そそのかした少女の母の、正気の沙汰~熊谷・男女4人殺傷事件~

「二人は将来を奪われた。だから(犯人であるあなたも)未来があっていいはずがない」

彼女は職場の上司と同僚を目の前で殺傷され、拉致されたあげく口と鼻に接着剤を流し込まれた後、首を絞められ胸を刺され、瀕死の重傷を負った。
命は助かったが、その傷跡は季節の変わり目になると勝手に疼きだす。そのたびに、あの日の忌まわしい出来事が嫌でもよみがえる。
包丁を見るたびに体が硬直し、円形脱毛症も発症した。夜はラジオやテレビをつけていないと眠れず、うなされて飛び起きることもしばしばだ。

生きている自分を喜べないほどに、彼女の精神は打ちのめされたままだった。

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そそのかした少女の母の正気の沙汰~熊谷・男女4人殺傷事件②~

巻き込まれた被害者への仕打ち

鈴木さんを殺害した後、尾形らがしたのはたまたま居合わせた女性らの「始末」だった。
鈴木さんとともに205号室へ連れ込まれたB子さんは、鈴木さん殺害の一部始終を目の当たりにさせられた。
そして、会社からの依頼で鈴木さん方を訪ねたC子さん、C子さん方で同居していたD子さんについても拉致し、殺害することをその場で少女Aも少年も「合意」していた。

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自己憐憫の夫がつけた、やり過ぎた妻へのおとしまえ~日立母子6人殺害事件①~

2017年10月6日

月明かりに照らされた家族の寝顔を、男はしばらく眺めていた。
リビングのテレビが、午前4時39分を告げたころ、男は答えを出した。
左利きの男は左手に包丁を持ち、妻と子供が眠る寝室へと向かう。

午前5時ごろ、茨城県日立市田尻の県営上田沢アパート7棟から出火。
通報で駆け付けた消防によれば、そのアパートに暮らす小松恵さん(33)とその子供ら5人の合わせて6人が倒れているのを発見、長女以外はその場ですでに死亡、長女も病院に搬送されたが病院で死亡が確認された。

騒動になった頃と時を同じくして、日立署に一人の男が現れた。
脚にやけどを負い、錯乱に近い状態のその男は、応対した署員にこう告げた。

「ごめんなさい、妻と子供を刺して火をつけました」

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自己憐憫の夫がつけた、やり過ぎた妻へのおとしまえ~日立母子6人殺害事件②~

恵さんへの違和感

幼い子どもたちとともに突然殺害された恵さんについて、報道によれば「しっかり者のお母さん」「病院で薬剤師として働く立派な人」「働かない夫から暴力を受けていた」というようなものばかりである。
被害者という立場を差っ引いても、夫である小松被告のクズっぷりが凄いため恵さんについては同情の声しかない。
しかし、どうも私は恵さんという女性について、そういった世間の声と本人像が合致せずにモヤモヤしたものがあった。

被害者を貶める意味ではなく、客観的に冷静に恵さんという女性を見た場合、事件が起きてしまった要因もまた見えてくる。もちろん、だからといって殺されて良いはずは全くない。

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満期出所しても許せない、被害者遺族の慟哭~恵庭OL殺害事件~

2018年8月12日、札幌刑務所。

黒の乗用車がその門から出てくると、周辺で待機していた報道陣からフラッシュがたかれた。
さほど多い数ではないが、地元新聞社をはじめいくつかの取材陣が彼女の出所を待っていた。

大越美奈子元受刑者。

彼女は2000年に恵庭市で同僚女性を殺害したとして逮捕起訴され、この日16年に及ぶ刑を終え、出所した。
彼女は逮捕前から裁判中、そして現在に至るまで一貫として無実を訴え続けている。担当弁護士は逮捕当時から変わらず伊東秀子弁護士。
表情をうかがい知ることは出来なかったが、彼女は今何を思うのだろうか。 続きを読む 満期出所しても許せない、被害者遺族の慟哭~恵庭OL殺害事件~