母に諦められた幼い命~広島・二児虐待死体遺棄事件③~

量刑不当

判決が言い渡されたその日、傍聴席には何とも言えない空気が覆いかぶさっていた。
広島地裁の田辺直樹裁判長が、慶樹くんと祥子ちゃんの味わったこの世の地獄、そして離れ離れの山中で白骨化したことへの思いを述べる一方で、殺意を認定せず傷害致死として求刑をはるかに下回る判決を出したことへの違和感も漂っていた。 続きを読む 母に諦められた幼い命~広島・二児虐待死体遺棄事件③~

我が子を失いたくなかった母親が負うべき罪は何か~長崎・新生児遺棄事件~

平成25年4月24日

とうとうこの日がやってきてしまった。
先延ばしにする間に、なんとか方法を考えるはずだった。しかし、あっという間に十月十日(とつきとおか)は過ぎ去っていった。
鈍痛は次第に強烈な痛みへと変わったが、もう後戻りはできない。

疲労困憊ではあったが、女にはまだやるべきことが残されていた。
足元には血まみれのバスタオル。それをそっと、手に取った。

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ならばどうすればよかったのか~出雲・1歳児殺害事件~

平成26年9月9日

島根県出雲市。
初秋の日差しが降り注ぐ山間の集落。平田船川に流れ込む小さな川沿いの道路を進むと、田畑の広がる中に小さな神社が点在する非常にのどかな風景が広がっている。
この日、いつものように1歳の孫娘が母屋にやってくるのを待っていた祖父母は、午前8時を過ぎても一向にやってこないことに気が付いた。
祖母が、息子家族が暮らす離れに行こうと表に出ると、そこには嫁が立ち竦んでおり、顔を見ると、泣き腫らしたのか頬を紅潮させていた。
「どうしたの?」
気遣う祖母の横をすり抜けるように祖父が離れへと走る。
離れでは、1歳の孫が意識を失った状態で倒れていた。 続きを読む ならばどうすればよかったのか~出雲・1歳児殺害事件~

暴力夫を餓死させて晴らした妻の怨~四日市・痛風夫餓死殺害事件~

平成17年月23日夕方

近鉄四日市市駅にほど近い交番に、女が訪れた。
応対した署員に対し、付き添いの親族とみられる人に支えられながら、女は自宅で夫が死亡していることを伝えた。

県警四日市南署員が女とともに堀木2丁目の自宅アパートへ向かうと、玄関からは異様な臭気が漏れていた。

付き添ってきた親戚によれば、この女から夫が死んでいると電話を受け、驚いて一緒に交番にやってきたという。
夫は長年通風を患ってほぼ寝たきりだったというが、女は
「昨日普通に話したのに、朝になったら死んでいた」
と話した。

しかし、現場を確認した誰の目にも、夫が死亡したのが今朝ではないことは一目瞭然であった。 続きを読む 暴力夫を餓死させて晴らした妻の怨~四日市・痛風夫餓死殺害事件~

弟が殺した兄の名は「ヒトラー」~福岡・15歳少年兄殺害事件~

平成17年6月23日午後3時

6月の湿っぽい空気が漂う福岡県福岡市南区。
1階にテナントがある商業兼住居用ビルの4階に住む住人は、エアコンを入れるほどの暑さではないものの、風通しを良くするために玄関のドアを半開きにしていた。
午後のけだるい時間、ふと、何やら外廊下で人の争うような声を聞いた気がした。

時間をおかず、自宅の玄関ドアが開いたかと思うと、人が倒れこむようになだれ込み、住人は仰天する。
「どうしたの!!!」
倒れこんだ人はケガをしているようでどこからか出血していた。
ふと顔を上げると、玄関にはも少年が立っていた。返り血を浴びたと思われるその少年は、まだあどけなさの残る顔をしていた。
少年は手にしていた包丁を、倒れこんだ人間に深々と突き立てると、何度もそれを繰り返した。
そして、息も絶え絶えで動かなくなった人間を引きずって、風呂場へと連れて行った。

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