだ。
男は両親と姉との4人暮らしだったが、13歳年上の姉には戸籍があった。
さいたま地方法務局が調査し、両親とこの男性は間違いなく親子関係であることが認められたため、10月半ばに母親が届を出し、男は戸籍を得ることができた。
戸籍法では出生の届けは14日以内に行うと定めており、正当な理由もないのに届け出を怠った場合は3万円以下の過料が科せられる。
この男には家族がいた。にもかかわらず、戸籍がないというのはどういう事情だったのか。

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【有料部分目次】
無戸籍の理由
少年時代
母親
やがて暴発
なにが事件を起こしたか

🔓拾い上げた耳たぶ~北茨城市・女性監禁リンチ事件~

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平成12年4月10日

茨城県水戸市。
女性は息も絶え絶えの状態で実家の玄関になだれ込んだ。
家にいた母親が、一目ではそれが自分の娘だと気づけないほど、女性はボロボロの状態だった。
右目の周囲は紫色に腫れ上がり、腕も足も、見える範囲は傷だらけという凄まじい状態……。
女性は、60キロ離れた北茨城市内から自転車と徒歩で、この日ようやく実家にたどり着いた。
家族が女性の顔をよく見ると、両耳の耳たぶが、なかった。

事件概要

平成12年5月15日、茨城県警少年課と高萩署は、友人女性をプレハブに監禁したうえ、殴る蹴るの暴行を加えたとして水戸市内の無職少女A子(当時17歳)と、旅館従業員B子(当時17歳)を、傷害容疑で逮捕した。
少女らは、4月4日から9日にかけ、北茨城市内の知人男性宅の庭にあるプレハブ内に、友人の児島理絵さん(仮名/当時26歳)を連れ込み、児島さんに暴行を加えた疑い。
児島さんは殴る蹴るの暴行のほかに、タバコや熱したヘアアイロンを押し付けられたり、体中に打撲痕や火傷が無数にあった。
児島さんが一度逃走した際は無理やり連れ戻し、その後服を切り刻んで逃げられないようにしたうえで、児島さんの両耳たぶをハサミで切り落としていた。
児島さんは9日夜になって、少女らが寝入った隙に逃走。徒歩や放置自転車を使用しながら4月10日正午過ぎに水戸市内の自宅に戻り、病院での治療を受けたのちの12日に被害届を提出していた。

調べに対し少女らは、
「児島さんが悪口を言っていた」「むしゃくしゃしていた」
などと話し、警察では監禁場所となったプレハブを所有する一家の男性会社員からも事情を聞いていたが、その後、傷害ほう助の疑いで北茨城市の鳥居健人(仮名/当時22歳)を逮捕した。鳥居は、A子の交際相手だった。

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【有料部分目次】
出会い
暴行
裁判
地方都市のこの時代DQN

🔓病める女~愛知・藤岡町男児せっかん死事件①~

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平成一二年一〇月一六日

愛知県豊田市。
とあるガソリンスタンドで、女性は昼休憩をとっていた。
昼と夜の寒暖差が激しくなってきてはいたが、ここ数日は晴れて、秋の気持ちよい日々が続いていた。

ふと、手にしていた携帯電話が震えた。
着信の相手は、以前から親しくしていたママ友だった。
「やっちゃった、もう硬くて冷たくなってる。死後硬直してる。」
にわかに理解できないママ友の言葉だったが、女性はとにかく「救急車を呼んで」と伝え、勤務先を飛び出すとママ友の自宅へと向かった。
道中、再度ママ友に連絡を取った女性は、「お願いだから、抱きしめてあげてて。」と頼んだという。

ママ友の自宅につくと、ママ友は放心状態で子供部屋に座り込んでおり、女性に対し、「もうやばい、これで刑務所だわ」と呟いた。

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