但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください。なお、有料記事を無断で転載、公開、購入者以外に転送した場合の利用料は50万円~となります。
**********
平成16年9月8日
宮城県古川市、JR古川駅前交番。
女は明らかに思い詰めた様子で、応対した警察官はただならぬ雰囲気に気圧されていた。
「子供を殺した。」
呆然とした様子でそう警察官に伝えた女は、さらに驚愕の告白をする。
「二人とも殺した。」
警察官は古川署へ任意同行を求め、事情を聞いたところ、女の供述通り古川市内の女の自宅からまず一体、そして、女の実家の敷地内からも、小さな小さな遺体が出た。
自宅から見つかった遺体は腐敗が激しく、また女の実家から出た遺体は白骨化していたが、女は埋める前に庭にあった焼却炉で遺体を焼いたと言った。
事件概要
宮城県警捜査一課と古川署は、1歳になる長男の遺体を自宅に隠したとして出頭してきた古川市江合本町一丁目の無職、丹野洋子(当時22歳)を死体遺棄容疑で逮捕した。
さらに、自宅を捜索した際に洋子の夫で亡くなった子供たちの父親である丹野耕司(当時22歳)も同容疑で逮捕。
洋子の話では、7月下旬ごろに長男・洸希(こうき)ちゃん(当時1歳)を耕司が殴って殺害し、その遺棄を命じられたという。
当初は押し入れに隠していた。しかし腐敗が進んだことから処分するよう耕司に強く求められたものの、遺棄することもできずに、良心の呵責に耐えかね出頭したのだという。
また、陽子の実家から出た遺体は、次男の有己(ゆうき)ちゃん(生後一か月)であると自供。有己ちゃんも、耕司が殴りつけて殺害していた。
驚くべきことに、有己ちゃんが殺害されたのが6月中旬、洸希ちゃんが殺害されたのはそのわずか1か月後だった。
しかも、耕司は取り調べに対し、
「子供が好きではなかった。かわいくなかったので殴った。」
と供述しており、捜査本部では殺意があった可能性も視野に入れて捜査を始めた。
感情が高ぶり、思わず強く殴ってしまったら死んでしまった、死ぬとは思わなかったというありがちな言い訳を、耕司はしようともしなかった。
それどころか、洸希ちゃんが死亡した際、
「こんなに簡単に死ぬんだったら、最初からもっと本気で殴っとけばよかった」
と、母親の洋子に言い放っていたのだ。
その後、殺意があったとして10月に入って耕司を殺人容疑で、洋子を殺人ほう助の容疑で再逮捕し、仙台地検はすでに起訴されていた死体遺棄容疑に追加して起訴した。
幼いわが子を短期間にふたりも殺害し、遺棄するという極悪非道の事件だったが、平成17年9月6日、仙台地方裁判所は耕司に対して懲役17年(求刑20年)、洋子に対しては懲役4年(求刑7年)の判決を出した。
異様に軽いように思われるこの判決。
その背景には、耕司の残酷すぎるある体験が深く関係していた。
いつも興味深く記事拝見してますが、今回の記事は大きな鉛を飲み込んだかのような、ズドンとした重い読後感です…。
数ヶ月前に自分の妊娠が発覚したからなのか、加害者である洋子、加害者の親である耕司の母、すべての母親に呆れでも怒りでもない、不思議な憐憫を感じてしまいます…。
今、自分のお腹に我が子がいる状態で「お腹の子は健康に生まれてきてくれるだろうか」「お腹で元気に過ごしてるだろうか」など、毎日心配事はつきませんが、それでも病院でエコーを見せてもらうと、言葉にできない多幸感で胸がいっぱいになります。(自分語りすみません…)
たぶん、上記した二人の母親も、妊娠中(そして出産後も幾度なく)同じような気持ちを子供に抱いてたんだろうなと思うと、とてもやりきれません…。
特に耕司の母親は、たしかに無計画な面はあったかもしれませんが、未成年の子供を残し凄惨なかたちで命を落とし、とても無念だっただろうなと感じます。犯した罪は凶悪だけど、耕司の気持ちを思うと母親への確かな愛情も感じるし…すべてが悲しい事件ですね…。
終始涙目で読んでいましたが、中の人さんの「歴代凄惨な経験選手権」は笑ってしまいましたw 急に軽いネーミングwww
難解で重苦しい事件でも、いつもわかりやすく軽快な切り口で文章を綴ってくださる中の人さん…尊敬です…m(_ _)m
えーめん さま
いつもありがとうございます!励みになっております。
現在妊娠中とのこと、辛い記事を読ませることになってしまいました、すみません。
私も母親なので、洋子と、耕司の母親の立場と言えますが、さすがに耕司の母親のような行動はとれません。
何もかもが普通じゃない。記事にも書きましたが、ただそれでも耕司にとっては、愛する母だったのでしょうね。
もう少し、いや、もっと当時の耕司を気にかける人がいれば違ったのか…いや、そんなことでは太刀打ちできないほどに彼の心は病んでいたのかな。
「歴代凄惨な経験選手権」、たまにこういうこと書くと怒られるんですが、書かずにいられない…(笑)
今後、1~2作無料記事を入れますので、また読んでくださいね。そのあとの有料記事は、これまた理解しがたい事件です。
Twitterにちょろっと書いたんですが、被害者を埋めた土地の所有者のコメントが秀逸でした…
なんとも言えない事件ですよね。
父親は悲惨な経験をしてるけど、でも赤ちゃんを殺して良いわけはないし‥。
母親も自分の意思は無いのかと。
やっぱり子供が可愛くないならなぜ産む?としか思えないです。
周りにもそういう親結構いますけど‥。
ほったらかしで無関心なんだけど、子供が揉めたら相手の親子をやたら敵視したり。
相反することをする人っていますよね。
この犯人は今後どんな風になって生きて行くんだろうと思わされます。
ちい さま
いつもありがとうございます。
なぜこんなに軽い刑??と思って調べ始めた事件でしたが、確かにあの経験がなかったら、ここまでのことにはならなかっただろうな、と思いました。
実際に妹に対してはそんな感情を抱いてないですからね…
多分ですけど、実際にその手に抱くまでは不確かな感情だったのではないかと思いました。
それまでにも赤ちゃんを見たり接したりする機会はあったでしょうし、自分でも苦手だという程度の意識だったのかなと思いました。
それが実際に目の当たりにした時、無理無理無理、というふうになってしまった…
キツイですね。
ですが、おっしゃる通りそれがどうした、なんですよ、子供になんの罪もない。自分の問題を転嫁しただけです。
もう出所してると思いますが、自分と向き合えた、意味のある懲役であったことを願います。