🔓そそのかした少女の母の、正気の沙汰~熊谷・男女4人殺傷事件~

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「二人は将来を奪われた。だから(犯人であるあなたも)未来があっていいはずがない」

彼女は職場の上司と同僚を目の前で殺傷され、拉致されたあげく口と鼻に接着剤を流し込まれた後、首を絞められ胸を刺され、瀕死の重傷を負った。
命は助かったが、その傷跡は季節の変わり目になると勝手に疼きだす。そのたびに、あの日の忌まわしい出来事が嫌でもよみがえる。
包丁を見るたびに体が硬直し、円形脱毛症も発症した。夜はラジオやテレビをつけていないと眠れず、うなされて飛び起きることもしばしばだ。

生きている自分を喜べないほどに、彼女の精神は打ちのめされたままだった。

2003年8月。酷暑の熊谷市で、男女関係の恨みをかった男性が殺害された。そして、たまたま同じアパートに居合わせた無関係の女性3人も巻き添えになり、うち一人は殺害された。助かった女性二人も、かなりの重傷を負わされた。
犯人グループは男女3人。主犯格は尾形英紀(当時26歳)という。尾形はその後死刑判決となり、事件から7年後の2010年7月28日に死刑執行された。

しかし、被害者らにはもうひとり決して許せない人物が残っていた。
主犯格の男に殺害をそそのかした当時16歳の少女Aである。

(注:被害者について、鈴木秀明さん以外の女性被害者はすべて名前を伏せる。理由は、被害者B,Cさんが勤務していた飲食店について被害者に不利になる情報があること、また、存命の被害者の精神的苦痛が大きいこと、さらには被害者がおそらく匿名を条件に応えたであろうインタビューなどを引用していることから、こちらも匿名とした)

忌まわしい「あの日」


2003年8月18日、熊谷市箱田7丁目にあるアパートの205号室で、B子さんは同じアパートの別の部屋に住む職場の上司・鈴木秀明さん(当時28歳)に頼まれ、スラックスのほころびを直していた。
このアパートは、鈴木さんやB子さんらの職場が寮として借り上げていたアパートであったため、住人は職場の同僚らで構成されていた。
そこへ、インターホンがなり、鈴木さんが応対すると、そこには尾形と少女A、少年の3人の姿があった。B子さんは面識のない人物だったが、鈴木さんは知り合いのようで、何やら玄関先で押し問答をしているように見えた。
すると、一人の男が鈴木さんを自分の部屋である202号室に戻れ、と言うようなことを言い出した。
そして、B子さんにも同行するよう強要し、二人を鈴木さんの自室である202号室へと連れ込んだ。

そこで突然尾形が、鈴木さんを座らせたうえで罵倒し始めた。
「お前、わかってんだろうな。なに俺の女に手を出してるんだ。お前、俺の女をやろうとしただろう」
鈴木さんはひるむことなく「知らねぇよ、やってねぇよ!」と言い返したが、尾形は鈴木さんの頭を蹴ったり殴ったりし始めた。
そして、隠し持っていた包丁を取り出すと、鈴木さんの腹部に押し当て、軽く突くような仕草を見せてなおも脅した。
包丁を見てこれは尋常ではないと察した鈴木さんは、手を出したことは否定しつつも態度を一変させ謝罪した。
しかし、尾形は「ヤクザをなめんじゃねぇぞ!」などと激高し、俯せにつんのめった鈴木さんの背中を数回包丁で突き刺した。
唸り声をあげる鈴木さんに対し、「うううじゃねぇよ!」と言ったかと思うと今度は腹部を突き刺し、傷口からはみ出した鈴木さんの腸の一部を包丁の先に乗せ、「こいつ腸がでてるよw」と笑った。
そして、右ひざを包丁で刺した後、痛みでのた打ち回る鈴木さんに布団をかぶせると、「早く死ね!」と言いながら鈴木さんの首を踏みつけた。

鈴木さんは苦しみの中、出血多量で絶命した。

鈴木さんが死亡した後、標的になったのは当然、一部始終を目撃させられたB子さんだった。尾形らはB子さんをその場から拉致し、失踪したように見せかけようと企て、少女AにB子さんの私物(財布や携帯など)を205号室に取りに行かせた。
少女はこの時、B子さんの3万円を盗んだ。
するとそこへ、たまたま鈴木さんを訪ねて同じアパートの106号に住むC子さんがやってきた。出勤時間が過ぎても出勤してこない鈴木さんを心配した職場から、様子を見に行ってほしいと頼まれてのことだった。
不穏な空気の中、尾形らは悟られまいとしてB子さんに対応させようとしたが、B子さんは動揺しきっていたため、C子さんも同じように拉致して殺害しようと決める。
C子さんの私物を少年に取りに行かせると、C子さん方には人がいた。同居していたD子さんである。
D子さんに顔を見られた少年がそれを尾形に伝えると、尾形はD子さんも拉致して殺害することにし、D子さんも鈴木さん方へ引き込んだ。

尾形らは車のトランクにC子さんを押し込み、B子さんとD子さんを後部座席に座らせた。
車は恐怖のドライブへと走り出した。

【有料部分 目次】
尾形と少女Aのそれまで
鈴木さんとの関係と、事件まで
巻き込まれた被害者への仕打ち
「やっちゃう」の意味
事件二週間後で「心が落ち着いた」母親
母親が許せなかったこと
鈴木さんへの責任転嫁
被害女性の思い
母親の自戒と、「でも」

恋人の頭を踏みつけた男の心の闇~岐阜・同級生男女殺傷事件~

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2007年4月28日

白々と夜が明け始めた午前5時20分。
通行人の男性が、路上に倒れている女性を発見して通報した。女性は頭部をひどく損傷しており、車にひかれたのかとも思われたが、そうではなかった。
当初、女性の身元は分からなかったが、のちの調べで近くのアパートに住む衣料品店店員A子さん(当時23歳)と判明。
捜査員が彼女の自宅を訪れると、そこには会社員の武井亮さん(当時23歳)があおむけに倒れ、すでに絶命していた。
A子さんは頭部を鈍器のようなもので殴られており、意識不明の重体。
警察は、A子さんの部屋に亡くなった男性とA子さん以外の人物がいたとみて、その後、部屋にあった持ち物から一人の男を特定、同日夜にはその男の身柄を各務原市で確保した。

男は小野正人(当時23歳)といい、亡くなった男性とA子さんとは中学の同級生であった。

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恋人の頭を踏みつけた男の心の闇~岐阜・同級生男女殺傷事件②~

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過去の事件

小野は、15歳であった平成11年3月に、障害や恐喝など複数の罪で少年院へ送致されていた。
このころ、小野は自分の体臭が過度に気になる「自己臭恐怖症」という症状に悩まされていたという。この症状自体はとりわけ珍しいということではなく、普通に社会生活を送っていた人でも、ある出来事をきっかけに自己臭恐怖症に陥ることはある。
周囲の人が何気なく口や鼻に手をやっただけで、自分が臭いからではないか、と思い込んでしまい、その思いから逃れられなくなるというものだ。
思春期には少なからず気にしてしまうこともあるし、根気よく面接療法、認知療法を行うことで症状の改善を図る。

小野の場合、仮退院の時期が近付いたことで社会に対応できるかどうか不安が募り、自己臭恐怖症のほかに不眠状態にも陥っていた。
そのため、平成12年の4月には医療少年院へ移された。その後も症状は改善されず、さらには「死ね」といった自分を批判するような幻聴まで聞こえるようになってしまい、医療措置がとられた。
8月になって、小野は別の病院を受診してそこの開放病棟に任意入院したが、1か月もしないうちに職員の説明に応じず暴れるなどしたため閉鎖病棟へ移された。
そして事件は起こった。
9月21日、清掃していた別の入院患者が、ふざけて小野の尻をほうきの柄で軽く叩いた。それに小野は激怒、その入院患者を殴り、倒れこんだ入院患者の顔を足で数回踏みつけた。入院患者は頭部に怪我をしたことに絡んで肺炎を併発し、そのまま死亡した。

さらに、翌13年の6月、看護助手から持ち物についての注意を受けたことに激高し、前回同様その看護助手の頭部を10回にわたって踏みつけ、全治6か月の重傷を負わせた。

結局、小野は看護助手への暴行で逮捕され、6月2日には緊急措置入院がとられた。そこから半年にわたって観護措置を経、その後平成16年1月まで、医療少年院で過ごした。
この時小野は二十歳で、医療少年院を出た直後に成人式に出席し、武井さんと再会していたのだ。
医療少年院を出た翌日から平成18年11月27日まで、複数の病院に通院していた。

小野はこの時点でなんらかの病名がついていたのかもしれないが、裁判記録では明らかになっていない。しかし、薬の服用はあったとみられる。
A子さんと交際を始めた18年の末には、病院への通院はしていなかった。




非社会性パーソナリティ障害

事件後、当然小野には精神鑑定がなされた。
武井さんとA子さんへの常軌を逸した行為は、言葉を選ばずに言えば常人の行動とは思えないからだ。
裁判所は、平成20年4月、第一回公判時に鑑定を行った医師に鑑定人尋問を行った。
鑑定の目的は、①犯行時、および現在の小野の精神状態 ②犯行時、小野が自身の行動について善悪の判断ができていたか、その判断に基づいた行動が出来る能力を有していたか否か、有していた場合はその程度 についてであった。

鑑定結果としては、
①小野は統合失調症ではない
②自己臭恐怖症ではあるものの、それほど強固なものではない
③小野は非社会性パーソナリティ障害の判断基準を満たす
④犯行後は、親しい友人らを殺害したという非日常的な行為に対する著しい精神的興奮に起因する心因性もうろう状態を一時呈したと考えられる
ということが記されている。
総合すると、小野は心神耗弱状態ではなかったし、犯行当時に小野を錯乱させるような幻聴や幻覚、妄想はなかった、とした。
その一方で、小野は非社会性パーソナリティ障害であり、その障害は小野の責任能力に影響はしない、と鑑定した。

鑑定を行った医師は、鑑定医として20年以上のキャリアを持ち、精神鑑定については30件以上の経験を持つベテランの鑑定医であり、専門知識に文句のつけようがなかった。
過去に統合失調症と判断された点についても、そのことを念頭に置いたうえで鑑定をしており、その上で「統合失調症ではなかった」と判断している。
むしろ、小野本人の生来の人格が関係しているとした。したがって、責任能力には問題はない、と結んでいる。




この、非社会性パーソナリティ障害とはどういったものなのだろうか。
特徴としては、社会規範を遵守する意識に欠け、他人を傷つけたり他人の権利や財産を侵害したり奪ったりしても罪悪感を持つことがないとされる。
少なくとも15歳より前にそういった症状が出ることが要件であり、幼いころから癇癪を起こしたり、他人を過度に傷つけて欲求を通すといったこともある。
わかりやすい具体例で言うと、社会のルールを守る気がそもそもないため、交通違反を平気で繰り返す(暴走族などとは違う)、仕事が全く続かない、それによって経済的に困窮すれば、窃盗を繰り返す、家族や恋人の財布から盗むといった行動を平気でやる。
また、過度に攻撃的な面を持ち合わせているため、単なる言い争いで止まらず、突然殴りかかったり、自分より弱い相手が対象だと致命傷を与えるまでおさまらないということもある。
彼らの辞書に責任という文字はなく、嘘をついているという意識すらない。とにかく、自分の欲求を満たすことが最優先である。
鑑定では、診断基準:ICD-10が用いられ、以下の基準に該当しているかどうかで判断された。
a:他人の感情への冷淡な無関心。
b:社会的規範、規則、責務への著しい持続的な無責任と無視の態度。
c:人間関係を築くことに困難はないにもかかわらず、持続的な人間関係を維持できないこと。
d:フラストレーションに対する耐性が非常に低いこと。および暴力を含む攻撃性の発散に対する閾値が低いこと。
e:罪悪感を感じることができないこと、あるいは経験、特に刑罰から学ぶことができないこと。
f:他人を非難する傾向、あるいは社会と衝突を引き起こす行動をもっともらしく合理化したりする傾向が著しいこと。持続的な易刺激性も随伴症状として存在することがある。小児期および思春期に後遺障害が存在すれば、いつも存在するわけではないが、この診断をよりいっそう確実にする。(出典 医療法人社団ハートクリニック)

小野はこの診断基準に合致していると診断された。




「俺が守ってやる」

小野はそもそもなぜ、武井さんとA子さんを殺害しようとしたのだろうか。
自身が三重に引っ越すことで、A子さんと物理的に会えなくなる可能性が高いことを悲観し、当初は無理心中を図るつもりだったかのような供述もしているが、実際にはA子さんよりも武井さんに対する攻撃の方が執拗である。もちろん、武井さんがA子さん宅へやってきたのは想定外であったはずで、やはり狙いはA子さんだったのだろう。

武井さんを殺害した動機としては、A子さんからのSOSを受けて駆け付けた武井さんが、A子さんに対し、「俺が守ってやる」と口走ったことがきっかけだと供述しているが、確かにこの発言は引っかかるものがある。
A子さんと交際していたのは小野であり、武井さんではない。A子さんがけがをさせられて小野が家を追い出された後も、決して小野の一方的で強引な誘いのもとにA子さんが会っていたわけでもない。
ましてや、武井さんとA子さんの間に男女の関係があったということもない。
にもかかわらず、武井さんはA子さんに対し、「俺が守ってやる」と言ったのだ。(注:ただしこの公判供述はのちに信用性がないとされた)
推測でしかないが、武井さんが言ったことが事実ならば、おそらく以前からA子さんは武井さんに相談していたのではないか。それをうけて、武井さんは「わざと」三重県のパチンコ店を斡旋したのではないか。そうすれば、A子さんと小野の接点は物理的に遠くなり、小野の執着心も薄れるのでは、と考えたのではないだろうか。
「俺が守ってやる」その言葉に深い意味などなかったのかもしれない。面倒見の良かった武井さんの事だから、解決してやる、今後小野がまた近づいてきたら俺が何とかしてやる、そういった意味合いであったと思われる。
しかし、A子さんに並々ならぬ執着心を抱いていた小野にしてみれば、激高するに値する言葉であったのもわかる。
そこでもう一つ疑問がある。武井さんとA子さんは、小野の過去を知らなかったのだろうか。



なぜ、小野と関わったか

武井さんと再会したのは平成16年の成人式である。先にも述べたが、この直前まで小野は医療少年院にいた。直接的な理由は看護助手への暴行であるが、その前にも同じやり方で入院患者を暴行し、結果死なせている。
これを武井さんらは知らなかったのだろうか。
小学校からの同級生と言えば、岐阜クラスの地方都市ならある程度の情報は耳に入るのではないか。ましてや、少年院送致などの事態ともなれば、余計だ。
また、A子さんにしてみても、なぜ小野と交際することになったのか。2度の暴行については少年院や病院内での話であるため、また、当初小野は統合失調症と診断されていたため、その点で情報が全くなかったとも考えられる。
それでも、非社会性パーソナリティ障害である小野の言動は、周囲の人間には耐えがたいものであったとも思うのだが、若い武井さんらにその判断は出来なかったのだろう。
武井さんが小野にことさら目をかけた本心は、本当のところはわからない。しかし、自宅に住まわすということを見ると、やはり純粋な「人助け」であったようにも思える。
小野は、幼いころ父親の暴力を受けて育ったという。そのご両親が離婚すると、母親が女手一つで小野を育てた。小学校の同級生だった武井さんにしてみれば、小野の不遇な幼少時代を知っていたから、余計に捨て置けなかったのかもしれない。
それを、小野はこれ以上ないというほどの「恩を仇で返す」という手段に出た。
A子さんは搬送時意識不明で、その後の治療は受けたものの、植物状態に陥る可能性もあった。奇跡的に意識が回復し、A子さんの懸命のリハビリによって回復はしてきたが、それでも右半身の運動機能障害、言語障害、高次脳機能障害という後遺症が残っている。
それ以外にも、顔面を含め激しく踏みつけられたことでの怪我の痕や、武井さんに助けを求めたことで結果、武井さんが殺害されてしまったという精神的なダメージは計り知れない。

武井さんの遺族は、裁判も傍聴し、小野に対し極刑を強く望んだ。

平成21年7月15日。岐阜地方裁判所は、小野に無期懲役を言い渡した。




人ではない、なにか

小野は非社会性パーソナリティ障害であるため、反省したり、経験から学んだりということが全くできない。人の気持ちを考えるなど、出来るはずもなかった。
小野は遺族に対し謝罪文すら書かず、反省の弁も裁判の終盤でようやく促されるままに述べた程度で、おそらく本人の中では「仕方がなかった」のであろう。
また、小野は裁判の途中であった平成19年に、弁護士との面会中に法務事務官を殴った。バカという言葉では言い足りないほど、いや、あえて言いたい、もはや人ではない。
裁判長も判決文の中で、過去に2度も少年院送致があり、矯正、更生の機会が与えられていたにもかかわらず、まったくその機会を生かそうとしていない、と断罪した。さらに、自身の事を気にかけ、なにかと世話を焼いてくれた武井さんを殺害し、交際相手であったA子さんの頭を踏みつけるという野蛮極まりない暴力を振るった。
人は、特に日本人は、なにか暴力的な衝動が起こっても、手が出るのが通常だ。足で蹴る、ましてや踏みつけるという行為はなかなかやろうと思っても出来るものではないのだ。
しかし、小野は過去の犯罪も含めすべて、「足で踏みつける」という行動に出ている。
テレフォン人生相談でおなじみの幼児教育研究家・大原敬子先生によれば、「足蹴にする」というのはその人を見下している事の表れだという。
小野は、他人に対する尊厳などは持ち合わせていないから、気に入らないと踏みつけるという癖があったのだろう。
まるで、子どもが思い通りにならずに地団駄を踏むように、どうしてわかってくれないの、どうして言う通りにしないの、どうしてどうして・・・

最近ではこのような障害を持つ人を温かく見守ろう、理解しようという動きが盛んである。もちろん、出来ることならそれが一番良い。
しかし、うまく機能しなかった時の代償がこれでは、「そうでない」人々はどうすればよいのか。
もしも過去の事件での対応が違っていたら、武井さんもA子さんも被害に遭わずに済んだのではないか。
人権、尊厳、大切なことだ。しかしその観念を持ち合わせない相手にも、それは保証しなければならないのだろうか?
人の命が紙きれのように吹き飛んだとしても。

 


最後までお読みいただきありがとうございます。こちらから1文字2円のコメントが送れます。
いただいたお気持ちは資料集めに使わせていただきます。

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参考文献 判決文

自己憐憫の夫がつけた、やり過ぎた妻へのおとしまえ~日立母子6人殺害事件①~

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2017年10月6日

月明かりに照らされた家族の寝顔を、男はしばらく眺めていた。
リビングのテレビが、午前4時39分を告げたころ、男は答えを出した。
左利きの男は左手に包丁を持ち、妻と子供が眠る寝室へと向かう。

午前5時ごろ、茨城県日立市田尻の県営上田沢アパート7棟から出火。
通報で駆け付けた消防によれば、そのアパートに暮らす小松恵さん(33)とその子供ら5人の合わせて6人が倒れているのを発見、長女以外はその場ですでに死亡、長女も病院に搬送されたが病院で死亡が確認された。

騒動になった頃と時を同じくして、日立署に一人の男が現れた。
脚にやけどを負い、錯乱に近い状態のその男は、応対した署員にこう告げた。

「ごめんなさい、妻と子供を刺して火をつけました」

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自己憐憫の夫がつけた、やり過ぎた妻へのおとしまえ~日立母子6人殺害事件②~

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恵さんへの違和感

幼い子どもたちとともに突然殺害された恵さんについて、報道によれば「しっかり者のお母さん」「病院で薬剤師として働く立派な人」「働かない夫から暴力を受けていた」というようなものばかりである。
被害者という立場を差っ引いても、夫である小松被告のクズっぷりが凄いため恵さんについては同情の声しかない。
しかし、どうも私は恵さんという女性について、そういった世間の声と本人像が合致せずにモヤモヤしたものがあった。

被害者を貶める意味ではなく、客観的に冷静に恵さんという女性を見た場合、事件が起きてしまった要因もまた見えてくる。もちろん、だからといって殺されて良いはずは全くない。

続きを読む 自己憐憫の夫がつけた、やり過ぎた妻へのおとしまえ~日立母子6人殺害事件②~