🔓蠢く隣人~高崎市・女児殺害事件~

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法廷にて

前橋地裁高崎支部。この日、とある裁判の第5回公判が開かれていた。
幼い児童を殺害したとして殺人の罪などで裁かれている被告に、検察官よりある要望が投げかけられた。
その瞬間、それまでうなだれていた被告の男は、弾かれたように態度を豹変、感情を爆発させた。

「あの子たちを処分することは!私の子供を殺すかのようなものだ」

被告の男は号泣、その後も「くそっ!」などと感情を吐露し続けるそんな男の態度を、傍聴席の遺族は一瞥し、法廷を後にした。

事件概要

平成16年3月11日、群馬県高崎市北久保町の豊岡小1年、浜名愛さん(当時7歳)が、下校後に行方が分からなくなっていた。
愛さんは4年生の兄と両親の4人で県営団地で生活していたが、その日、同じ団地に住む同級生とともにエレベーターに乗った後、自宅に戻らなかったのだ。
防犯カメラには6階でまず同級生が降り、その後自宅のある10階で降りる愛さんの姿が映っており、以降、愛さんが団地から出る様子は映っていなかった。時刻は午後2時35分。
その一時間後に母親からの通報で、捜査員らが状況から団地内を捜索を開始、同時に学校関係者や保護者には電話連絡網で愛さんの行方不明が伝えられていた。

その日、愛さんは水色のフリースに紺色のキュロット、靴はピンク。
その姿を、外出先から車で戻る途中の母親が目撃していた。友達と元気に下校する娘の姿を、母親が見間違えるはずもなかった。
先に帰宅し家事をしながら、母親は玄関ドアが開き、「ただいま」といつものような愛さんの声が聞こえると思っていたが、気が付けばやけに時間が経っていた。
ひとりではなかったし、この年頃の子は遊びながら帰ってくるもので、階段を上がるだけでも遊びに変えてしまうこともよくある。

それにしても、遅かった。

母親は一緒にいた6階に暮らす同級生宅に電話を入れた。愛さんが遊びに行っているかもしれない。しかし、その同級生はとっくに帰宅しており、愛さんとはエレベーターで別れた、と話したため、すぐさま警察へ通報したのだった。

警察では状況から、愛さんは団地内にいる可能性が強いとして、片っ端から団地の住人宅を捜索。
そして、午後5時半。捜査員が愛さん宅の隣の部屋の住人に話を聞いていた時だった。
応対した母親(当時48歳)が、仕事に出かけている息子に連絡し、何か知らないかと尋ねた際、「事情を知っている」と息子が話したのだ。

そして、午後7時すぎ、勤務先から帰宅した息子とともに部屋を捜索したところ、息子の部屋の押し入れから、愛さんを発見したのだった。
愛さんはゴミ袋に入れられており、すでに死亡していた。

【有料部分 目次】
隣家の男
報じられない犯行内容
地域の衝撃
張本人からのアドバイス
心のよりどころと応報
母の思い

「🔓蠢く隣人~高崎市・女児殺害事件~」への10件のフィードバック

  1. たびたび失礼します。
    校長の『どうやって防げばいいのか』の部分、このような事件が起こる度に議論されますよね。でも、結論から言うと100%防ぐのはどれだけ防犯意識を高めても無理な話なんですよね。
    現在仕事で定期的に東京都江東区の神隠し殺人事件の現場のマンションを通るのですが、そのたびにあの残忍な事件を思い出してしまいます。あの事件もこの高崎の事件同様に同じマンションの住民が犯人でした。
    江東区の被害者は成人した女性で、犯人は単独犯でしたが大人の女性でも逃げ切れませんでした。小学一年生ではひとたまりもないですよね。

    『知らない人についていかない』と徹底させても、千葉県松戸市のPTA会長が犯人の小学生の女児殺人事件みたいなケースもありますし、秋田県藤里町の近所の子供を殺害した事件なんか『友だちのママ』が犯人ですからね。近所にどんな住民がいるかなんて運命のいたずらのように思えてなりません。

    1. さすらい刑事さま

      コメントありがとうございます。
      おっしゃる通りです、大変無力感に苛まれますが、無理なんですよね…
      誰が隣の人を疑うか、ましてや長年にわたるお隣さんですよ…
      身近な人がまさか自分を狙う(理由は色々あるとしても)なんて、そんなこと気にしながら生活できないですよね。

      隣人ガチャと言うと軽すぎますが、もはやそう言うしかない、だからこそ、隣人のこのような犯罪はより罪深いと思います。

  2. この手の犯人の「いたずらしてやろうと思った」という表現、どこがどういたずらなのか、、、自作の人形と同じことをするのなら性暴力であり犯罪なのに。自分が体躯のよい大男に拉致され凌辱されたら死ぬほど怖いでしょうに…

    この文章だけ読むと、ご遺族がフィギュアを取り上げたい理由は、出所後それを見てまた被害者との行為を思い出したり、興奮が高まって新たな被害に結び付かないためにかと思いました。同じ苦しみみたいなことで、 法的にはちょっと反発があったりしたのですね。
    いつも考えさせられる記事を書いてくださりありがとうございます。

    1. L さま

      コメントありがとうございます。
      言い換えというか、多いですよね。強姦なのに暴行、窃盗、泥棒なのに万引き、売春をパパ活などなど…
      男性(加害者)からすればいたずらでしょうけれど、被害者からしたら一生の心の傷になり得る大変な「暴力」です。
      殴る、蹴ると同等、あるいはそれ以上のことなのに。

      ご遺族の思いは至極真っ当であり、私でも同じ事を思います。
      ただ、そういった感情を抜きに、司法のあり方として考えた場合はちょっと問題があるのでは?という意見が今でもこの件については少ないですがネット上にもあります。
      確かに、Lさんが仰るように、再犯を防ぎたいというご遺族のお気持ちもあったと思います。一方で、それで反省するならいいけれども、かえって逆恨みのようなことになりはしないか、という意見もありました。
      実際、この野木という男は少なくとも裁判の時点ではフィギュアの所有権放棄に納得しておらず、悪態をついていましたからね…

      しかし情けない卑怯な男です。

  3. 少女を狙った犯罪が起こる度に、少女を題材にしたアニメやフィギュアのようなものが性犯罪を助長している要因、だから規制をするべきだ、との意見が出ますがこの事件がそんな世論が起きるきっかけの一つだったんでしょうね。

    ただそのような趣向をもった人が、アニメやフィギュアなど二次元の世界で発散出来てるのなら、それが例えこの被告のようにフィギュアに穴を開けようが擬似性行為をしようが、『気持ち悪い』にしても誰にも迷惑をかけてるわけではないわけで(この被告は実際に犯罪行為に走ってしまいましたが・・・)、果たして規制するのが正しいのか疑問になります。

    この事件のすぐ後に広島、奈良で幼い子供を狙った殺人事件が続いたのですが、ワイドショーではこぞって犯人像を『女の子をフィギュアのように扱ってるフィギュア萌え族』や『二次元の少女しか愛せないアニメオタクのアキバ系』などと分析してました。実際の犯人はロリコン趣味はあったにせよ、これらの収集はしてなかった筈です。仮に警察までもそこに犯人像を絞ってしまったら犯人から遠ざかってしまう危険があります。

    規制さえすれば幼い子供を狙った犯罪が減るのか?疑問に思ってコメントさせていただきました。

    1. さすらい刑事 さま

      いつもコメントありがとうございます。
      事件自体は凶悪であり、場合によっては死刑でもおかしくない、残忍な事件です。
      宮崎勤の事件が思い起こされますが、あの時は「オタク」が叩かれ、マスコミによって
      いろいろと作られた印象もありました。時代が変わり、この高崎の事件があった時代では「フィギュア」。

      Twitterなど見ていても、ゼロか100かみたいな話がたまにあります。
      フィギュアの収集、美少女というジャンルに対するあこがれ、そういったものもすべて、結びつけてしまう人も少なくありません。
      いわゆる創造の世界、心の中まで踏み込んで、すべてを排除すべきと叫ぶ人もいます。
      一方文学の世界ではタブーを扱うものも多く、それらは時に称賛されたりもする。
      近親相姦、小児性愛、そういったものだって映画になりさえします。
      そもそも、批判や規制自体が「偏ってる」「ターゲットを選んでいる」と感じることは私もありますね。

  4. こんにちは。
    いつも興味深く読んでおります。
    この事件、発生当時の記事をどこかで読んだ時は、お母さんはベランダから帰ってくる女の子を見たのが最後と書いてあったように思いますが、外で見かけたのが最後だったのですね。それにしてもずっとフィギュアと自分だけの世界を楽しんでいれば(それでもちょっと気持ち悪いですが)犠牲者が出ることもなかったのにと思ってしまいます。

    1. よう さま
      コメントありがとうございます。
      わたしも、お母様はベランダから覗いていた、と記憶しており、報道でもそうしている所がいくつもありました。
      が、お母様が書かれた手記によると、八百屋さんの前で見かけたのが最後だったそうです…
      人間の欲は底知れないですよね、しかし、超えてはいけないところがある
      非常に痛ましい事件の割に、犯人がすぐ逮捕されたからなのかあまり情報が出なかった事件でした。

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