愛についてPart2~岡山女児監禁事件・宮城被害者は女王様事件〜

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その欲求を満たすために他人を傷つけることになったとしても、自分を抑えることができない人たちがいる

思い描いた淫辱を愛だと信じた男、何から何までを決定し従わせることこそが、自分への愛と信じて貪った女が招いた事件。

“だいたい 痛いから いつも
最初から”

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🔓焼け野が原~狂言誘拐が問うもの~

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昭和の時代、身代金目当てなどでの誘拐事件は多かった。
被害にあうのは、主に子供。そのいくつかでは、被害者が殺害されてしまうという結末もあった。
時代が変わり、携帯電話の普及や防犯カメラなどで誘拐自体が難しい状況になったこともあって平成以降の誘拐事件は減り、その内容も身代金目的というものよりもわいせつ、監禁などを目的とするものへと変わっている。

身代金目的であってもこれまで認知されている誘拐事件では、解決未解決に関わらず身代金奪取が成功した例はないとされる。

その中で、身代金やその他声明が犯人側からなされて誘拐が発覚したケースでは、後になって「狂言」であったことが判明したものもいくつかある。
多くは、幼い子供のいたずらなどではあるが、その動機において深く考えさせられる狂言誘拐もある。

子供たちが企てた事件から、冤罪を生みかねなかった事件などを紹介する。
なぜ、そんなことを考えたのか。その本当の動機は、なんなのか。

聞いて、ちゃんと聞いて、ちゃんと言って、私に聞こえるように 大きな声で もう泣かなくていいように

子どもたちの反乱

幼い子供が企てる誘拐は、単にテレビの真似をしたというものもあれば、親の気を惹きたい、心配させたい、そういう健気な思いも隠されている。
理解してくれない大人たちへの、子供たちの反乱。

三重の11歳少女

平成元年2月のある日の夕方、三重県北伊勢地方の住宅に、不審な電話がかかってきた。
応対したのは母親で、「子供を預かっている。警察に言ったら命はない。50万円用意しろ。」と言われ動転。すぐさま警察へ通報した。この家の11歳になる娘・A子ちゃんがまだ帰宅していなかったのだ。

警察は当初から、幼い子供の身代金にしては50万円という額がそぐわないと感じていたが、営利目的ではなくいたずら目的での拉致などの可能性もあるとして捜査を開始。
母親の通報から約3時間後、捜査員がA子ちゃんが通う小学校に赴いたところ、校内に当のA子ちゃんがいるのが確認された。が、A子ちゃんはどうやら「身を潜めていた」ようだった。

捜査員が事情を聴くと、A子ちゃんが少しずつ口を開くようになった。

きっかけは、光GENJIだったという。

この時代、スーパーアイドルの頂点に君臨していた光GENJI。ジャニーズ事務所からデビューした彼らは、ローラースケートを履いて歌うというスタイルで、加えてその甘いルックスは全国の少女を魅了した。
お兄さん組と弟組のように、年齢差を設けて一つのグループにするというやり方は後のジャニーズのアイドルグループも取り入れている。
A子ちゃんもこの光GENJIが大好きで、とにかく熱中していたという。
それが関係しているかどうかはわからないが、学校の成績が下がってしまう。そしてそれを、どこの親でもそうであるようにA子ちゃんの親も、アイドルなんかに熱中しているからだ!とA子ちゃんを叱った。

A子ちゃんにとって、もしかしたら初めて熱中できたものだったのかもしれない。それを、親に全否定されてしまったその気持ちは痛いほどわかる。
A子ちゃんはおそらく怒っていた。カセットテープに自分で犯行声明を録音し、それを公衆電話から自宅へ電話し、さらに早送りで聞かせた。
母親は、早送りになっていたこともあって、娘の声だとは気づかなかったという。

この事件が報道された際、児童心理に詳しい教育評論家の品川孝子氏は、中日新聞の取材にこう答えている。

「自分の値打ちが認められないと感じたときに子供たちはスターに憧れるなどの逃避の行動に出る。今回の事件も典型的な例。併せて成績偏重も大きな問題で、50%もいると言われる家で願望の子どもの行動の引き金となるのは、多くの場合、成績低下を責められた時。狂言は、親に対して一番ショッキングな事は何かを見透かしている証拠と言える。」(中日新聞社 平成元年2月20日夕刊)

A子ちゃんに対しては、その年齢や早期解決だったこと、家族間のことなどから、おそらく不問に付されたと思われる。

福岡のスポーツ少女5人

平成2年1月15日、福岡県のとある小学校は騒然としていた。この日、体育館ではバレーボール部に所属する少女らが練習に励んでいたが、突然ヘルメット姿の男が現れ侵入してきたかと思うと逃げ惑う少女のうちの一人を捕まえ、ライトバンで拉致したというのだ。
少女らの話では、拉致した男が乗り込んだライトバンにはもう一人、男がいたという。
その後、少女らは勇敢にも逃げたライトバンを追い、体育館から2,5キロ離れたスーパーに車が止まっているのを発見。車内には誰もいなかったためスーパー店内へ入ると、拉致された仲間の少女・B子ちゃんを発見した。
B子ちゃんによると、駐車場に車が停まった時、ドアのロックを解除して男らの隙を見て脱出したのだという。
合流した5人は、スーパーにたまたま居合わせた同級生から10円を借りると、公衆電話からバレー部の監督に連絡した。

「先生、B子ちゃんが変な男の人にさらわれました。」

それを聞いた監督が110番通報。B子ちゃんが無事だとはいえ、犯人は捕まっておらず、かつ、小学校の体育館に侵入しての大胆な犯行に、福岡県警は警察官200人、パトカー50台を投入して逃げた男らの行方を追った。
同時に、B子ちゃんを含む少女5人から詳しく事情を聴いていた。その過程で、少女らは
「犯人の男は今月8日と13日にも体育館に来ていた。女子トイレをのぞいたり、私らの体を触ったりした」
という話をし、さらには犯人の顔や髪形などを細かく覚えていたという。
警察は不審者としてマークしている中に、その証言とよく似た中年男性がいることを重視、少女らに顔を見せて確認したところ、「このおじさんに間違いない」と少女らははっきり証言した。

が、結果から言うと、全部嘘だった。

取り調べを進めるうち、捜査員らは少女らの証言に矛盾があることに気づく。しかしそれを問うと、少女らは泣きながら「嘘じゃない!」と訴えたことから、警察でも対応に苦慮していたようだ。
しかし翌日になって、B子ちゃんが誘拐されたとされる時間帯、別の場所にいたことが判明。それを少女らに告げると、夕方になってその真相が明らかになった。

少女5人の動機は、「バレーの練習が嫌」というものだった。

このバレー部は地域で運営されているチームで、学校教育の一環ではなかったという。よって、監督も教師ではなく、地域でバレー指導の経験がある人や父兄らによって運営されていた。
所属する団体による試合は県大会規模の選手権などもあり、多くの地域でこのチームと同じように厳しい特訓が日々行われていたという。

少女たちは当時小学5年生。6年生が引退し、自分たちはレギュラーになったものの、その練習はあまりに過酷だったという。学校行事ではないため、当然休日は練習でつぶれ、家に帰っても親も熱中しているケースが多く、少女たちはとにかく疲労困憊の状態にあった。

そこで思いついたのが、事件が起これば練習がなくなるのではないか、というものだったのだ。
少女たちはそれまでにもなんとか練習を休めるように、ネットなどを隠したりもしたというが、監督も親も、練習を休むことは許さなかった。

県警は、本来ならば虚偽申告にあたるが内容が内容だけに少女らの気持ちもわかるとし、彼女らにここまでさせたのは父母や監督ら大人の責任として、両親や監督に出頭を求めて厳重注意を行ったという。

少女たちは、反省文を提出することで許された。

その後バレー部がどうなったかは、わからない。

兵庫の10歳男児の”かくれんぼ”

平成9年の夏休み。兵庫県在住の30歳の女性は、仕事の合間に、10歳になる息子と一緒に昼食を取ろうと自宅へ戻った。
息子とは二人暮らし。子供を育てるために必死で働きながら、一方で息子には寂しい思いをさせていると母親は感じていた。この日も、わずかな昼休みを息子と過ごそうと自宅へと急いだのだったが、家に戻ると居るはずの息子の姿がなかった。
息子の名を呼びながら家中探し回るも、返答がない。いよいよ母親が焦り始めたとき、6畳和室の天袋から何やら物音がした。
母親が天袋を開けると、そこには口と手足をガムテープで巻かれ転がされている息子の姿があった。驚いた母親はすぐに110番通報、息子は捜査員に対し、
「水色の上着を着たおじさんが入ってきて、手足にガムテープを巻かれた」
と話したことから、警察は捜査員40人を投入して捜査にあたった。

ところが、捜査員らはこの状況の不自然な点に気が付いていた。

通常、強盗だったらまず目隠しするものだという。しかし、男児は目隠しされていなかった。さらに、押し入れがあるにもかかわらず、10歳の男児を高い場所にある天袋に押し込むというのは合理的ではない、そういう意見が捜査員らからは出ていたという。

捜査員が改めて男児に話を聞くと、男児はぽつりとつぶやいた。

「お母さんは仕事ばっかり。脅かそうと思った」

男児はただただ、寂しかったのだという。これまでにも、わざと家の中に隠れて母親を驚かせたことがあったという。ただ今回はやりすぎてしまった。

母親はさぞやショックだったろう。仕事が忙しいのは、必死で働き、息子との生活を守るためだったのに、いつか大切なことを見失っていたのかもしれない。

西宮の親友二人

昭和61年8月28日午後6時半ころ、西宮市の会社員方に次女のC子ちゃん(当時10歳)から電話がかかってきた。
C子ちゃんは泣いていて、電話口のお姉ちゃん(当時15歳)にこう伝えた。

「今、知らないおっちゃんと友達のD子ちゃんとの3人で、阪神電車香園(現:香櫨園)駅におる。おっちゃんに、家に電話して家の人に1000万持ってくるよう言えと言われてる」

お姉ちゃんはすぐに大阪市内で仕事中の母に電話、母親が警察に通報した。

警察は署員200人、パトカー20台を出して捜索。電話があってから4時間経った午後10時ころ、西宮市柏堂バス停付近を歩いている二人を発見、無事保護した。

無事保護されて安堵した警察と両親だったが、C子ちゃんに確認しなければならないことがあった。
実はC子ちゃんには、これまでにも今回と似たような言動があったというのだ。そのため、当初から電話を鵜呑みにはせず、慎重な捜査を行っていたが、結果として今回もC子ちゃんの嘘だった。

二人はこの日、午前10時にそれぞれ家を出ると、市内の夙川(しゅくがわ)公園でバトントワリングの練習をしたという。そのうち、夕方になって、家に帰らなければならない時間を大幅に過ぎてしまったようだった。

これでは叱られると思った二人は、誘拐されたと言えば怒られないのではないかと考え、誘拐を装ったのだと話した。

調べに対してふたりとも泣きながら話していたというが、帰りが遅くなって怒られる、からの狂言、しかも電話で工作までするというのはいささか手が込み過ぎているような気もするが、直前には各務原市などをはじめ、誘拐事件が多発していた時期だったこともあり、テレビなどで見聞きして安直に思いついたのでは、と警察は判断した。

作家の小峰元氏が朝日新聞の取材に答えたものによれば、子どもといえどもテレビなどで強い刺激に慣れているため、親も少々のことでは驚かないと子供は思っているとし、大それた行動にエスカレートするのだという。
そのうえで、ばかげた行動だと決めつけるのではなく、きちんと向き合う必要性があると警告している。

長崎の父親

平成元年、長崎県大村市で専門学校に通う女性(当時20歳)が外出したまま家に戻らず、5日後に身代金400万円を要求する脅迫状が届いた。
長崎県警捜査一課と大村署は、脅迫状が届いた2日後に大村市内の民家にいた女性を発見、保護。ただ女性は非常に疲弊しており、精神的にも不安定な状態にあったという。
県警は女性が発見された住宅に暮らしている21歳の会社員の男性ら二人から事情を聴いていて、犯人逮捕は間近と思われた。

が、この男性二人が逮捕されることはなかった。

そもそも、警察が女性を発見できたのは、この家に暮らす人、すなわち事情を聞かれていた男性の親からの通報がきっかけだったのだ。しかもその通報内容は「誘拐された女性がうちにいる」とかいうものではなく、「うちの息子が身元不明で行くところがないと話している女性を保護して連れてきているが、ちょっと長く居すぎるから警察で引き取ってほしい」というものだったのだ。

女性を保護した後、当然ながら男性らは話を聞かれたが、男性らはドライブ中にナンパした女性であること、女性に話を聞くと行くところがないというから両親と暮らす家に連れて行って泊めたと一貫しており、さらには脅迫状については全く知らない様子だった。

警察は困惑。今一度、脅迫状を調べたところ気になる点が見つかった。
脅迫状が届いたとして通報してきたのは女性の父親。脅迫状は新聞の切り抜きを使ったもので、ちょっと古い手法でもあった。
さらに、娘が身代金目的の誘拐の被害者になっている可能性があるにもかかわらず、どこか父親には危機感が薄かった。
そして、その脅迫状に父親以外の指紋がなかったことで、もしや……と思った警察が父親に事情を聞いたところ、父親は誘拐事件ではないことを認めた。

父親の話からまとめると、長女は精神的に不安定な状態にあったようで、最近まで記憶喪失によって入院中だったのだという。
それが、退院してきた途端、家を出ていってしまった。捜したい父親だが、すでに成人している娘を警察が真剣に捜査してくれるかどうか信用できず、かといって放っていくわけにもいかず、事件にすれば警察が動くと目論んだ。
娘が自発的に家を出たことを知りながら自ら脅迫状を作成し、自宅宛てに速達で郵送し、届くのを待って警察に駆け込んだ、ということだった。

警察では複雑な事情があることや、娘を思うがあまりの行動に一定の理解は示したというものの、父親は軽犯罪法違反で書類送検となった。

大牟田の保母

平成2年11月18日、大牟田市の元教師の夫婦が暮らす家に、「郵便受けを見ろ」という電話がかかってきた。時刻は深夜、訝りながら郵便受けを見たところ、手紙が入っていた。

「娘を預かっている。明日中に5000万円を用意しろ。警察に知らせたら殺す」

テレビドラマでしか見たことがない、ベッタベタの身代金要求の脅迫状だった。
父親(当時61歳)はすぐに警察に通報、この家の21歳になる長女が買い物に行くと車で家を出たまま、この夜まだ帰宅していなかった。
警察は長女が成人であることから、念のため朝まで待つよう指示。朝になって連絡がなかったことで営利目的誘拐の可能性が高いとして捜査本部を設置した。

ところが19日の夕方6時ころ、福岡市内の喫茶店で一人食事をしている長女を発見。警察は長女を無事保護した。

大牟田の事件であるのに、福岡市内にいる長女をそれもピンポイントで見つけられたのはなぜか。
実は長女には交際相手がいた。その交際相手が、19日の午後3時ころに「長女から連絡がきた」と通報していたのだ。そしてその場所に、長女はいた。
調べに対し、長女は「知らない男性から声をかけられ車に乗せたら、ホテルに監禁された。隙を見て逃げ出した」と話していた。

ただ違和感があった。

事件は報道機関との協定で規制がかかっていた。19日の午前、長女の交際相手の男性に警察は接触、任意で事情を聴くなどしていたが、その数時間後に長女から電話があったと交際相手は通報してきた。
そして見つけた長女だったが、捜査員がその喫茶店に飛び込んだ際、どこかきょとんとしていたという。普通、拉致監禁されていて逃げ出せたならばまず、警察に通報するのではないか。それが出来なかったとして、腹が空いたからまずはご飯、となるものだろうか。

警察は長女と交際相手の双方から慎重に話を聞いたところ、交際相手が脅迫文を作成して郵便受けに投げ込んだと自供したため、この交際相手を恐喝未遂容疑で逮捕した。

逮捕されたのは大牟田市内の建設業手伝いの吉村次郎(仮名/当時23歳)。吉村は交際している長女に久留米市内のホテルに隠れているように指示もしていた。
吉村は、以前から交際していた長女が「親が厳しい」と愚痴を言っていたのを利用して金を奪おうと計画したと思われたが、予想外に話が大きくなったことで怖くなり、警察に事情を聞かれた後、自ら長女の居場所を通報していた。長女は何も知らず、言われるがままに行動していたかに思えたが、警察はこの長女自身にも不審な点があると見抜いていた。

長女は行方が分からなくなったその日、夕方に友達と会う約束をキャンセルする電話を入れていたのだ。さらに、身代金や脅迫状については知らないと話していたが、その後の調べでは「運よく金が手に入ったら使おうと思っていた」と話しており、吉村の計画に「乗った」と判断された。

長女は大牟田市内で保育士として勤務しており、両親が元教師ということもあって近所でも職場でも大変評判の良い女性だったという。皆、女性自身が犯行計画に加わっていたことを知っても、本人の気持ちを聞かなければ判断できないというほど、とにかく信じられなかった。

事件はその後、吉村が恐喝未遂で起訴されたが、長女については書類送検されたものの、直系血族などの間の財産犯の刑を免除する刑法二四四条の規定に基づき、送検されても不起訴になると予想され、事実そうなった。
吉村は重大な犯罪であると非難されたものの、社会的制裁をすでに受けているなど酌量されて執行猶予となった。

教師一家として地元でも評判の良かった家族。その名声はよりにもよって両親に不満を持っていた長女の狂言誘拐という犯罪によって崩れ去った。
事件の全容を見てみると、主犯であり、計画を立案したのは吉村だとされた。しかし、吉村がそれを思いついた経緯には、長女の日ごろの愚痴や悩んでいる様子があった。
長女は、自供した通りかねてより両親、特に父親の躾が厳しいことを不満に思っていたという。
実は長女は養女だったという。だからこそ、両親はその愛情を一心に注いだ。しつけの厳しさはすべて、愛情からのものだった。
しかし、それが長女に伝わらなかった。それはなぜか。

事件解決の夜、大牟田市内は雨だったという。その中、自宅を訪れた取材陣に対し、インターフォン越しに父親はこう答えた。

「私の心の中にも、雨が降っております。」

あのな、そんなんいらんやん?なんでこの期に及んで、そんな芝居じみたというか自分に酔っているような、そんな表現する必要ある?うまいこと言う必要ある?校長先生の式辞やないんやから……
こういうところではなかったのか。
長女にとって、父親は父親というより、教師、校長先生でしかなかったのではないか。

家族は再出発を誓ったという。

【有料部分 目次】
宇都宮の病院の娘
事件の経過
男の素性、少女の素性
男の動機
真実
一番大切なもの
あの事件の被害者の妹
狙われた妹
教団の影
語られたこと
進まぬ捜査
憎かった
ねぇ、聞いて

狂言~いくつかの事件と愚かなる人々~

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狂言--

Wikipediaを見ても和泉元彌さん的な何かしか説明がないが、簡単に言うと自分で計画し実行しておきながら、自分は偶然巻き込まれた、他人がやったかのように見せかける行為のことを指す。
似たようなものに自作自演があるが、これは本来、自分で作ったものを自分が演じることを意味していて決して悪い意味ではないのだが、「ジエン」というともう、他人を装って自分を褒める、擁護する、自分の利益になるような言動をする、そんなようなニュアンスで通っている。

日常においても、異常なまでの噓つきというのはいるし、次第にその嘘はバレ、人が離れていくケースはよくある話だ。
しかしこの狂言は、単なる「嘘つき」な人が起こすものとは違う。
嘘をでっちあげなければならない理由が、彼らにはあった。

バカじゃないかで済むレベルから、シャレにならないレベルまで。 続きを読む 狂言~いくつかの事件と愚かなる人々~

ほんなごてい はがいかねぇ~ふたつの女児殺害事件~

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和歌山地裁。
母はこの日、検察側の証人として出廷、愛娘の命を奪った男を前に、その思いの丈を訴えた。
娘は当時6歳。その娘を奪ったこの男は、本人も家族も良く知る人物だったことが、さらに家族を絶望の淵へと追いやった。

泣きたいときにも泣けず、毎日がつらく苦しい母を強く支えたのは、その母と同じ経験をした母親の存在だった。
検察からの出廷要請があっても、証言などできるだろうかと不安で仕方なかったが、
「何も話せなくても、洪水のように話して倒れても、母親としてありのまま伝えればいい、きっと娘がそばで見守ってくれているよ」
そう励ましてくれたのも、その母親だった。

和歌山と福岡。遠く離れて、知りあうことなどないはずだった二人の母親。その母親を固く結びつけたのは、悲しくも絶対に許せない二つの事件だった。 続きを読む ほんなごてい はがいかねぇ~ふたつの女児殺害事件~

🔓幻愛〜〜広島・小6教え子殺害事件〜

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平成3年7月。
広島県豊田郡安浦町では、町内の小学校の教諭らが平成2年の春に卒業した元6年生の家々を回っていた。
その手には、卒業アルバム。しかし、教諭らの誰もが、厳しい表情を崩すことができなかった。

「現実を隠すわけにはいきませんから」

同じく厳しい表情の保護者らを前に、教諭らはそう言って卒業アルバムを手渡した。
修学旅行、音楽発表会、運動会、そして卒業式。楽しい思い出が詰まったはずの卒業アルバム。しかし、多くの元6年生とその家族は、アルバムを直視できずにいた。そのアルバムには、もう二度と会うことの出来なくなった友達と、その友達を殺した「先生」の写真があったからだ。