🔓悪意~相模原・小3女児暴行死事件~

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平成11年2月26日午後4時30分

相模原市にある小学校の校庭で、少女が運動場のトラックを走っていた。
放課後の、人影もまばらな校庭を、もう、何週になるだろうか。時折、母親らしき女性や、同じ年頃の少女がその横を伴奏することはあったが、少女はひたすら走らされていた。

そのころ、帰宅した父親は家に家族が誰もいないことから、娘たちが通う小学校へと向かった。
時刻は午後6時、あたりはすっかり暗くなっていたが、少女はまだ、校庭を走っていた。
「またか。今度は何をやらかした?」
苦虫を噛み潰したような顔で父親は少女に近づいた。

事件概要

平成11年2月26日午後7時30分。相模原の消防署に119番通報が入った。相模原市横山台2丁目のその住宅では、畳の部屋に小学生くらいの女の子が仰向けに寝かされていたが、すでに呼吸をしていなかった。
救急搬送された先で懸命の治療が施されたが、翌27日の午後2時55分、女の子は息を引き取った。
死因は頭蓋内損傷。外からは大きな外傷が見当たらなかったが、急性硬膜下血腫、脳挫傷、くも膜下出血、びまん性脳腫脹、びまん性軸索損傷が発症していた。

警察は、対応した救急隊員らの話や、自宅にいた家族らの話から、女の子の父親で会社員の水野俊彦(仮名/当時36歳)を傷害致死の疑いで逮捕した。
亡くなったのは、俊彦の次女、永梨(えり)ちゃん(当時9歳)。
調べによると、日ごろから言うことを聞かないことがあった永梨ちゃんに対し、つねる、叩くなどの「しつけ」と称した体罰を与えていたといい、この日も反抗的な態度を示したことで俊彦が激高、永梨ちゃんを胸の高さまで抱き上げたところ、永梨ちゃんが暴れたために畳の上に落してしまったのだという。

永梨ちゃんはその時に頭を強く打ったとみられ、容体が急変、死亡した。

事件当時、家には母親と永梨ちゃんの一つ上の姉がいた。救急隊の質問に俊彦は答えることができず、母親が状況を説明していたという。
永梨ちゃんには、頭部の外傷のほかにも体にあざがあったことから、しつけと称する暴行は日常的に行われていた可能性もあった。
その一部始終を目撃していた母親と永梨ちゃんの一つ上の姉も、
「父親が永梨ちゃんを抱き上げ、そのまま手を離した」
という話をした。
さらに、一つ上の姉は、これまでにもしつけと称して抱き上げられては落とされるといったことを何十回もやられた、と話した。

家族らの証言や対応した救急隊員らの話から、父親である俊彦が永梨ちゃんと姉に行き過ぎた体罰を行った末の悲劇、そのような判断がなされたが、2か月後の4月20日、横浜地検は俊彦を処分保留で釈放する。

しかし、その1年後、横浜地検は俊彦を傷害致死容疑で起訴した。

【有料記事 目次】
・家族
・破られた連絡帳
・裁判
・懲役3年
・小さな悪意

「🔓悪意~相模原・小3女児暴行死事件~」への10件のフィードバック

  1. この時間の、えりちゃんの同級生でした。
    当時のことを思い出して、記事を探していたらこちらを見つけました。
    事件があった当時の記憶が薄れてほとんど覚えていませんが、校門にマスコミがたくさん来て仲の良かった子達が泣いている姿を思い出します。

    1. るん 様

      えりちゃんの同級生の方ですか…
      皆さんにしてみれば突然の事で大変動揺されたことと思います。
      実際には、このような顛末でして…
      えりちゃんの心を思うと、やりきれません。

      1. 記憶の中で、えりちゃんはかなり小さくて障害を持ってる子が引っ越してきたと思っていました、今考えると虐待による栄養失調だったのかな…と思い切ない気持ちになりました。

        1. るん 様

          そうなんですね、判決文等のなかでは、えりちゃんに対していわゆる食事を与えないなどといった虐待は記されていなかったのですが、もしかするとえりちゃん自身がストレスで食が細くなっていたのかもしれないですね。
          喘息の持病はあったようです。

  2. 初めて有料記事を購入しました。
    今回も興味深く読ませて頂きました。
    小学生の女の子が親の再婚に振り回された上、不憫でなりません。
    姉…何の罪にも問われず大人になってどんな人生を送っているのか気になります…
    いつも備忘録さんで取り上げられる事件は「こんなおかしな事があるの?」という出来事、理解できない人間関係が見られますが、今回も、2人の子供は特別養子…や、妻の元夫は実は…のくだり、驚きました。

    1. mido さま
      読んでいただいてありがとうございます!

      この事件は、逮捕から一転釈放、そして1年後の起訴、という流れであまり報道もされなかったかもしれませんね。私も知らなかった事件でした。

      生まれた時から大人、親の都合に振り回された姉妹。しかし結果として、今度は大人が子供に振り回された、と言うと語弊がありますが、結構深い事件だなぁと思い取り上げました。

      今後も、あまり知られてない割に「えっ!」という事実が隠されている事件を扱っていこうと思います。

      今後ともよろしくお願い致します!

  3. こんにちは。

    〇〇!ヤバいですね。
    そんな理由で暴力振るわれるなんて可哀想に。
    マラソンが大の苦手な私は、何時間も走らされたら吐いて倒れそうです‥。

    妻も養子縁組したなら責任持って可愛がれよ!と思います‥。

    1. ちい さま

      いつも応援いただき本当にありがとうございます。
      悲しすぎる結末、もっと言うともやもやも止まらない事件だったわけですが、傷害致死とはいえ幼い子供が死亡して求刑も4年でしたので、父親への情状酌量はあったとみていいですね。
      家族の形は様々でいいと思う、でも、虐待でもなくただただ家族を作りたかったのが、大きく間違えてしまった。。。
      父親は暴力を振るっている時点で致し方ないと思うし、妻も実の子を諦めてでも姉妹に向き合おうとしたのは痛いほど切ないのですが、その結果がこれかよ・・・と思うとつらいですね。
      なにより、永梨ちゃんが気の毒すぎます。苦しかったでしょうね。。。

      今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

  4. はぁぁああぁ。。。
    ホント、胸糞悪いですね。
    永梨ちゃんが可哀想でならないです。
    血の繋がりがないとはいえ、こんな事ができてしまうなんて。
    子供関連の事件は悲しくなりますね…

    備忘録さん、いつもありがとうございます。

    1. たぬ吉 さま
      ご購入下さいましてありがとうございます。ほんとにいつも励まされます。

      この事件も、いつものように裁判記録を漁っていて、「ふぁっ?!!!」となって読み始めたらとんでもない話で…涙

      いやもうほんと、色んな意味で胸糞でした。この時代はまだ親の懲戒権(民法820条だったかな?)が改正前で、ある程度認められていたんですよね。
      もちろん、悪いことをしたらゲンコツ!それは今でも即逮捕、にはならないでしょうが、今よりもっと緩かった時代。
      それでも、父親がした行為は明らかに許容範囲を超えていたと認定されただけ、まだ救われたかなと思いましたが、それにしても…

      今後ともよろしくお願いいたします。

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