女が遺したルージュの伝言~愛知・安城市女性殺害事件~

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平成12年2月26日


愛知県豊田市住吉町松原。
その日、近くに暮らす男性(63歳)は、いつものように午前9時すぎ、犬を連れて散歩に出かけた。
いつものルートをてくてく歩いていると、雑木林の中に見慣れぬ車が停車していることに気が付いた。

「またカップルが勝手に停めてるのかな」

この辺りは人目につきにくいこともあり、カップルが車を停めて過ごしていることが以前からあったという。実際、その車は前日の夜からそこに停まっていた。
犬が進むままに、男性は何の気なしにその車をのぞいてみた。
そこには、首を血塗れにして生気を失った女性が座っていた。

安城市のできごと

豊田市の雑木林で、車の中で死んでいる女性が発見される2日前。
安城市住吉の住宅街で、不可解な事件が起きていた。
その家に住む私立高校教員の佐々木亮介さん(仮名/当時44歳)が仕事から帰宅すると、自宅前のスペースで妻で専修学校講師の祐子さん(当時42歳)が血まみれで倒れているのを発見。
「おい!しっかりしろ!どうしたんだ!」
時刻は午後9時を回っていた。祐子さんは左胸辺りを大きく抉られており、搬送先の病院で出血性ショックにより死亡。

祐子さんの傷はこぶし大に左乳房辺りが抉れており、その周辺には動物による噛み痕、ひっかき傷のようなものもあった。
佐々木さん宅では当時シェパード(雄・一歳)を飼っており、祐子さんが発見された際にも近くにいたという。
しかし、鎖でしっかり繋がれており、家族や近隣の人々はそもそも祐子さんの悲鳴らしきものすら聞いていなかった。

佐々木さん夫婦は当時、亮介さんの母親(当時69歳)、高校生の長男、中学生の次男と暮らしており、その夜母親は習い事で外出、亮介さんは銭湯に出かけていて不在、長男次男の二人が在宅だったが、特に不審な物音などには気づかなかったという。
警察は当初、このシェパードが何らかの理由で祐子さんを襲った可能性があると発表、事件事故の両面から司法解剖をするとした。

祐子さんは発見当時、ジャージの上下にジャンパー姿、門と玄関の間であおむけに倒れていた。傷は服ごと抉られており、直径10センチ、深さ5センチで心臓まで達していたという。
警察が犬に襲われた可能性を考えたのは、この傷だけでなく、衣服にシェパードの被毛が付着していたことも関係していた。
また、祐子さんは夜間に犬を散歩させていたこともあり、連れ出そうとして玄関先で襲われたとの可能性を示唆した。
新聞報道などもこれに倣った報道をしており、愛犬家の悲劇的な事故、との見方が強かった。

しかし司法解剖の結果、シェパードの容疑は晴れることになる。

祐子さんの体内から、複数の散弾が発見されたのだ。

逃げた女

動物による悲しい事故かと思いきや、一転して銃による殺人事件と判明、愛知県警捜査一課と安城署はすぐに捜査を開始した。
祐子さんの左胸に直径1.5センチほどの穴のような傷が発見され、その後のレントゲンによる所見では、多数の散弾が残っているのが分かった。
しかも、散弾は殆ど飛散していないことから、かなりの至近距離、というよりほぼ接した状態で撃たれたということも判明した。

普通の住宅街で家族と暮らす教師の夫婦。
祐子さんは体育を教えるスポーツマンで、夫とともにスポーツや趣味を楽しむどこにでもいる女性だった。
それがなぜ、しかも銃で殺害されなければならなかったのか。
近隣の住民らも、銃による犯行ということで恐れ戦いた。

一方で、銃によるものと分かったことで、当夜のことを思い出した住民もいた。
事件当夜八時半ころ、乾いたような「パーン」という音を聞いていたが、銃声とは夢にも思わず家族と「何の音?」と話す程度にとどめていたという。
さらに、その音が響いた直後、逃げるように走り去る白い乗用車を目撃した通行人がおり、ナンバーも判明していた。

警察の聞き込みに対し、ある住人は興味深い証言をした。
「佐々木さんの家族から、24日の夕方、豊田市のあるところへ夫婦で行った際、トラブルになったと聞いた」
また、祐子さん殺害に使用された銃はクレー射撃用の「トラップ」とよばれるものだったことが判明していたが、実は祐子さん夫婦もクレー射撃の経験があった。
目撃情報から車の持ち主は、西加茂郡藤岡町石畳(現・豊田市石畳町)に住む40代の女だったが、なんとこの女も銃の所持が認められており、かつ、クレー射撃を趣味としていたこともわかった。
警察が女の家族から話を聞くと、24日の夜から行方が分からなくなっているという。そして、自宅に保管してあるはずの散弾銃もなくなっていた。

警察ではクレー射撃で女と祐子さんが知り合い、その後何らかのトラブルが二人の間に起きた、とみていたが、トラブルの張本人は祐子さんではなかった。

不倫

女は田中香子(仮名/当時46歳)。豊田市内から車で北に30分ほど走った場所にある山間の町で暮らしていた。祐子さん宅がある安城市からは、車で約1時間ほどの距離である。
香子は祐子さんの夫である亮介さんとが勤務している私立高校にある寮で、調理のパートとして勤務していた。
香子が調理員として勤務し始めたころ、祐子さんの夫の亮介さんが寮長をしていたことから親しくなり、1997年以降不倫関係へと発展した。
よくある話と言えばよくある話だが、二人の関係は生徒らの知るところとなったという。
普通ならどちらかが辞めるとか転勤とかそういうことになりそうだが、私立高校に転勤はない。香子も関係が表沙汰になっても、調理員の仕事を辞めなかった。

関係が噂され始め、亮介さんは香子と距離をとった。しかし、噂の的になってもパートを辞めなかった辺りからもうかがえるが、香子はバレて上等、くらいに思っていたようだ。
職場の同僚や自宅の近隣の人によれば、香子は気さくで愛想が良く、仕事も真面目にする反面、近所づきあいはあまりせず思っていることをはっきり口にするタイプだったという。

おそらくだが、その噂は妻祐子さんの耳にも届いたのだろう。もしくは、香子があえて暴露した可能性もないとは言えない。
1999年末には亮介さんが正式に別れを切り出したが、それは弁護士を入れなければならない状態へと発展した。

弁護士が介入する頃までは、祐子さんと亮介さん夫婦は、頻繁に香子と話し合いを持っていたようだ。夫婦は何度も藤岡町にある香子の自宅を訪れていた。
佐々木家の内情を家族から聞いていた人によれば、香子はなんだかんだといっては佐々木家に強い口調で電話を掛けていたという。
あたりまえだが弁護士を入れて以降、亮介さんは香子をシャットアウトしていた。
それでも香子は事件のあった24日の夕方にも、佐々木家に電話をかけてきた。逆上した様子の香子に対し、亮介さんは
「弁護士を通すように」
と言って取り合わなかった。
そして、事件は起こった。

ルージュの「遺言」

香子は祐子さんを射殺した後、愛車の白いレビンであてもなく逃走した。
そして、冒頭の豊田市住吉町の雑木林の中で、祐子さんを撃ったのと同じ銃を自身の顎にあて、引き金を引いた。
死因は頸部貫通銃創からの脳挫傷。

捜査本部は3月24日、被疑者死亡のまま殺人容疑で香子を書類送検、事件は後味の悪い結果に終わった。

当初、飼い犬のシェパードが傷つけた可能性が否定できなかったことから、警察は緊急配備を一時解除していた。しかしすぐに銃創と散弾の弾がみつかったことで殺人事件と断定されたわけだが、法医学者の上野正彦氏によれば、そもそも動物が噛んだとしても肋骨や胸骨に守られている以上、胸のみの傷が失血死に至るとは考えにくいという。
ただ、銃創や動物の噛み傷などに慣れていない場合は、それ以外の現場の状況証拠に惑わされることもあるだろうとしている。
また、日本獣医畜産大学長(当時)の池本卯典氏も、「犬が負わせた傷ならば歯形を見ればすぐわかるはず。今回の事件では、犬のひっかき傷や噛み傷があったというが、それは飼い主を守ろうとしたり、起こそうとした可能性がある」と指摘している。

事件後、県警には当初犬を容疑者としたことに対する抗議が30件以上寄せられたという。
私はシェパードよりも大きな犬を飼っているのでわかるが、図体がでかくとも1歳と言えばまだ仔犬である。被害者が幼い子どもならばまだしも、体育教師で自身も陸上選手、バレーボールのチームに所属していた祐子さんが、一撃で死に至るような傷を負うことは考えにくい。
もっと言えば、普通襲うとすれば首だろう。なんで噛みにくい胸部…考えればわかることだった。
おそらく、大型(厳密には中型)のシェパードという点で、思い込みが発生してしまったのだろう。これが柴犬だったら誰もそんなことは思わない。
かわいそうに、疑われたシェパードは祐子さんの傍らでずっと鼻を鳴らしていたという。

香子はひとりになった25日の夕方、一度だけ自宅へ無言電話を掛けていた。
香子の家族構成はわからないが、当時夫がいたことはわかっている。最後にせめて、夫に詫びるつもりだったのだろうか。

香子の遺体が発見された際、捜査員は後部座席に置かれた雑誌に目を止めた。
そこには、複数ページに渡って口紅で書かれたメッセージが遺されていた。

「私を許してください」

香子はなぜ、祐子さんを標的にしたのか。
実際、香子は祐子さんではなく夫の亮介さんを撃ち殺しに行ったのではないか。
事件当日、電話で亮介さんを激しくなじっていたという香子。不倫が噂になっても、調理員の仕事を辞めなかった香子。彼女にとっては、職場の同僚や生徒らの好奇の視線などどうでもなかった。
それよりも、そばにいること、途切れそうな糸をつなぎとめるためには、どんな形でも「繋がって」いさえすればよかったのではないか。
たとえそれが、亮介さんから香子に対する怒りや軽蔑に変わろうと、愛とは全く違う関係でも、繋がってさえいれば良かったのではないか。

それが、弁護士がついたことで完全に断ち切られてしまった。

事件の一週間前には、ついに調理員の職を失っていた。自ら辞めたのか、辞めさせられたのかは分からないが、いずれにせよ香子は追い詰められた。
あの夜、祐子さんが応対したのは、偶然だった。亮介さんはたまたま、銭湯へ行っていたのだ。
それを見計らって、それを知っての行動とは思えない。
女の怒りは女に向くのはよくある話だが、やはり香子は亮介さんを殺したかったのではないか。
ただ、結果として亮介さんは妻を失い、そして妻を殺した女は裁かれることもなく、不謹慎を承知で言うが噴飯もののルージュの遺言を残して果てた。

ロマンチストは現実を見ない。香子は現実を受け入れられず、最期の最期も、若い頃に流行ったあの歌のようなドラマ仕立ての演出を遺した。

あのひとは あわててる頃よ
バスルームに ルージュの伝言
てあたりしだい 友達にたずねるかしら
私の行く先を

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参考文献
朝日新聞社 平成12年2月25日、26日、27日、28日中部朝刊、2月25日東京夕刊、26日中部夕刊
読売新聞社 平成12年2月25日、26日名古屋夕刊、26日、27日名古屋朝刊
産経新聞社 平成12年2月25日東京夕刊
毎日新聞社 平成12年2月25日東京夕刊
中日新聞社 平成12年2月25日、26日、3月24日夕刊、27日、朝刊

NHKニュース 平成12年2月26日
河北新報社 平成12年2月26日

🔓凶行を見届けると決めた友人~名古屋市・人違い殺人と、おまけのタケノコご飯殺人~

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平成元年4月20日未明

名古屋市緑区鳴子4丁目。
人々が寝静まった頃、突如ガラスの割れる音に続いて、女性の悲鳴がその静寂を破った。
「助けて!殺される!!」
女性の悲鳴の後で、若い男の叫び声が続いた。
「俺の気持ちが分かるかぁーっ!!」

その騒ぎからほどなくして、近くで新聞販売を営む家のガラス戸が割られた。
驚いて飛び起きた家人らがガラス戸が割れた販売店へ降りてみると、そこには腹部に包丁が突き刺さったままの男性が倒れこんでいた。
急いで救急車を呼び、続けて警察にも通報しようとしたところ、男性は
「警察が来たら女房が連れていかれる・・・」
と口走った。

もうひとりの被害者

新聞店に助けを求めて駆け込んだのは、鳴子4丁目にあるマンション205号に住んでいた城戸潤さん(仮名/当時23歳)。
出血多量の重体に陥ったが、その後なんとか一命をとりとめた。
しかし、城戸さんが刺される直前、実は城戸さんの隣室で家族と共に暮らす佐藤修包(なかかね)さん(当時25歳)も、腹部を刺されすでに死亡していた。
佐藤さんは、妻と二人の幼い子どもたちの4人で就寝しており、凶行はその妻子の目前で行われたとみられる。
冒頭の女性の悲鳴は、佐藤さんの妻(当時27歳)のものである。母の悲鳴に驚いた子供たちも泣き出したが、なぜか犯人は妻子には目もくれず、また、何も取らずにただ佐藤さんだけを刺してベランダ伝いに隣室へと逃げたらしかった。
そして、隣室の城戸さんと鉢合わせし、城戸さんをも殺害しようとしたとみられた。

新聞店からの通報で、名古屋市の緑署は殺人事件として捜査を開始していたが、その直後、「人を殺してきた」と出頭してきた少年がいた。
少年は黒い丸首シャツにジーンズという、どこにでもいる若者の格好をしていたが、非常に興奮しており、「城戸さんを殺してすぐに自首する気だった」などと話したという。
警察では当然、佐藤さんについても追及したが、佐藤さんと少年の間には恨みどころか面識すらなかった。
少年は、205号室の城戸さんを殺害しようとして、うっかり206号室の佐藤さん宅に侵入してしまったのだ。
そして、間違えたことに気が付かずに、暗闇で佐藤さんを刺し、女性と子どもの悲鳴を聞いて、その部屋が城戸さんの部屋でないことに気付いた。

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【有料部分目次】
事件が起こる経緯
女心と秋の空
「あっ!間違えた」
悲しみの葬儀
その時代
おまけ。タケノコご飯殺人事件

🔓淋しくて淋しくて~仙台・同僚女性殺害事件~

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平成19年6月15日午後8時

その夜、男性は仙台市若林区のとある有料駐車場に停めてある一台の軽自動車の前で立ち尽くしていた。
その車は、男性と5月に入籍したばかりの妻のものだったが、実はその妻とは、前日の夜から連絡が取れていなかった。
男性は会社を休んで妻を捜していたところ、夕方になって仙台南署から「大和町の契約駐車場に、お宅の車が勝手に停められている」と知らされ、急いで現場にやってきたのだった。

車はフルスモーク仕様だったため、外から中の様子は全く覗えず、さらに合い鍵は妻の母親が持っていたことから、男性は妻の母親に連絡し、到着を待っているところだった。

午後8時過ぎ、駆け付けた妻の母親と姉が車のロックを解除しドアを開けると、前の座席のシートが後ろに倒され、中には誰も乗っていなかった、ように見えた。

後部座席を確認した瞬間、母親と姉の悲鳴が上がる。男性はその場で腰を抜かした。
後部座席の陰に、妻がいた。その姿は激しく顔面を損傷し、さらには全裸であった。

事件概要

平成19年6月15日夜、仙台市若林区の契約駐車場内で、宮城野区蒲生東屋敷添在住の会社員、近江由希子さん(当時27歳)が、顔面から血を流して死亡しているのが発見された。
近江さんは14日夜、勤務先である大和町のスーパーつかさ屋大和町店を午後10時ころに退社。
しかし自宅に戻っておらず、同じスーパーの系列店に勤務する夫の貴信さん(仮名/当時31歳)が携帯電話に連絡するも、圏外だったという。
その後、15日の朝になって、由希子さんが勤務するスーパーから300mしか離れていない契約駐車場に、由希子さんの車が無断駐車されていたことから管理者が仙台南署に通報、午後6時半ごろ警察から貴信さんに連絡が入った。

由希子さんは発見当時全裸で、着ていたとみられる洋服や靴、食料品が入った勤務先のスーパーのレジ袋は車内にあったが、鍵と携帯電話、財布がなくなっていたことが分かった。

司法解剖の結果、由希子さんは顔面等を激しく殴られてはいたが、死因は窒息死であった。口と鼻を押さえつけられたような跡や、首に絞められたような跡もあったという。

由希子さんは普段、7キロほど離れた自宅アパートから車で通勤しており、スーパーの社員用駐車場に車を停めていた。したがって、この日も一旦は自分の車でスーパーを出ていると思われたが、近くの道路に設置されているNシステムには車が写っていなかったことから、勤務先から比較的近い場所で殺害され、すぐさま発見現場の駐車場に車ごと遺棄されたとみられた。
車は15日の午前4時半にはすでに現場の駐車場に停められているのを管理会社が確認している。

また、由希子さんの脱がされた着衣には一部泥が付着していた。ジーンズと下着が濡れていたことからも、当初は屋外で暴行され、その後車に乗せられたとみられていた。
発見時は後部座席にあおむけの状態だったが、助手席にも暴行後に一旦乗せられた形跡があったという。
しかし、その後の捜査で、由希子さんは最初から助手席に座っており、そこで運転席に座っていた人物に暴行を受けたとわかった。
さらに、由希子さんが抵抗したような様子がなかったことから、顔見知りの人物にいきなり襲い掛かられたとの見方が強まった。
助手席に残されていた由希子さんのカバンの中には、現金数万円が見つかっており、強盗などの犯行ではないというのも、「顔見知り」かつ「金以外の目的」での犯行と推察される根拠となった。

脱がされた衣類は、殺害後にわざと脱がせたとみられ、性的暴行の所見もなかったことから、犯人が偽装目的で服を脱がせた疑いも強まった。

6月19日、宮城野区内で執り行われた告別式では、貴信さんが涙ながらに「由希子を守ってやれなかった」と述べた。

しかし、捜査はその後なかなか進展を見せなかった。
犯人逮捕の一報が流れたのは、事件から3か月ほど経過した頃だった。

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【有料部分目次】
犯人逮捕
略奪愛
不可解な女
女尊男卑の家系
丸出しの嫉妬心
別れた女からの説教
事件の夜
勘違いの自己評価
裁判
真紀の心

🔓郵便局員が繰り広げた禍々しき愛の劇場~八尾市・妊婦襲撃事件~

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平成9年4月14日午後7時40分


大阪府八尾市南木の本4丁目。
仕事を終えてバスで帰宅した女性は、自宅近くのバス停から徒歩で自宅マンションへと向かっていた。
距離にしておよそ300メートル。いつもと変わらない、帰り道だった。

自宅マンション手前で、不意に背後から誰かにぶつかられた。
何か圧迫されるような、妙な感触を覚えた次の瞬間、それは激しい痛みとなって女性を襲った。
わけがわからないまま、女性は必死でマンションの階段を上る。もう少し、もう少し・・・
とめどなく流れる血をおさえることもできないまま、必死に自宅マンションのドアを叩いた。いつも女性より先に夫が帰宅しており、その日も夫は家にいた。

「誰かに刺された」

夫がドアを開けると、血まみれの妻がそういって両膝をつき、そのままおなかを庇うように仰向けに倒れた。
すぐに病院へ運ばれたが、おなかの赤ちゃんはすでに死亡していた。

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🔓暴力夫を餓死させて晴らした妻の怨~四日市・痛風夫餓死殺害事件~

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平成17年月23日夕方

近鉄四日市市駅にほど近い交番に、女が訪れた。
応対した署員に対し、付き添いの親族とみられる人に支えられながら、女は自宅で夫が死亡していることを伝えた。

県警四日市南署員が女とともに堀木2丁目の自宅アパートへ向かうと、玄関からは異様な臭気が漏れていた。

付き添ってきた親戚によれば、この女から夫が死んでいると電話を受け、驚いて一緒に交番にやってきたという。
夫は長年通風を患ってほぼ寝たきりだったというが、女は
「昨日普通に話したのに、朝になったら死んでいた」
と話した。

しかし、現場を確認した誰の目にも、夫が死亡したのが今朝ではないことは一目瞭然であった。

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【有料部分目次】
体重29キロ
異様な夫婦
四つん這いの男
考えることをやめた妻
求刑懲役8年、判決懲役4年6月