但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください。なお、有料記事を無断で転載、公開、購入者以外に転送した場合の利用料は50万円~となります。
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【ご注意】
読んでいただきありがとうございます。Twitter等でこの記事を引用し、自己の主張のために利用されている方がいますが、それらのいかなる考え方についてもこの記事、ならびに事件備忘録@中の人は同意ではありません。この記事中の都合の良いところだけを抜き出して何かの証拠のように扱うことに賛同しません。
平成10年5月
その日父親は、9歳の次女と7歳の長男に「遊びに行ってこい」と命じた。朝から妻はパートへと出ていて、これで家には11歳の長女とふたりだけになった。
幼い子どもたちは普段、児童養護施設で暮らしており、週末だけはこうして自宅へと戻るという生活をしていた。
父親は、玄関の鍵を閉め、長女のいる部屋へと向かう。
「この前は入ったで。もう一回、させぇ」
父親の唐突なこの言葉の意味が解らず怪訝な表情の長女に対し、父親はおもむろにズボンと下着を一気に脱いだ。
【お断り】
この事件については、その内容からほとんど記録がない。そのため、新潮45/2005年9月号にノンフィクションライター・新井省吾氏によるドキュメントが掲載されており、その内容からの考察となる。
地獄の日々
長女はそれ以前に、この父親に服を脱がされ、全裸の写真をポラロイドカメラで撮影されるという出来事が起こっていた。ただその時は、長女も就寝中で寝ぼけていたこともあり、さほど意味のある事とは考えていなかったようで、周囲の人に相談するとかそういったこともなかった。
その日、父親が言った「この前は入ったで」という言葉も全く意味が解らなかった長女は、「何が入ったん??」と聞き返した。
直後、父親のとった行動に当然ながら長女は仰天し、悲鳴を上げて逃げ惑った。玄関には鍵がかかっており、とっさのことで長女は慌てふためいてドアを開けられなかった。
父親は逃げる長女の髪をつかみ、そのまま奥の部屋へと引きずっていくと、敷きっぱなしの布団の上に長女を投げ飛ばした。
なおも逃げようとする長女を仰向けに押さえつけ、怒声を浴びせ、右頬、腹部を殴りつけた。
そして、痛みと恐怖で抵抗することをやめた長女に対して、極悪非道な行いをしたのだ。
長女に対し、それ以降も悪魔の所業は行われ続けた。その期間はなんと4年以上である。
養護施設にいた子供たちを引き取ったのも、週末だけではなく気が向いたときにいつでも長女に暴行するためであった。もちろん、目の届くところに置くことで、外部への漏れを防ぐ狙いもあっただろう。
長女は誰にも相談できず、一人絶望の中で日々を過ごすしかなかった。
そもそも、父親はこの長女が誰にも相談しないことをわかっていた。それは、もともと精神的に脆い母親の存在があったからだ。
長女は体調が悪くなると酷いうつ状態に陥る母親を気遣って、家事や弟、妹らの面倒もみていた。母親は体調が良いときは家事もし、パートにも出られるようになるため、娘からすれば少しでも母親の負担を軽くすることが、ひいては自分たちのためにもなるとわかっていたのだ。
そんな母親に、自分が父親に何をされているか、長女が言えるはずもないことをこの父親は知っていたのだ。その上での行いであった。
まだ小学生だった長女は、その意味も理解できぬまま、父親の恐ろしさに負けてされるがままだった。時折、軽蔑のまなざしを父親に向ける以外、長女には抗うすべもなかったのだ。
※この記事は令和4年8月30日まで無料で公開されていたものです。条件に合致する方は無料でお楽しみいただけます。
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【有料部分目次】
家族のそれまで
次女
母親の後悔
長女と次女の決断
発覚から逮捕、そして裁判所の激怒
帰りを待つ母親
初めてコメント書かせて頂きます。
数日前に初めて貴女の記事を読ませて頂き、内容の精密さに感銘をしています。素晴らしいリサーチ力ですね。
私の個人的意見ですが、前途のある未成年に対する犯罪は極めて悪質と考えます。
ご存知の通り、アメリカの凶悪犯の間でも、ロリコン関連の犯罪はタブーと考えられていて、その様な犯罪を犯した囚人はリンチの対象になり、殺されるケースが多いのだとか。
この父親もアメリカの刑務所に放り込んでやりたいですね。無駄な妄想ですが。
みい さま
コメントありがとうございます!
ほかの大部分の記事は私が裁判所の判決文の中から「これは!」と思うものをとりあげ、さらにその事実関係を当時の報道(主に新聞、週刊誌)から調べてまとめる、という形になってます。
ただこの記事は情報がなく、新潮45で取材された上條昌史さんのルポを元に、私なりの感想を交えながらまとめました。
既に確定した事件がメインなので、様々な媒体、立場の人の意見、考え、あるいは被告、被害者の手記なども参考にしながらまとめているので、中立な記事になっていることが多いですが、この事件や被害者に一片の落ち度もない事件である場合はかなり、偏った記事になってることも…
未成年者に対する虐待、ましてや性的虐待などは海外では非常に厳しく扱われますよね。
日本もどうかそうなって欲しい。
おっしゃる通り、この父親はアメリカやメキシコの極悪人の房でお仕置きされて欲しいと思いますよね。
この姉妹が自分たちの力で幸せに生きてることを願います。
この親父、なかなかの「悪党」ですね。
恐らく妻と結婚したのも、精神的に弱い面を持っている事をわかって結婚したのではと思いますよ。
自分の都合がいいように、圧力かけていいなりにする。
大体、妻が精神的に弱いのに3人も子供を作るのか!自身の性欲を満たした結果なのでしょう。
結局、子供は施設行き。やった!と思っていたのでしょうね。
ロリコン趣味の件ですが、性癖というのは「性の癖」と考えています。癖が付いてしまったら、なかなか直らないです。何せ癖ですから。
これ、虐待の延長なんでしょうね。殴る代わりのレイプ。凄いなあ。
この妻は知った時、どう思ったのだろう?「ウソだ!信じたくない」でしょうね。
精神的に病気な訳ですから、一人で生きていくのはしんどいのでしょう。
人間には「頼る人」と「頼らない人」に分けられると思います。何でも自分でやる人と人にすがる人ね。
この妻はすがるタイプだったのでしょう。子供を施設に預けてしまうし。
あと、長男。傷付いただろうな。お姉ちゃんを守ってやれなかったんだもん。今、どんな思いなんだろうな?
悪党親父、もう子供たちには逆らえないでしょう。所詮は弱いものにしか向かっていかないと思います。
この作品書いていて、気持ち的に大丈夫でしたか?
ひめじの さま
コメントいつもありがとうございます。
えぇ、もう気分が悪いどころの話ではありませんでしたよ、姉妹の地獄の日々を思うと、胸がかきむしられてしまう思いでした。
ただ、よき友人や学校、児相の動きがあったことで命に関わる自体に発展しなかったことだけが良かったと思える点でしょうか。
こんなクソ親でも、殺してしまえば一生背負う羽目になる。
母親はほんとに知らなかったんですかね。そんな鈍感なことってあるのかなと思いつつ、あのように記事に書きましたが、事実を知っても出所を待つその感覚は、形は違えどDVで支配下に置かれた人に近いのかなと思ったり。
さらに言うと、実は全く逆で、支配していたのはむしろこの母親だったんでは?とすら思います。
小児性愛などの類は私も癖だと思います、病気じゃなくて。病気はいつか治るかもしれませんが、癖は無理ですね。
岐阜の事件も酷いですね。親から子への性的虐待は何よりも厳罰化して欲しい。他人からの暴行よりもキツいですよ。
今書いているのが苫小牧のネグレクトですが、こっちはほんとに筆が進みません。泣きたい。なんでこんなことにと思いつつ、その遥か上を行く母親とその周囲の人間の有り得なさ。
これ社会の問題なのか?と思ってしまいました。
乞うご期待。
キモいキモい‥、何万回言っても足りない男ですね。
実の娘にそういう欲を抱くのがそもそもわからないし。
普通吐き気しませんか?生理的に。普通じゃないからそういうことするんでしょうけど。
娘達は、人に打ち明けて助かって本当に良かったです。
そのまま子供産まされて実父を殺した女性も居ましたよね。
確か執行猶予ついたような。温情判決で。
このオヤジは殺されていいんだけど、娘達に前科が付くのがかわいそう過ぎるので。
そして母親なんですけど、ちょっと知的に問題あるんじゃないですかね。軽度知的障害っぽい。
ゴミに埋もれてタバコ吸って、何やってんだか。
そんな母親を見舞う娘達も本当にいい子ですね。
私なら見捨てますね確実に。
ちい さま
コメントありがとうございます。
この記事は全く筆が進まず苦労しました。殺人などに比べれば軽いと思われがちですが、それでも裁判所は懲役18年を下したことで、殺人に匹敵する罪なのだと示したと思います。
母親は病気だという点を差っ引いても、キモイです。でも、哀れな人だという思いもある、同じ女、母親として、弱くて哀れな女だなぁと。
屑以下の男であっても、縋らなければならないなんて。
いつも欠かさず読ませて頂いています。
この親父、この母親、どちらにも虫唾が走る。
もう本当に腹が立って仕方ない。
私も子供が居ますが全員女の子、こんな時は特に離婚していて良かったと思えてしまいます。
何故こんなにもひどい仕打ちを…
何故絶対にしてはいけない事を平気でやれるのか…理解できません。
母親も自分が一番なのでしょう。
私の知るところでは、義父にイタズラされてる娘が耐えきれなくなり実の母に訴えた時…母親の言った言葉は…「義理では良くある事なんだよ」だった。
母親大好きだった娘は母親を信じ切っていた。でもその日から母親に嫌悪感を抱き、冷静に母親を見て生きた。
振り返れば何事も自分が一番の女だったそう。
この母親も娘たちの苦しみよりも自分が一番なんじゃないかと思えて仕方ないです…
来栖美弥さま
いつもありがとうございます。
今回は更新が遅くなったのですが、この記事をまとめるのに大変な時間を要しました。
表現をどうすればよいのか、ぼかしてしまうのは簡単ですが、そうすることが果たして良いのかどうか。
この父親の所業をきちんと伝えることも大切、でも、それでもすべてを書くことは不可能です。
それほどまでに、酷い、酷すぎる仕打ちです。
文中に、精神的に殺された、と書きましたが、そんな言葉でもぬるい。この姉妹が味わった地獄は、殺人に匹敵します。
来栖さんが書かれたように、目をつむってしまう、黙殺してしまう母親もいると聞きます。
この事件の姉妹は、母を思うがゆえに耐えてしまった。でも、本当に母親は知らなかったのかな、と疑問に思います。
ルポによれば、母親は涙を流して自分を責めていたそうですが、精神を崩壊させることで逃げているような気もします。
さらに私が恐ろしいと思うのは、おそらくこのような事件は、実はもっとたくさんあるんだろうな、ということです。
表に出ないだけで、生きながら死んでいるような日々を送っている人が今もいると思うと、腹が立つやら情けないやら、もうどうにもなりませんね。