残念な家族~岐阜・嬰児殺害コインロッカー遺棄事件~

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昭和60830

暑い盛りの岐阜市。名鉄新岐阜駅はその日も多くの乗客や、隣接する新岐阜百貨店の客らで賑わっていたが、その百貨店の一階北東側のコインロッカーの周辺には警察官らの姿があった。

異臭がする、という通報で駆けつけた警察官がコインロッカーを開けると、そこにはビニール袋に包まれた嬰児の遺体が押し込められていたのだ。

嬰児は生後間もない男児で、へその緒が付いたまま。当然ながらすでに死亡、腐敗が始まっていた。

警察では生後間もなく殺害して遺棄されたとして、岐阜市内の産婦人科などに聞き込みをしたが、不審な妊婦や、出産したのに出生届が出ていないといった事案は見つからなかった。

しかし2年後、ひょんなことからこの事件が解決となった。そこには、登場人物全員残念としか言いようのない秘め事があった。

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老いてなお~成人した子を殺さざるを得ない親~

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まえがき

令和元年6月1日、練馬区の住宅で76歳の父親が44歳の息子をメッタ刺しにして殺害するという事件が起こった。
これだけでも衝撃的すぎる事件だが、その父親が元農水事務次官であったこと、息子がSNSやオンラインゲームの世界である程度有名な人物であったことなどから、ネットを中心に連日取り上げられるようになった。

一方で、殺害された息子が長いこと問題を抱えていたことや、それを献身的に支え続けた両親の姿も浮かび上がってきた。

そんな中、逮捕された父親が息子殺害の動機として、「いつか息子が誰かに危害を加えるのではないか」という思いがあったと語ったことで、問題を抱えた子供を抱える年老いた親たちの切実な思いもクローズアップされることになる。

ただ、高齢の親が問題を抱える成人した子供をその手で殺すという事件は、なにもこの事件が初めてでもない。珍しくもない。
有名なところでいえば、平成8年に起きた湯島の金属バット息子殺害事件があるが、これ以外にも高齢の親が子供を殺害する事件はいつの時代にもあった。

今回は、過去に起きた老親による子殺しに焦点を当てたい。そこから見えてくるものは、はたしてあるのだろうか。 続きを読む 老いてなお~成人した子を殺さざるを得ない親~

押し入れの秘密と、もう一つの死~和歌山・嬰児殺害遺棄事件~

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平成17年12月17日

「すみませんでした……」

大阪府泉南郡岬町の宿泊施設。捜査員に事情を聞かれた女は、そういってうなだれた。
「あの子らは、誰の子なんや?」
そう聞かれた女は、
「3人は自分が出産した子です。」
と答えた。

この日から3日前の12月14日、和歌山市内のマンションの空き室から、合計3体の乳児らしき遺体が発見されていた。そして、その部屋に直前まで住んでいたのがこの女だったのだ。

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🔓愛すればこその結末~日比谷公園内無理心中事件~

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平成19年6月4日

東京地裁刑事10部506号法廷。
女性弁護人は、分厚い最終弁論の束をめくりながら淡々と読み上げていく。
しかし淡々とした口調とは裏腹に、語られるその内容はその場にいる全員の頭上に重く重くのしかかり、法廷全体を深く沈みこませていた。

「被告人の身に起きたことは、一人の人間が抱えることのできる許容量をはるかに超えている」

弁護人の声は静かに、そして強く法廷に響いた。

事件概要

平成18年6月10日午後11時50分ころ、東京都千代田区の日比谷公園内で、小学生くらいの男の子が胸から血を流して死亡しているのを、通行人が発見した。
さらには、男の子に覆いかぶさるようにして胸や両手首から血を流している女性もおり、病院に搬送され、一命をとりとめた。

警察の調べで、ふたりは川口市在住の母と子で、亡くなった男児は横山翔くん(当時10歳)、母親は51歳と判明。
現場の状況から、母親が翔くんを殺害し、自らも後を追おうとしたとみられた。
しかしこの事件は大きく報道されることはなかった。新聞各社も、事件を報道したのは二日後、内容としても無理心中か?という程度の短いものだった。

しかし、その後10ヶ月にも及ぶ裁判で明らかにされた母親の人生は、誰もが絶句してしまうような、それこそ弁護人のいう、「抱えきれる範囲を超えた苦難」に満ち満ちたものだった。

母親が最期に出した答えとは。

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【有料部分目次】
生まれた直後からの苦難
経済的な苦難と、長女
心身の苦難
投影性同一化
もうだめ
愛他的殺人

🔓仇~宮城・乳児二人殺害死体遺棄事件~

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平成16年9月8日

宮城県古川市、JR古川駅前交番。
女は明らかに思い詰めた様子で、応対した警察官はただならぬ雰囲気に気圧されていた。
「子供を殺した。」
呆然とした様子でそう警察官に伝えた女は、さらに驚愕の告白をする。

「二人とも殺した。」

警察官は古川署へ任意同行を求め、事情を聞いたところ、女の供述通り古川市内の女の自宅からまず一体、そして、女の実家の敷地内からも、小さな小さな遺体が出た。
自宅から見つかった遺体は腐敗が激しく、また女の実家から出た遺体は白骨化していたが、女は埋める前に庭にあった焼却炉で遺体を焼いたと言った。

事件概要

宮城県警捜査一課と古川署は、1歳になる長男の遺体を自宅に隠したとして出頭してきた古川市江合本町一丁目の無職、丹野洋子(当時22歳)を死体遺棄容疑で逮捕した。
さらに、自宅を捜索した際に洋子の夫で亡くなった子供たちの父親である丹野耕司(当時22歳)も同容疑で逮捕。
洋子の話では、7月下旬ごろに長男・洸希(こうき)ちゃん(当時1歳)を耕司が殴って殺害し、その遺棄を命じられたという。
当初は押し入れに隠していた。しかし腐敗が進んだことから処分するよう耕司に強く求められたものの、遺棄することもできずに、良心の呵責に耐えかね出頭したのだという。
また、陽子の実家から出た遺体は、次男の有己(ゆうき)ちゃん(生後一か月)であると自供。有己ちゃんも、耕司が殴りつけて殺害していた。
驚くべきことに、有己ちゃんが殺害されたのが6月中旬、洸希ちゃんが殺害されたのはそのわずか1か月後だった。

しかも、耕司は取り調べに対し、
「子供が好きではなかった。かわいくなかったので殴った。」
と供述しており、捜査本部では殺意があった可能性も視野に入れて捜査を始めた。

感情が高ぶり、思わず強く殴ってしまったら死んでしまった、死ぬとは思わなかったというありがちな言い訳を、耕司はしようともしなかった。
それどころか、洸希ちゃんが死亡した際、
「こんなに簡単に死ぬんだったら、最初からもっと本気で殴っとけばよかった」
と、母親の洋子に言い放っていたのだ。

その後、殺意があったとして10月に入って耕司を殺人容疑で、洋子を殺人ほう助の容疑で再逮捕し、仙台地検はすでに起訴されていた死体遺棄容疑に追加して起訴した。

幼いわが子を短期間にふたりも殺害し、遺棄するという極悪非道の事件だったが、平成17年9月6日、仙台地方裁判所は耕司に対して懲役17年(求刑20年)、洋子に対しては懲役4年(求刑7年)の判決を出した。
異様に軽いように思われるこの判決。
その背景には、耕司の残酷すぎるある体験が深く関係していた。

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