🔓弟が殺した兄の名は「ヒトラー」~福岡・15歳少年兄殺害事件~

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平成17年6月23日午後3時

6月の湿っぽい空気が漂う福岡県福岡市南区。
1階にテナントがある商業兼住居用ビルの4階に住む住人は、エアコンを入れるほどの暑さではないものの、風通しを良くするために玄関のドアを半開きにしていた。
午後のけだるい時間、ふと、何やら外廊下で人の争うような声を聞いた気がした。

時間をおかず、自宅の玄関ドアが開いたかと思うと、人が倒れこむようになだれ込み、住人は仰天する。
「どうしたの!!!」
倒れこんだ人はケガをしているようでどこからか出血していた。
ふと顔を上げると、玄関にはも少年が立っていた。返り血を浴びたと思われるその少年は、まだあどけなさの残る顔をしていた。
少年は手にしていた包丁を、倒れこんだ人間に深々と突き立てると、何度もそれを繰り返した。
そして、息も絶え絶えで動かなくなった人間を引きずって、風呂場へと連れて行った。

血の海

福岡県南区鶴田3丁目のとある古びたビルから110番通報が入った。
駆け付けた警察官らは、6階建てのそのビルの4階部分で思わず足を止めた。廊下には血痕が点々と続き、その壁には被害者がよろけて手をついたと見られる「血の手形」があちこちにあった。
通報で現場だと言われた4階の部屋はさらに凄惨な光景が広がっていた。
玄関には血だまりというには大きすぎる、まさに血の海と言うほかないほどの状態で、そこから浴室へと引きずった血の跡が続く。

浴室には、被害者が上半身を浴槽に突っ込まれる形で絶命していた。
浴槽にはぬるま湯が張られ、それもまた血に染まっていた。

警察官らは現場で血まみれで立ち尽くしていた少年に、ゆっくりと、慎重に声をかけた。
「どうしたと、なにがあったと?」
すると少年は、取り乱す風もなく淡々と、
「兄貴を刺した。まちがいありません」
そう答えた。

少年は15歳の中学3年生で、同じマンションの同じ階に住んでおり、被害者は17歳の兄だという。
ふと警察官は、血まみれの少年の体にも傷らしきものがあることに気付く。少年の前歯はなく、首のあたりを何かで切り付けられたような痕だった。

少年は南警察署へと連行され、取り調べを受けた。疲れ切った様子であったものの、その夜に出された夕食もしっかりと残さず食べ、よく朝は起床時間の7時まで泥のように眠っていたという。

兄弟の間に何があったのか。当初は些細な兄弟げんかが行き過ぎたという見方もされていたが、実際は些細なことではなかった。

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【有料部分目次】
兄弟のそれまで
われの名はヒトラー
その日
「ずっと友達だから」
忍耐という選択

「🔓弟が殺した兄の名は「ヒトラー」~福岡・15歳少年兄殺害事件~」への6件のフィードバック

  1. 殺害された兄と高等専修学校で同級生だった者です。事件から10余年が経ち事件のことをふと思い出しこちらのサイトに辿り着きました。
    事件のことや人間性について克明に記されており驚きました。
    彼とは別のクラスでしたがこちらで書かれている通りかなり浮いている様子だったかと思います。不登校児を受け入れている学校でしたのでヤンチャな生徒と静かな生徒の二極化が大きかったのですが彼は静かな生徒の中でヤンチャな事をして目立とうとしていた印象です。
    ハンドルを大きく曲げた自転車に跨がり日本国旗をカゴに取り付けて登校していました。
    事件翌日の登校時には学校の前に多くのテレビカメラが待ち構え箝口令が出されたのを覚えています。

    1. テムズ さま
      初めまして、コメントありがとうございます。
      お兄ちゃんと同級生だったのですか…
      静かな中でヤンチャして目立とうとする、学校以外の場所(バイト先など)でもそういう印象だったようです。

      デコチャリだったんですか!!
      お兄ちゃんは暴君と呼んでいいレベルで家庭に君臨していたわけですが、それでもこの結末はやり切れない思いがしますね。
      弟も、自分の身を守るためにやらざるを得なかった。これは家庭裁判所でも一定の理解を示されていますから。

      弟くん、元気でいるといいですね。

  2. 冒頭ですが、隣人(隣とは書かれてませんが)の見てる前で、
    玄関でめった刺しにし、浴室まで引きずって行ったということですか?

  3. 切ないですね。ただただ切ないですね。

    多分子供達は親が離婚した時に、母親を一生懸命支えようとしたのでしょうね。

    兄はそういう思いから歪んでいったのかも知れません。

    ちゃんと兄弟ケンカが出来ていたのか、気になります。

    私には2歳上の姉がおります。子供の頃はよく遊んだりケンカもしたりしました。

    小学生の時はケンカに負けていました。勝ちたくて仕様がありませんでした。

    そんな事を思っていながら、高校生になったある日、些細なことでケンカになりました。格闘技をやっていた私は、咄嗟に「アキレス腱固め」をいう技を仕掛けました。

    あー!という悲鳴に驚き技を外すと姉は台所から包丁を持って来ました。

    「あんたこれ以上は殺し合いやで!」

    これ以降は、大きなケンカもなく、うまくやっていけました。

    今の所、刃物を突き付けられたのはこの時だけです。

    この弟を、兄を空手とかで打ち負かしていたら、或いは、関係修復できたかも知れません。難しいと思いますが。

    それから、離婚理由も気になります。強い拒絶があったみたいです。浮気というよりか、家事を分担しないというか、押し付けてくるからと想像します。

    母親は家事が嫌いだったのかも?料理も得意でなかったかも?

    自論で「家で食べるご飯がおいしいと、まあ、大丈夫」と思っています。

    良いものでなくてもいいです。食べる人が美味しいと感じれは良いのです。卵かけご飯でも良いのです。

    大人はまだ外で食べればいいです。子供は家しかないのです。うちの奥さんにも子供が喜ぶものにしてくれとお願いしています。

    家で食べるご飯がおいしいと子供は早く帰って来ます。夜遊びしません。

    本当に長くなってしまって申し訳ないです。

    最後に、妹は大丈夫だったのか心配です。

    1. ひめじの さま
      いつもコメントありがとうございます。
      長くても大歓迎です、お姉さんとの格闘、リアルですね・・・
      この兄弟がこんな結末を、しかもこんな若いうちに迎えなければならなかったのかと思うと本当にやるせないです。
      兄もおそらく、生きにくかったんでしょうね。その鬱憤を上手く晴らせなかった。
      母の離婚理由は、記事には書いてませんが父方の実家の話によると「金銭感覚の違い」だったそうです。父親は大工だったのですが、あればあるだけ妻が使ってしまっていたとか。
      ただ、父方の実家の話ですから、母にも言い分はあろうかと思います。

      妹は警察に対しても上の兄(被害者)からひどい扱いを受けていたことを話しているので、おそらく下の兄(加害者)がしたことも妹なりに受け止めたのかなと思います。
      風呂に入っていて現場を見ていなかったのがせめてもの救いです。

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