不可解な愛の流刑地~池田市・自衛官心中事件①~

平成18年8月15日

「主文。被告人を懲役6年6月に処する。」

この日、大阪地裁である事件の判決が言い渡された。
検察側の求刑は殺人罪での懲役15年だったが、言い渡された判決はそれを大幅に下回る、懲役6年6月というものだった。

判決を言い渡されたのは、元自衛官の藤田盛司(当時42歳)で、被害者は当時不倫関係にあったという同じ自衛官で元部下の女性だった。

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不可解な愛の流刑地~池田市・自衛官心中事件②~

不可解な心変わり

尾ケ井さんは本当に死を受け入れたのだろうか。
被害者を悪く言うつもりは毛頭ないが、尾ケ井さんが本当に自ら死を望んだのかどうかを考える上で、いくつか気になる点がある。

まず、新しい交際男性の存在である。
この男性は、先述の通り、同僚の女性自衛官から紹介された人物であるが、どうも真剣な交際というより、遊び友達という感覚での紹介だったようなのだ。
にもかかわらず、尾ケ井さんは自分からその男性に交際を申し込んだ。
しかし遠く離れて会うこともままならない藤田との不倫も続けていた。要するに二股だ。
しかも、同僚の女性自衛官にも、実母にも、「本命は新しい交際相手」であると明言していた。
そんな、奔放なと言ってしまうと語弊があるが、そういった女性が別れようとしている男と突然心中などするものだろうか。 続きを読む 不可解な愛の流刑地~池田市・自衛官心中事件②~

痛々しい、愛~広島・実母無理心中事件~

平成16年2月25日

冬の空に日差しが戻ったその日、1台の車が瀬戸内の橋を渡っていた。
昨日よりも5度ほど気温も高く、海風は冷たいながらも心地よいものだった。
助手席にいる母の横顔を、男はなんどもなんども確認した。
皺が刻まれた母の顔。女手ひとつで自分たちを育ててくれた、母。

どうしてこうなってしまったのか。

使われていないフェリー用の桟橋に車を乗り入れると、男はそのまま海へとアクセルを踏んだ。 続きを読む 痛々しい、愛~広島・実母無理心中事件~

孤独な妄想男と叩かれまくった被害者~島根・父子殺傷事件①~

平成17年7月28日

夏の日差しが降り注いでいたこの日、その家に暮らす少年は父親にキャッチボールの練習をせがんだ。
消防士の父はこの日も出勤予定だったが、10歳になる息子とともに自宅前の道路に出た。
自宅前はT字路になっており、車の往来はそのT字路の奥にある2軒以外にはほとんどなかった。早朝ということもあり、父子はその道路でキャッチボールを始めた。

キャッチボールを始めてしばらくすると、奥の家から車が出てくるのが見えた。
ゆっくりと進んできたその車は、背を向けていた長男の背後3mほどまで近づいた時、突然スピードを上げ、そのまま長男を背後から撥ねた。
驚いた父親が駆け寄ると、車から運転していた中年の男が下りてきた。そして、父親に持っていた包丁を振り下ろしたのだ。

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孤独な妄想男と叩かれまくった被害者~島根・父子殺傷事件②~

被害者叩き

事件直後の新聞各紙を見てみると、同じような見出しが躍っていた。
「長男はね父親刺殺 近所の男逮捕 飼い犬でトラブル?」読売新聞
「男児はね、父親刺殺 容疑で男逮捕、ペットのトラブル原因か」毎日新聞
「長男はね父親を刺殺 近所の男逮捕「飼い犬うるさい」」四国新聞
これ以外にも、全国紙の紙面には飼い犬をめぐる騒音トラブルがあったかのような記事が掲載され、この事件がご近所のマナーをめぐって起きた事件であるかのような印象がもたらされた。

中にはご丁寧に、石川家が飼っていたのは大型犬で、家の前を通るとしょっちゅう吠えていた、などといった「近隣住民」の声も掲載された。 続きを読む 孤独な妄想男と叩かれまくった被害者~島根・父子殺傷事件②~