忘れないで~生きた証③~

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高旗龍翔くん(広島県福山市:平成15年10月下旬頃死亡/当時1歳7か月)

広島県警福山東警察署に、3人の男女が相談に訪れた。
3人は、両親とその娘。娘とは言っても23歳の女性ですでに母親だった。相談内容は、この母親の2歳になる息子の存在が「わからなくなっている」というもの。

対応した警察官らが話を聞いていくうちに、母親は「子どもは死んでいる。どうしていいかわからなくて、埋めた」と話した。

供述に基づき、母親の住んでいるマンションの敷地内を捜索したところ、その場所から遺体を発見したことで、福山東署は女性を死体遺棄容疑で逮捕した。

遺体で発見されたのは、女性の息子の高旗龍翔くん。

母親は昨年4月に離婚しており、以降、龍翔くんと福山市内のマンションで生活していたという。
龍翔くんは未熟児で誕生しており、病弱だったことで、母親の子育ては大変なこともあったようだ。
母親は平成15年の10月中旬頃から、どういう心境だったのかはわからないものの、龍翔くんの世話を「一切しなかった」という。
ミルクや離乳食といった食事はおろか、入浴もさせず、さらには抱いてやることもしなかった。

体調が悪くなっていく龍翔くんを見ながら、そのまま龍翔くんを死なせた。

そして、死んでから「病院に行こう」と思ったものの、途中でどうしていいかわからなくなってマンションの敷地の一角にこっそり埋めたというのだ。

この時点でもはや理解不可能な域にあるため、もしかすると精神鑑定等行われたか、あるいは不起訴になったか。
以降の報道は見つけられなかった。

鳥見颯姫(さつき)ちゃん(岡山県倉敷市:平成16年2月23日死亡/当時3歳)

母親は娘にしたことを覚えていないといった。
平成16年2月6日の深夜、母親からの119番通報で駆け付けた消防署員は、現場にいた父親らしき人物から「子どもが目を離した隙に独りで自宅アパートの階段から落ちた」と話したものの、その話と目の前の子どもの傷が全く合致しないことを不審に思っていた。

しかも、子どもは体が濡れていた。

通報を受けた岡山県警が現場にいた父親らしき人物と、通報してきた母親から話を聞いていたところ、「いうことを聞かないために二人で日常的にせっかんしていたらぐったりしたため、階段から落ちたことにしようと口裏を合わせた」と認めたため、二人を傷害容疑で逮捕した。

子どもはその後、2月23日に硬膜下血腫で死亡した。

死亡したのは、鳥見颯姫ちゃん。逮捕されたのは、母親でホステスの阿南響子(仮名/当時23歳)と、内縁の夫で無職の西原健斗(仮名/当時32歳)。

県警は当初、二人の話から2月6日に母親の響子が颯姫ちゃんにトースターを投げつけたことが死因だとして、響子を傷害致死に切り替えて逮捕していた。
が、後の調べで響子の暴行は事実だが、直接の死亡要因ではないと判明。直接の死亡の要因は、西原による頭部への暴行にあった。
2月6日に日付が変わったころ、倉敷市北畝のアパートで西原は颯姫ちゃんを水風呂へ放り込み、冷たい風呂場に正座させたうえ、その頭部を蹴っていたのだ。

「反抗的な態度が気に入らなかった」

颯姫ちゃんには1歳の妹がおり、母親の響子はその妹が生まれて間もないころに離婚、当初は岡山市内に暮らしていたが、2カ月で転居。
その際、転入転出届が出されていなかったために、倉敷市から乳幼児健診の知らせも届かず、そもそも倉敷市では颯姫ちゃん姉妹の存在を把握できていなかった。
颯姫ちゃん姉妹は離婚した実父の姓を名乗っていた。

響子と西原の関係がいつからなのかはわからないが、離婚してからの期間を考えれば、颯姫ちゃんへの暴行は同居を始めてすぐのころから始まっていたと考えるのが自然だ。
響子は当初の傷害致死容疑については処分保留で釈放となっていたが、後に日常的に颯姫ちゃんに暴力をふるっていたとして暴行罪で起訴された。

颯姫ちゃんが死亡した時、響子はホステスとして仕事中だった。そこへ西原から連絡が入り、口裏を合わせてから響子が119番通報していたのだ。

岡山地裁の松野勉裁判長は、響子に対しては直接の死因ではないことや、そもそも死亡する原因となった暴行が行われた時にその場にいなかったことから懲役1年執行猶予3年の判決を言い渡した。

一方西原に対しては、残虐で冷酷な犯行と厳しく批難し、懲役8年の求刑に対し懲役6年を言い渡した。

1歳の妹については虐待されていたという話はないが、執行猶予の身となった響子は、その妹をどう育てたのか気になるところである。

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