🔓殺人の家~柏市・一家4人撲殺事件~

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください。なお、有料記事を無断で転載、公開、購入者以外に転送した場合の利用料は50万円~となります。
**********

 

ネギ畑とナシ園が広がるのどかな郊外。
神社の周辺には公園があり、散歩する高齢者や畑仕事に精を出す人々の平和な日常があった。

その一帯の中で、異様な一角があった。
ぱっと見でも、大きく立派な家屋がそこにはあったことがわかる。しかし今、その家屋は焼け落ち、かつてここで暮らした人々も、たった一人を除いてこの世に存在していない。

ここには、つい先日まで一家5人が仲良く暮らしていた、と思われていた。
互いの名を呼ばずとも通じ合える老夫婦、中学教師と看護師という、申し分のない長男夫婦。そして、おじいちゃんのことが大好きな幼稚園に通うかわいらしい娘……

平成20年6月24日朝、家族の幸せな日常は突然終わりを告げる。

その一家を葬ったのは、家族の中の一人だった。

その朝

いつもと変わらない朝だった。台所では妻が朝餉の支度をし、離れの2階ではそろそろ息子夫婦が起きだしてくるころだ。
台所を通り過ぎようとした時、妻が気配に気づいたのか、したくする手をいったん止めた。「おはよう」の声を期待した男だったが、妻は男の気配を認めると、そのまま何も言わずに朝餉の支度を再開した。

男はいったん台所を通り過ぎ、家の外の物置に入って再び戻ってきた。
その手には、全長80センチ、重さ3キロの大ハンマーが握られていた。

****

「おい、起きろ、ばあさんが倒れた。」

寝ぼけ眼の長男夫婦は、父の言葉で起きだした。
「なに、どういうこと、母さん大丈夫なの?」
慌てて長男が階段を降り、母親のいる台所へと向かう。たしかにそこには、母親が倒れている姿があった。
駆け寄る長男の背後に、男は静かに立った。

「お義父さん、どうしたの?パパは?」

長男に続いて、心配した長男の妻も二階から降りてきた。
「パパの様子が変なんだ」

「何か大きな音しなかった?」
訝る長男の妻は、視線の先に倒れている「誰か」を認めた。
そこでどんな会話があったのか。
そして長男の妻は崩れ落ちるように、夫の足元に倒れこんだ。

男は最後の仕上げに取り掛からなくてはならなかった。
幼稚園に通うかわいい孫娘。その孫娘の成長を楽しみにもしていた。
しかし、この「殺人の家」で孫娘を一人残すわけには、いかなかった。

愛くるしい顔ですやすやと眠る孫娘に、男は躊躇った。
ゴツッという手ごたえはあったが、躊躇いからなかなか成し遂げられなかった。

男はその後、妻と長男夫婦の元へ戻り、とどめを刺した。
家族の顔は、もう原形をとどめてはいなかった。

※この記事は令和4年8月30日まで無料で公開されていたものです。条件に合致する方は無料でお楽しみいただけます。
そうでない場合も、既読でないかご確認の上、購入にお進みください。

【有料部分目次】
事件
家族のそれまでと実情
家族
ブチギレた老人
精神鑑定
無期懲役
境目