🔓ロマンチストは現実を見ない~加古川女教師殺害死体遺棄事件~

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彼女はいつもシンプルな服装をしていた。
教師という職業柄もあったのか、また、どちらかというとボーイッシュな顔立ちから自分には女性らしい恰好は似合わないと思っていたのか。

「10センチのヒール履いてみたい」

友人にそう話した彼女に、友人は「履いたらええやんか」というと、「無理やわ」そう言って彼女は笑った。

消えた校納金550万円

平成20年11月末、兵庫県加古川市立加古川中学校では外部の業者に支払うために預金残高を確認していた。
二つの口座で管理されていた校外活動費は生徒から集めたもので、各学年の会計担当の教師が通帳と印鑑を管理、業者への支払いなどを行っていたという。
ところがこの月、1年生の会計を担当していた女性教師が11月27日から無断欠勤をしており、かわりに別の担当者が口座の残高を確認して支払いをしようとしたところ、その残高が明らかにおかしいことに気づく。
不自然な入出金が夏ごろから11月まで計16回も行われ、引き出された合計は1160万円。その間、入金なども行われていたが差し引きでの現時点での残高不足は550万円にも上っていた。

学校は口座があった金融機関の防犯カメラなどを調査、すると、会計を担当していた女性教諭が口座から現金を引き出す姿が映っていたことから、この女性教諭が横領した疑いが強いとして、12月11日までに捜索願と共に業務上横領の容疑で加古川署に刑事告発した。

女性教諭は市内で一人暮らしをしていたというが、27日以降、部屋に戻った形跡はなく、家族を始め誰とも連絡がつかない状態にあった。
その後、平成21年3月10日、県教育員会は3か月にわたる無断欠勤を理由に、その女性教諭を懲戒免職処分にしたと発表。
新学期が始まっても、女性教諭の行方は杳として知れなかった。

【有料部分 目次】
休耕田の白骨遺体
事件の真相
老兵の勘
イタい女
貢ぐ女
暴走、そして終焉へ
ロマンチストは現実を見ない

🔓忘れないで~生きた証④ 続・鬼の棲む家~

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松本〇〇くん(名前不詳/奈良県月ヶ瀬:平成10年7月4日死亡/当時生後8か月)

その男の子は、生後4か月から病院にいた。意識を失い、ずっと寝たままで。
4か月後、まだ1歳にもならない小さなかわいい男の子は、1歳のお誕生日が来る前に、その短い人生を終えた。

奈良県警奈良署は平成20年3月10日、生後4か月の双子の長男と次男に対し虐待を加えたとして、奈良市月ヶ瀬の夫婦を殺人未遂の容疑で逮捕した。
ふたりは共謀し、生後間もないころから双子の兄弟に激しい暴行を加えており、保護された際、長男は慢性硬膜下血腫を、そして次男にいたっては心肺停止で救急搬送されたが、その後低酸素脳症となり、4か月後に脳死と判断された。

死亡した次男は発見時、目を覆うほどの虐待の痕跡のみならず、その腹部には赤ペンで「ブタ」「死ね」という落書きまであった。
両足の骨は折れ、肋骨は11本が骨折していた。

通常、このような重大虐待事件は周囲や行政が気づいていながら防げなかった、という話がついて回るものだが、この事件に関しては周囲が全く気付くことができなかった中で起きていた。

【有料部分 目次】

それまで
いらなかった双子
「バンジー」
「なぜ死んだのかわからない」

鈴木杏実(あずみ)ちゃん(名古屋市南区:平成13年7月17日死亡/当時7歳)
あぶない家
それまで
体罰で子は育つ
悪魔人間
子供たちの悲痛
救おうとしなかった祖母
裁判と信じられない「ふたりのその後」
繰り返される事件、解明されない現実

🔓ボクの女神さま~恐ろしい女part2・淀川リンチ殺人事件~

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平成19年2月、大阪の淀川から、バイクをくくりつけられた少年の遺体が発見された。
後に、少年が男女交際のトラブルから誤解を受け、複数の少年を含む男たちにリンチを受けていたことがわかり、当時16歳の少年が主犯格として逮捕された。
主犯格の少年の裁判では殺意を否認する少年に対し、被害者遺族が激高、傍聴席から罵声が飛び、退廷間際に柵越しに被害者の関係者が被告の少年を蹴るという一幕もあった。
主犯格の少年については令和になって別の事件との関連が噂されSNSで注目されることもあったが、この平成19年の事件は「淀川リンチ殺人」として注目された事件である。

その事件より前、同じように激しいリンチの末に淀川に重しをつけて放り込まれ、死亡した男性がいた。

もうひとつの、「淀川リンチ殺人事件」。

【有料部分 目次】

淀川の遺体
変わり果てていた息子
逮捕された二人
三人のぞれぞれ
鎌首を擡げる女
切り刻みたい衝動
疼き
ボクの女神さま

更新情報とお知らせ

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令和6年4月19日:🔒愛しているから、苦しんで~浜松市・小3女児殺害事件~
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令和6年4月10日:蠢く隣人part2~調布市・小6女児殺害事件~
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令和6年3月22日:かしの樹の下で~中国人妻と残留孤児の事件~
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令和6年3月11日:🔒お父さんは悪くない~続・ある家族の崩壊への軌跡/八尾市・長男バラバラ殺人事件~
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令和6年3月4日:片隅の記録~三面記事を追ってpart6~
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令和6年2月19日:🔓それぞれの死~いくつかの被疑者、被告人の死~
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令和6年2月12日:片隅の記録~三面記事を追ってpart5~
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令和6年2月9日:母に売られた私たち~実母による売春強要事件~
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令和6年2月1日:🔓死刑台の笑い~京都連続女性殺害事件~
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令和6年1月22日:愛についてPart2~岡山女児監禁事件・宮城被害者は女王様事件〜
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令和6年1月9日:片隅の記録~三面記事を追ってpart4~
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令和5年12月27日:🔓ロマンチストは現実を見ない~加古川女教師殺害死体遺棄事件~
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令和5年12月16日:片隅の記録~三面記事を追ってPart3
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令和5年12月5日:忘れないで~生きた証⑥~
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令和5年11月14日:忘れないで~生きた証⑤~
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令和5年10月28日:🔓忘れないで~生きた証④続・鬼の棲む家~
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🔓理由なき最期と、「再会の日々」〜宮城・女性殺害事件〜

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平成18年1月31日。
宮城県名取市の県立がんセンターにおいて、一人の父親がこの世を去った。
まだ50歳。愛する妻や娘たちの今後を本当ならば見守ってあげられる年齢だった。

そして彼には、平成13年からこれまで、犯罪被害者遺族の権利拡大を求めての活動という、大変な仕事があった。

曵地正美さん。彼の当時二十歳の愛娘は、同じ歳くらいの若者複数名に激しい暴力を加えられ、苦しみ抜いた挙句死亡し、その亡骸は冬の雪深い山に棄てられ、燃やされた。

犯人たちを殺してやりたいほど憎んだ父と母は、それでもその加害者たちとの「再会」を望んだ。
それは、固く閉ざされ絶対に開けられるはずがないと誰もが思っていた、犯罪被害者や遺族にとって大切な大切な、ある権利を得るための闘いの日々でもあった。

いなくなった娘

事件は平成12年の年の瀬に起きた。
宮城県柴田郡柴田町。人口約3万7千人、船岡城址、一目千本桜などが有名で、その季節には様々なイベントが催されることでも知られる。
阿武隈川の北、JR東北本線と岩沼バイパスに挟まれるように位置するところに、四日市場という地区がある。
畑が広がる長閑な地域。ここで暮らし成人式を間近に控えた若い女性の行方がわからなくなっていたのだ。

行方がわからなくなったのは、柴田町四日市場在住のアルバイト、曵地里美さん(当時20歳)。

平成12年12月19日の朝、曵地さん宅では里美さんの両親、祖父母、二人の妹たちが揃って朝食を食べていた。当時里美さんはアルバイトで帰りが遅くなることも多く、翌日予定がない場合は昼頃まで寝ていることもあったといい、朝食の席に里美さんがいないことは珍しくなかった。
この朝も、昨夜里美さんが帰宅したことを確認していた家族は、いつものことだと気に留めていなかった。
ただ、朝方玄関の鍵が空いていたことに母親の豊子さんが気づいていて、違和感を覚えてはいた。
また、祖父が朝方目を覚まして4時頃にラジオを聴いていた時、玄関先で里美さんの声が聞こえていたという。

18時、豊子さんが里美さんの携帯に電話を入れたところ、何やら里美さんの様子がいつもと違っていた。

「西公園(仙台市青葉区)の先輩のところにいる。」

話は里美さんが一方的に話す感じだったようだが、里美さんはその日の早朝、先輩に呼び出され合流し、別れた直後にいわゆる「レディース」に絡まれたと話した。
殴られ、金を取られるなどしたものの、別れた先輩が戻ってきたことで助けてもらい、今はその先輩の家でケガの手当てをしてもらっているのだという。

突然のことで、また娘が怪我をさせられたり金を取られたなどという事態で母親の豊子さんも動転したのか、話をうまく聞き出せないまま電話は切れた。
20時、再び里美さんから豊子さんに連絡があった。が、内容としては夕方に話したものとたいして変わらず、バイト先には休むことを伝えているとか、一人で電車で帰れるとか、そういったことを里美さんは伝えてきた。
とにかく、詳しい話は帰宅してからでもよかろう、そういう判断もあって、駅に着いたら迎えに行くから電話するように伝え、電話は終わった。

しかしこれが最後となってしまった。
以降、どれだけ家族が電話をかけても、それに里美さんが応じることはなかった。

里美さんは、この電話のわずか5日後、死亡する。

【有料部分 目次】
家族の苦悩
プリクラの先輩
不穏な動き
額の黒いシミ
若者たち
約束破ったっぺ
地獄の日々
もう、死にたいです
遺体にサングラス、遺棄現場の替え歌
民事を見据えた、刑事裁判
当事者であり続けるために
届いた手紙
本人訴訟
殺意の有無
加害者の親としての自覚
それぞれとの、対峙
帰ってくるわけでもないし……
戦いを終えて、そしてこれからも