550円で奪った命と無期懲役~東京駅・コンビニ店長刺殺事件~

平成14年7月21日早朝

男はその日、いつものように始発電車の切符を買い、東京駅と八王子駅を結ぶJR中央線に乗り込んだ。
早朝5時とはいえ、この季節はすでに外は暑い。男は八王子と東京駅を往復するその電車に乗って、睡眠をとるのが日課になっていた。
6時45分、電車が東京駅に着いた。寝付けなかった男は、空腹を覚えとりあえず東京駅に降り立った。
ふと目についたコンビニに入り、そっと辺りをうかがう。
「大丈夫、これまでも一度もバレなかった」
おにぎりとパン、そしてコーヒー牛乳を隠し持ったまま、男は店を出る。
男はそれまでもこの店で何度も万引きをしていた。東京駅構内のコンビニという立地上、客が多く混雑する中での万引きは楽勝であった。
しかし、この日男の行動の一部始終を店員が見ていた。 続きを読む 550円で奪った命と無期懲役~東京駅・コンビニ店長刺殺事件~

夫と子供を殺した女が欲しかったもの~佐賀・長崎父子連続保険金殺人①~

平成10年10月27日

諫早市の幹線道路にあった「ファミリーマート小長井店」に主婦らしき女性が駆け込んできたのは深夜を回った頃だった。

店の前に乗りつけられた白の軽自動車から降りたその主婦は、息せき切って店内に駆け込むと
「早く!捜索願を出して!息子がいなくなった」
と叫んだ。

慌てた店員が事務所から110番通報すると、主婦はその電話をひったくって自ら状況を説明していたという。
よく見ると、主婦もずぶ濡れで、警察に通報する内容からもどうやら息子が海に転落したようだということが分かった。

地元警察から依頼を受けた小長井漁協の組合員らは船を出して捜索に参加し、40分後、岸壁から50m離れたところで少年を発見。
引き上げられた少年は靴を履いたままだった。
捜索に参加した組合員らは胸に引っかかるものを感じていた。

「靴が脱げてないということは、溺れたにもかかわらずもがかなかったということか?落ちた瞬間に心臓麻痺でも起こしたのだろうか。溺れた割には腹も膨らんでないから水も飲んでない。
それにしても、明日も学校があるのに深夜からイカすくいなどするもんだろうか。なにより、イカの時期はもうとうに終わっているのに…」

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夫と子供を殺した女が欲しかったもの~佐賀・長崎父子連続保険金殺人②~

運命の出会い

礼子は疲弊しきっていた。
そんな折、克彦さんと口論になった際、「お前はお手伝いさんたい」と言われ唖然とする。
平成4年の正月には克彦さんの母親からも、「克彦が離婚ば考えよるとよ。財産は全部こっちのもんやけんが。子供らも全部引き取ってうちで面倒ばみるけん」と追い打ちをかけられた。

Aさんとの関係はいまだに続いていた。仕事はパートを転々としてはいたが、自分一人で自立できるには危うく、ましてや子供たち3人を連れていけるわけもなかった。
さらに、家計が回らず、町内会の会費を60万円使いこむなどしており、その穴埋めのために山口夫婦は相当な借金があった。礼子名義の借金だけでもなんと一千万円に上っていたという。

そんな時、スナックを訪れたのが外尾だった。 続きを読む 夫と子供を殺した女が欲しかったもの~佐賀・長崎父子連続保険金殺人②~

夫と子供を殺した女が欲しかったもの~佐賀・長崎父子連続保険金殺人③~

次男

外尾は、かねてから実母が書けていた生命保険の掛け金を徴収するために外尾の実家を訪れていた保険外交員の女性から金を引き出すことを思いつく。
外尾自身も、自分の生命保険をその外交員を通じて加入した経緯もあり、お互いに懇意にしている仲であった。
外尾は、その外交員の成績アップに貢献すれば、いずれこの外交員の女性から金銭を借りられるのではないか、または、消費者金融から借金する際の保証人になってもらえると考え、まず礼子を紹介した。
外尾も自分の生命保険をかけ、さらに礼子の子供たちの保険を最大限度までかけた。
そして、思惑通り平成7年の4月から5月にかけ、その外交員から150万円を借りること、そして消費者金融の保証人にさせることも成功した。 続きを読む 夫と子供を殺した女が欲しかったもの~佐賀・長崎父子連続保険金殺人③~

夫と子供を殺した女が欲しかったもの~佐賀・長崎父子連続保険金殺人④~

母親と、愛

礼子の幼少時代については先にも触れたとおり、取り立てて目立ちもしない、ごく普通のおとなしい少女であった。
家族皆が女遊びの激しい父親に背を向ける中、礼子だけは父を慕った。鍼灸師の母親は苦労しつつ、それでも子供達のためにとその父とは離婚せず、礼子らが独立した後に離婚した。 続きを読む 夫と子供を殺した女が欲しかったもの~佐賀・長崎父子連続保険金殺人④~