まえがき
女はいくつもの顔を持つ。貞淑な妻として、強くひとり生きる女として、子を思う母として。
しかしそれら表の顔とは違う顔を見せるとき、運命の歯車は軋み始める。
メールもLINEも携帯電話すらない昭和の時代、物が溢れ多くの人は意識せずとも中流と呼ばれたあの頃、必死で生き抜こうとする女、誰にも言えない暗い過去を背負った女、なんの不満もないはずの恵まれた生活にため息をつく女がいた。
昭和に生きた、3人の女の話をしたいと思う。
【有料部分 目次】
翻弄された女
上野の事件
それぞれのそれまで
女の意地
「あの女には負けたくない」
くれない族の結末
調布の主婦
違い過ぎる二人
男の過去
鬼か、それとも
身元不明の遺体
ゆきずりの女
女の罪
もがき疲れて