差別と自死で煙に巻かれた本筋~奈良・月ヶ瀬女子中学生殺害事件~

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください
**********

 




平成9年5月4日。
月ヶ瀬村の嵩集落にある自宅へと続く鬱蒼とした道路を、少女はひとり歩いていた。ついさきほど別れた友人の姿は、もう見えなくなっている。
自宅まではここから坂道を登っておよそ500m。鬱蒼とした村道ではあるが、幼いころから知っている慣れた道である。
顔見知りの商店のおばさんの車とすれ違う。この道を通るのはほとんど顔見知りの村の人ばかりだ。

背後から来た車が不意に停車し、運転手が声をかけてきた。
「乗っていくかい?」
充代さんは、顔を上げた…

続きを読む 差別と自死で煙に巻かれた本筋~奈良・月ヶ瀬女子中学生殺害事件~

🔓差別と自死で煙に巻かれた本筋~奈良・月ヶ瀬女子中学生殺害事件②~

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください
**********

 

高野嘉雄弁護士の存在

それに着目したのが、奈良弁護士会の高野嘉雄弁護士である。
殺人事件、少年犯罪などの刑事事件で弁護を重ね、裁判では情状面を非常に重視する弁護士としても知られる。
「弁護人は(被告にとって)最後の情状証人」であるとし、たとえどんな犯罪を犯した人間であっても、自身の感性を研ぎ澄ませ、全力でぶつかり弁護していくという、弁護士からも尊敬される大変優秀な弁護士である。
甲山事件、奈良の小一女児殺害事件などの有名な刑事事件を手掛けたほか、無銭飲食、窃盗などの比較的軽微な事件でもその精神は同じであった。

誠人の弁護には3人であたっており、弁護と言うよりも誠人の心をどうすれば開かせることが出来るのか、誠人の本当に言いたいこと、苦しかったことをきちんと世間に伝えたい、その上で、誠人に立ち直ってほしい、そういう思いをもってこの事件に臨まれたと推測する。

【有料記事 目次】
・与力・区入り制度
・浦久保家との関係
・家族をして「根源」と言わしめた母親
・放火疑惑と花瓶事件
・叱られることを知らずに育った男
・誠人が囚われた呪縛
・被害者遺族への中傷と「人の道」
・その後

ここからは有料記事です