🔓誤算~赤穂・祖父母殺害事件~

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平成28年2月5日午後1時過ぎ

兵庫県佐用町の土木建設会社。
社長の携帯に、従業員の男性から電話がかかってきた。
電話の主は、1年前に高卒で就職してきた19歳の男性社員。社長はその男性社員のことをとある事情からいつも気にかけていた。

「祖父が透析治療に行ってないと母から連絡が来ました。会社の車で家に戻っていいですか?」

男性社員の家庭の事情を知る社長は快くそれを了承した。若いのに、まじめで家族思いの男性社員。ある時は、夜通し病弱な祖父の背中をさすっていたと聞く。社長はいつも感心して見ていた。

しかしその時、すでにその男性社員の手は、夥しい血で染まっていた。

事件

平成28年2月5日午後1時25分頃、兵庫県赤穂市西有年の民家で、その家で暮らしていた夫婦が血まみれで倒れていると、仕事先から戻った同居する孫の男性が110番通報した。
警察官が駆け付けたところ、家の中のリビングで、普段着姿の初老の男女二人が倒れており、すでに死亡していた。

亡くなっていたのは、豊住信夫さん(当時69歳)と、妻の初美さん(当時64歳)で、いずれも死後数日内、と見られた。
ふたりにはそれぞれ頭部や胸、背中などに刺し傷や切り傷があり、部屋には荒らされたような跡もあった。玄関や勝手口もカギは開いたままだった。

第一発見者で通報者でもある孫の男性によれば、信夫さんは週に3回透析のため病院に通っていたといい、その日、信夫さんが透析に現れないことから病院が親族に連絡、その親族を通じて、同居する孫の男性に連絡がきたということだった。
孫はその日朝から出勤しており、その電話を受けて自宅へ戻ったところ、倒れている祖父母を発見した、という話だった。

捜査本部では、強盗ではなくトラブルの可能性が強いとみて、信夫さん、初美さんの交友関係やトラブルがなかったかなどを重点的に捜査していたが、6日になって、孫の男性がふたりを殺害したことを認めたとして殺人容疑でその孫を逮捕したと発表した。

逮捕されたのは、信夫さん夫婦の娘の子であるA少年(当時19歳)。
Aは、2月3日午後3時以降、発見される5日の午後1時25分までの間に何らかの方法で信夫さん夫婦を殺害したとみられた。
その後、本人が「3日の夜に頭などを殴った」「3日の夜から外出して家に戻っていない」と話していたことから、夫婦は3日の午後3時以降その夜にかけて殺害されたとした。

山間の静かな集落で起きた凄惨な老夫婦殺害。その犯人は、まさかの「心優しき孫」だった。

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【有料部分目次】
少年
その日
世間の同情
甘え
自由