🔓落城~知多市・一家6人無理心中事件~

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平成17年2月、岐阜県中津川市で高齢の母親に対する感情から、その母親と自分の娘とその夫、息子、孫2人の計6人を殺傷(うち5人死亡)したとして施設職員の男(当時57歳)が逮捕された。
生まれたばかりの孫まで手にかけるという残忍な犯行だったが、男も自殺を試みており一命を取り留めたが構図としては無理心中を図ったとされた。

家族といえども死亡者は5人。裁判では当然、死刑求刑がなされた。しかし判決は無期懲役。長年にわたる男の母親による妻への嫌がらせに悩んでいたことや、遺族が極刑を望んでいない、再犯の可能性もないとしての判決だった。
高裁、最高裁と進んだが、最高裁は上告棄却。男の無期懲役は確定した。
中津川一家6人(娘婿は生存)殺傷事件。

その事件からわずか2ヶ月後の愛知県知多市。
新学期を楽しみにしていた姉弟、その母親、祖父母とおじ。家族計6人が団地の一室で、またもや家族によって殺害された。

【目次】
発覚
その家族
落日まで
兄弟
間違った思いやり
家族という城

親父〜尾鷲市・少年による父親殺害事件〜

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「最近、父ちゃんどうしてる?姿を見んけれど」
不意に声をかけられた少年は、
「父さんは家出したみたいで……家に帰って来んのです」
と答えた。
この借家には少年とその父親が暮らしていた。アル中で仕事もろくにしない近所でもいい評判のないその父親。一家の家計はこの少年が遠洋漁業に出た稼ぎで賄われていた。
どこかで野垂れていなければいいが。そう思いながらも、むしろあの父親はいない方がこの少年にとってはいいのかもしれない、そんな思いを抱きながら住人は少年を見つめた。

しかし父親は実は家にいた。正確には、殺害されて床下に埋められていたのだった。 続きを読む 親父〜尾鷲市・少年による父親殺害事件〜

片隅の記録〜三面記事を追ってpart13〜

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もうひとつの惨劇の朝

立派な木造の家屋が今、焼け落ちようとしていた。呆然と立ち尽くし、我が家が焼け落ちるのをその家の主人はただただ見守るしかなかった。
一体何が起きたのか。
いつもと変わらぬ、普通の日曜の朝だった。朝餉の匂い、近所の畑で野菜をとる人、休日出勤の人々……
少しぐずついた空模様ではあったが、日中は25℃まで上がる予報だった。

しかし今、その日常は目の前の家屋とともに、崩れ去ろうとしていた。

カマ男

平成3年7月14日午前5時45分、埼玉県神川町の農業・奥原実さん(当時70歳)方に男が押し入り、1階の今で書類整理をしていた実さんの背中を持っていた刃物でいきなり刺した。
実さん方には次男(当時37歳)が同居しており、当時は2階の自室でまだ就寝中だったが、父親の悲鳴を聞いて飛び起き階下へと降りたところ、次男も背中などを切られ怪我を負わされた。

実さんは必死に逃げたが、裏の物置で力つき、倒れ込んでいたという。
救急搬送されたが、残念ながら出血多量で死亡が確認された。

男は次男を切りつけた後、その場から立ち去っていた。

その頃、実さん方から少し離れた場所の伊藤茂十郎さん(当時69歳)は、庭先で農作業の準備を始めていた。梅雨があけ、伸びてきた畑の畔の雑草を刈っておかなければならない。伊藤さんは草刈り用の鎌を2本、畑を持っていくために用意していた。
そこへ、ふらりと男が現れた。誰だったろう?見たことはある気がするが。
そう思っていると、男は無言で庭先へ入り込み、用意してあった鎌を両手にそれぞれ持つと、突然伊藤さんに斬りかかってきた。
伊藤さんは身をかわすも額を斬りつけられたが、大きな怪我には至らなかった。

その近くの畑では、主婦の落合芳江さん(当時61歳)が野菜を収穫していた。今日の分の野菜を採り終え、自宅へ戻ろうとした時。
伊藤さん宅から出てきた男が突如襲いかかってきた。芳江さんは咄嗟に近くの落合作治さん(当時58歳)宅に助けを求めた。玄関先に出て気た妻の晴代さん(当時56歳)が助けようとすると、男は2人に襲いかかってきたという。
「お父さん!!!」
妻の叫びに奥から落合さんが飛び出してきた。男が鎌を持っていることに気づいて、玄関にあった孫の虫取り網を構えたという。
男は無言。何も言葉を発しないまま、1分間ほど睨み合った状態が続いたというが、不意に男は隣の家の方へ歩いて行った。
落合さんの次男(当時25歳)がそれを追い、男が隣家へ侵入しようとした際に持っていたゴルフクラブで男の足を叩いたところ、男は立ち去った。

その後、男の行方は途切れたが、すでに警察に通報がなされており、また男の見た目から人物も特定されていた。
男は近くに暮らす当時56歳の無職だった。近所の人らによるとアルコール依存症で入院していたことがあるというが、それ以外にも失恋したことで精神的に不安定になっていたという話もあった。
その後の警察の調べでは、精神分裂病(当時。現在では統合失調症)で入院歴があったことも分かった。

実さんと次男以外は比較的軽傷だったが、最後に男は隣の地区の小学校教諭宅へやってきた。
すでにパトカーのサイレンなどで騒然となっていたため、その家の主婦・茂木美知子さん(当時50歳)も何事かと玄関先に出てきていた。
そこへ、男が現れた。
手には鎌と角材、足元は裸足。そしてその上半身は返り血に染まっていた。
後退りする美知子さんを鎌で切り付けた男は、屋内へ逃げた美知子さんを追って上がり込んできた。そして、出てきた夫の賢さん(当時53歳)にも角材を振り下ろし、2人に怪我を負わせた。
「火、つける」
男の言葉に、賢さんは美知子さんを連れて家を飛び出した。その直後、二階部分から出火。そしてそのまま、木造モルタル二階建ての家屋は瞬く間に炎に包まれてしまった。

男はどこへ……?

男の出現からわずか30分の凶行だった。
実さんが死亡、合計9人が死傷し、1軒が全焼するというあまりにも結果は重大だった。
しかもこの時点で男の行方はわかっていなかったが、のちにその焼け落ちた家の中から、焼死体が出た。
茂木さん方は全員逃げており、となればこの遺体は男のものか。
司法解剖の結果、遺体は9人を襲って火を放った男と断定された。

男は母親と弟との3人暮らしだったが、薬が合わないと不安定になることがあったという。
昭和53年に本庄市内の精神病院に入院して以降、入退院は6回に及んだ。今回は2月1日まで通院しており、家族によれば不安定な様子はなかったという。ただ前日に1合ほど酒を飲んでいたようだ。

男の中に何が起きていたのか。

事件は被疑者死亡で書類送検となった。

手放せなかった母ふたり

令和7年12月、東京歌舞伎町の風俗店所にあった冷蔵庫の中から、ナイロン袋やタッパーに詰められた 嬰児の切断遺体が発見された。
後に逮捕された20代の母親は、出産後に気を失い、気づいた時には明らかに赤ちゃんが死亡していたため、隠蔽するために遺体を切断したと供述。
しかしどこかに捨てるわけでもなく冷蔵庫内に置いたいたことについては、
「傍においておきたかった」
と話した。

福島・田島町の母親

平成16年12月、福島県田島町 塩江(現・南会津郡南会津町塩江)の町道で、うずくまっている女性を通りすがった男性が発見した。
女性は血の気が失せたような青白い顔をし、気持ちが悪いと訴えたために男性は救急車を呼んだ。
ところがその後女性の首などに切り傷があり、「ここへは母親と来た」「一緒に死ぬつもりだった」などと話したため、警察は女性が保護された周辺の山林を捜索したところ、保護された場所にほどちかい林道の入り口付近に中年の女性が倒れているのが発見された。女性はすでに死亡していた。
しかしそれだけでは終わらなかった。保護された女性が、「男児の遺体を持ってきた」とも話していたのだ。警察はさらに付近の捜索を続け、旅行カバンのような物を発見。中には、 赤ちゃんらしき「ミイラ」が入っていた。

福島県警田島署は、女性を母親殺害の容疑で逮捕した。逮捕されたのは埼玉県草加市在住の無職・名嘉山日向子(仮名/当時27歳)。
殺害されていたのは日向子の実母、名嘉山千代子さん(当時51歳)で、死因は首を絞められたことによる窒息だった。
そして、旅行カバンの中のミイラは、日向子が平成13年11月初旬に自宅で出産した子供と判明した。
この田島町は、母親の千代子さんの実家がある町で、現場から実家まではそう遠くない距離だったという。ただ、しらせを受けた実家の親族らは「千代子さんとは何十年も連絡を取っていなかった」と話し、今回日向子と田島へ来たことも知らなかった。

日向子はそれまで実家で両親らと4人で暮らしていたという。どういう経緯かは不明だが日向子は妊娠。千代子さんが日向子の妊娠を知っていたかどうかは分からないが日向子は費用がかかるからと中絶手術をしなかった。
そして日向子が選んだのは、とりあえず産んで生きていれば即座に殺すというもの。
実際に生まれた赤ちゃんは産声をあげる前に母親である日向子によってその首を絞められた。理由は、同居してある父親に知られたくなかったから、というものだった。
赤ちゃんの遺体はそのまま埋めたり捨てたりせず、自宅の引き出しの中にしまい込んだ

その後、千代子さんと日向子の間でどんな会話が交わされたのか。千代子さんは日向子に「一緒に死のう」と持ちかけてきたという。日向子が赤ちゃんの遺体を持ってきていたことからも二人の心中の意思は固かったろうし、長く帰っていなかった田島町へ来ていたことからも千代子さん主導という印象が強い。千代子さんが心中を持ちかけたのも恐らく、娘のしたこととそれをどうすることもできずに来た自責の念からだと見て間違いはないと思うが、結果、日向子は生き残った。
日向子自身も、首を切っていたが死にきらなかった。

福島地裁会津若松支部は、嘱託殺人などの罪に問われた日向子に対して懲役4年を言い渡した。

足立区の母親

平成10年8月6日。警視庁西新井署は次男の遺体を1ヶ月半にわたり放置したとして足立区の飲食店従業員、藤本恵(仮名/当時27歳)を死体遺棄容疑で逮捕した。
死亡していたのは当時1歳の駿也くん。
6日の夕方、近く住んでいる恵の父親から消防に通報があったという。しかしその通報内容は、「娘が帰宅したら娘の夫が首を吊っていた」というものだった。
しかし駆けつけた警察官らが見つけたのは、夫の遺体だけでなく、布団に寝かされた小さな遺体だった。

恵の供述によると、事件が起きたのは6月17日未明の事だったという。眠れずにグズる駿也くんに対し、イラついた夫が殴った。わずか一歳。駿也くんはそのまま死亡した。
大変なことになった、出頭しなければと思ったものの、夫婦には気がかりがあった。長男である。
長男は当時2歳で、7月17日が3歳のお誕生日だった。

なんとかその日まで、家族全員でいたい……

恵と夫は話し合い、長男の誕生日までは駿也くんの死を隠すことに決めた。そして、駿也くんの身体を維持するために氷で体の周囲を冷やし続けたという。
長男の誕生日が過ぎても、決心がつかなかった。夫婦は相談し、近々恵の父親に相談しに行くことにしていた。

しかし、夫はすでに耐えられなくなっていた。自分の下あまりに愚かな行為にか、それとも今後待ち受ける事態にか、あるいはその両方か。
警察は傷害致死と死体遺棄の疑いで夫を被疑者死亡で書類送検した。
恵についての続報は見つけられなかったが、長男の存在や駿也くんを丁寧に扱っていることについては考慮されたと思われる。

三重の逆恨み殺人

平成14年5月28日午前2時35分ごろ、静岡県沼津市の道路わきの空き地で車が炎上しているという110番通報があった。
しかも、その車の脇には体に火がついた状態の男性が立ち尽くしていたという。
男性は救急隊に助けられたが、意識不明の重体となった。何らかの事故なのか?それとも焼身自殺を図ったのか……?
警察が燃えた車を調べていたところ、これが事故や単なる自殺ではないということがわかった。
燃えた車のトランクの中から女性とみられる焼死体も発見されたのだ。

静岡県警沼津署は身元を調べるなど捜査を進めたが、この事件には三重県警から捜査員が派遣されていた。実は27日夜に三重県四日市市内で女性が行方不明になっており、関連性を調べるためだった。

三重の拉致事件

事件は5月27日の午後8時30分ごろ。三重県四日市市小古曽の病院で看護婦長をしている女性がタイムカードを押して退勤した直後、行方が分からなくなっていたのだ。
しかも婦長の軽四自動車近くの地面に血だまりが、さらに座席には大量の血痕が付着した座布団が置かれていた。
警察はその血の量が多いことから早い段階で犯罪に巻き込まれた可能性が高いと判断し、目撃情報や婦長の同僚、家族らから話を聞いていたが、その夜、駐車場近くで午後7時半と8時ころに同じ車が病院職員駐車場入り口付近にいたことが分かった。
中には60歳前後の男で、髪型はオールバックだった。
その場所は、駐車場に車を停めた職員が病院を出た後必ず通る場所だったことから、婦長は待ち伏せされ連れ去られた可能性が高かったし、犯人は婦長と顔見知りの可能性も高まった。
そして浮上したのが、一人の男の存在だった。

それは、婦長の姉の夫だった。

DV

トランクで焼死していたのはその後の司法解剖でやはり亀山市在住の婦長・今村礼さん(当時53歳)と断定された。
今村さんはまじめで人当たりがよく、患者からも「優しい婦長さん」と評判だった。会社員の夫と義母との3人暮らし。近所の人の評判も良く、加えてとてもきれいな女性だったという。
忙しい日々の合間の休日には近くで暮らす娘さんの家へ出向き、孫を連れて買い物に行くなど私生活も充実していた。

しかし今村さんには実は悩みがあった。それは、姉夫婦のことだった。
今村さんの姉は千葉県鋸南町で夫と暮らしていたが、約10年ほど前から夫に暴力をふるわれるようになったという。
あまりにひどい暴力に耐えかねた姉は身を隠すなどしてはいたものの、夫に見つかって連れ戻されることの繰り返しだった。この時代はまだDVに対する認識は甘く、また本人も決心が鈍ったりすることもあったと思われる。
そんな中で姉が頼りにしていたのが、今村さんだった。ようやく離婚を決意した姉が4月下旬に自宅を出たあと、姉の夫からは今村さん宅に「お前たちのせいだ、殺してやる」と書かれた手紙を送りつけられていた。
正しい判断能力を備えていた今村さんは、途方に暮れる姉に対し自分の身を守ることなどをアドバイスし、時には匿ってくれる場所や団体などを調べて紹介していたのだ。

それが、姉の夫の逆鱗に触れた。

被疑者死亡と共犯者

警察の調べで、炎上する車の近くで全身やけどを負ったあの男性は、以前重体で予断を許さない状態が続いていたが、その過程で今村さんの姉の夫と確認された。
燃えた乗用車は姉の夫が14日から28日までの予定で四日市市内で借りたレンタカーだったことも分かった。そして車内からは包丁も見つかっていた。
警察は、自分の結婚生活を邪魔されたと思い込んだ姉の夫が今村さんを刺してトランクに押し込めて拉致、今村さんもろとも自殺の道連れにしたとみた。
姉の夫は事件から11日後、一度も昏睡から醒めることなく死亡した。

一方の今村さんの死は、遺族にとっては非常に辛いものとなった。
大量の出血痕は今村さんが勤務する病院の医師らが命の危険があると危惧するほどだったため、発見された深夜2時の時点ではすでに死亡していた可能性が高かった。
しかし、司法解剖の結果、今村さんの血液に凝固したあとが認められた。これが意味するのは、火を放たれた際、今村さんはまだ生きていたということだ。意識はなかったと思いたいが、今村さんの死因は一酸化炭素中毒だった。

警察は姉の夫を今村さん殺害容疑で被疑者死亡のまま書類送検とした。

しかし事件には謎が残されていた。
今村さんが拉致されたあの時間、目撃された車には実は男が二人乗っていた、というものがあったのだ。
また、姉の夫が事件より前に別のレンタカーを借りていたことも分かっていたが、それを返却したのは姉の夫とは別の男だったという。
さらに、事件後の5月29日。今村さんの自宅に「次はお前の番だ。仲間がいるから放っておかない」という脅迫文が届いていた。消印は沼津。
これを出したのは、死ぬ前の姉の夫なのか?しかしほかに仲間がいると書いてもある……
警察は7月になって、一人の男を今村さんに対する逮捕監禁容疑で逮捕した。
逮捕されたのは茨城県霞ケ浦町の無職の男。今村さんの姉の夫の、弟だった。

当初否認していた弟だったが、その後の調べで兄に脅され今村さんの拉致に手を貸したことを認めた。
弟の逮捕によって、今村さん拉致から殺害までの詳細が明らかとなったが、弟によれば夫婦仲を裂かれたと邪推した兄から、妻の居場所を探るために妹である今村さんを拉致する計画を聞かされた。当初断っていたものの、何度も脅され共謀。兄に言われるがまま、レンタカーを返却したり手助けしたという。
あの日もふたりで今村さんを待ち伏せ。兄が今村さんをこん棒のようなもので殴りつけトランクに押し込める手伝いをした。

何の落ち度もない被害者を逮捕監禁した罪は重いとしながらも、弟も脅されていたことや、傷害行為は兄が行ったことなどを踏まえ、津地裁四日市支部は弟に懲役1年2月を言い渡した。

しかし弟は兄から金をもらっていた。その額、50万円。脅されたからというのとは違うような気もしないでもない。

事件は後味は悪いが一応、終結した。

ただ個人的にもう一つ疑問がある。
姉の夫は、妹である今村さんを利用して妻の居所を知ろうとしていたのではないのか。だから弟を巻き添えにして待ち伏せまでして拉致したのではないのか。
怒り、怨みで殺してやろうと思ったのなら連れ去る必要はない。連れ去ったのは理由があり、妻の居場所を吐かせたかったからに思えるのだが……。
しかも火を放った時、今村さんは生きていた。妻の居場所を聞き出せたから用なしと判断した、あるいはすでに死亡していると誤認したのかもしれないが、なぜその同じ現場で姉の夫も炎に包まれていたのか。憎い相手と同じ場所で死にたいだろうか。
警察は姉の夫の遺書らしきものを入手しており、自殺しようと思っていたのは間違いないと思うが、それは「この場、この時」だったのだろうか。こういうタイプは死ぬ時まで相手を苦しめなければ気が済まないので、憎き相手の目の前でそれこそ焼身自殺や飛び降りなど衝撃的な方法で自殺したりする(海外だと拳銃自殺が多いらしい)。とすれば自殺するにしても少なくとも妻を探し出してからではないのか。

「被害者も加害者も身内。気の毒でかける言葉もなかった」

四日市南署の幹部は読売新聞社の取材にそう語ったという。妻を守れなかったと夫は自責の念に駆られ、妹が自分のいざこざに巻き込まれて酷い最期を遂げることになってしまい、姉の憔悴も相当なものだった。
姉の夫は家族を破壊し尽くした。

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参考文献

日刊スポーツ新聞社 平成3年7月15日
読売新聞社 平成3年7月15日東京朝刊、平成10年8月7日、平成14年7月9日中部朝刊、平成16年12月7日、平成17年1月18日、4月19日、6月7日東京朝刊、
毎日新聞社 平成3年7月15日東京朝刊、平成14年5月30日(山下洋一郎)7月12日中部朝刊、11月5日、12月16日中部夕刊( 嶋野啓二郎)
中日新聞社 平成10年8月7日、平成14年5月28日夕刊、5月29日朝刊、6月6日夕刊
朝日新聞社 平成14年5月28日名古屋夕刊、5月29日名古屋朝刊、

週刊事件備忘録~虐待防止月間に寄せて~

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こんにちは。
11月は虐待防止推進月間です。この背景には実際に起きた凄惨な虐待殺人事件があります。
ご存知の方も多いと思いますし、事件備忘録でも取り上げた「小山市・兄弟投げ落とし殺人事件」です。父親と暮らしていた幼い一斗ちゃん、隼人ちゃん兄弟が、父親の知人から激しい暴力を受けた挙句、橋の上から投げ落とされるという信じられない事件が平成16年に置きました。
加害者の男はその後、死刑判決を受けます。しかし、東京高裁へ控訴中、病気で死亡したため公訴棄却となりました。

下山明宏元被告。事件発覚直後、一斗ちゃんと隼人ちゃんの父親が記者会見を行いましたが、それより以前からこの父親と下山元被告との関係などが取りざたされ、取り繕うように行われた会見の内容が想像をはるかに超えるレベルのひどいものだったこともあり、世間は下山元被告のみならずこの父親に対しても怒りを隠せませんでした。
下山元被告にも子供がいました。この事件では、一斗ちゃん隼人ちゃんのほかにも傷ついた子供たちがいたのです。下山元被告の娘は、一斗ちゃん隼人ちゃんが殺害される現場に居合わせていました。幸い、車の中で眠っていたためその現場を見ることはなかったと思われますが、目を覚ました娘は一斗ちゃんと隼人ちゃんがいないことを下山元被告に尋ねています。
その後、事件を取材したジャーナリストの河合香織氏によると、下山元被告の子供たちは姿を消し、それまで通っていた小学校からもその存在すら抹消されたかのような対応だったとのこと。
せめて今、平穏な日々を送っていてほしいと思います。

この事件をきっかけに誕生したのが、オレンジリボン運動です。今も現場に佇む二体のかわいいお地蔵さま。一斗ちゃんと隼人ちゃんを思い、地元の方が寄贈されたものだそうですが、一斗ちゃん隼人ちゃんのみならず、虐待を受けて命を奪われたすべての子供たちをずっと見守っているかのよう。

どんな事情、理由があろうとも子供に暴力をふるったりましてや傷つけ殺害するような人間を私は許しません。どれほど後悔しようともその後の人生が世のため人のために尽くそうとも、子供に死ぬほどの暴力をふるう人間を人間だとは認めません。動物ですらない、人のカタチをしたなにかでしかありません。
しかし、そうやってただただ許さない、責めるだけでは、救える命も救えないのも事実です。虐待をしてしまった人の心、その背景を知ることは、許すこととは違います。知ることと同情、共感は全く違います。
けれど知ろうとしなければ、絶対に「虐待されているのでは?」と思う、気づくことすらできない。だから、様々なケースを知り、その加害者の心を知り、話を聞くことは決して無駄ではないと思っています。

前置きが長くなりました。
今週の週刊事件備忘録は、虐待防止推進月間に寄せて、絶対に救えたはずなのに救えなかった虐待事件を取り上げます。

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忘れないで~生きた証⑫~

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小沼愛実(まなみ)ちゃん(神奈川県相模原市:当時3歳/平成13年3月7日死亡)

「(大丈夫か)」
男は布団の中の女児に声をかけた。薄暗い部屋の中、ぼんやりと女児の顔が浮かぶ。
その表情は、心配する我が父親を安心させるかのように、やさしく微笑んでいたという。
女児は翌朝、死亡した。死因は、内臓破裂による出血死だった。

平成13年7日深夜、相模原市淵野辺のアパートから119番通報が入った。通報者は、近所の知り合いから子供の意識がなくなったために救急車を呼んでほしいと頼まれていた。
救急隊が駆け付け、市内の病院へと搬送されたが子供は3月8日午前11時、死亡した。
死亡したのは小沼愛美ちゃん(当時3歳)。愛美ちゃんの死因は内臓破裂。腸の一部が10センチにわたって裂け、他の箇所にも穴が開いていたという。病院は警察に通報、相模原署は両親から事情を聞いたが、父親が暴行を加えたことを認めたため、殺人の疑いで父親の小沼信太朗(仮名/当時32歳)を逮捕した。

小沼家には、実はかなり前から虐待を疑う声が複数あったという。愛美ちゃんが1歳の頃、当時通っていた民間の保育園から「愛美ちゃんが園を休みがちで、体にもあざがある」という通報が福祉事務所に寄せられた。ケースワーカーが両親に面会したところ、「(愛実ちゃんが勝手に)風呂場で転んだ」と話したという。
この件は民生委員、信太朗の姉や母親にも連絡が行き、それぞれが信太朗夫婦に様々な助言やサポートを申し出たというが信太朗夫婦はそれを拒否、その後も愛美ちゃんの生傷が絶えることはなかった。 続きを読む 忘れないで~生きた証⑫~