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不可解な言葉
剛志が裁判で話したことは、概ね話の筋としては辻褄もあっていたし、時系列に関しても些細な勘違いはあったものの、傍聴していて理解に苦しむような部分はなかった。
ただ、2点、どうにも腑に落ちない点があった。 続きを読む Evil and Flowers~新居浜・両親殺害事件⑩~
剛志が裁判で話したことは、概ね話の筋としては辻褄もあっていたし、時系列に関しても些細な勘違いはあったものの、傍聴していて理解に苦しむような部分はなかった。
ただ、2点、どうにも腑に落ちない点があった。 続きを読む Evil and Flowers~新居浜・両親殺害事件⑩~
被告人質問が続く。
弁護人はそれまでも、どうにか剛志の心を開かせようと質問を繰り返していたように思う。しかし、それを知ってか知らずか、はたまた言葉がうまく出てこないのか、剛志の答えは言葉のチョイスが変わることはあっても、表面を滑っていくようなものが多かった。 続きを読む Evil and Flowers~新居浜・両親殺害事件⑪~
「私はねぇ、娘がそこに家を建ててからしょっちゅう遊びに来てるんです。もう、20年くらいになりますか。
でもねぇ、娘夫婦には子供がおらんのでね、あのお宅ともあんまり交流はなかったみたいなんですよ。
ただ・・・。うちがガソリン入れに行くスタンドで、剛志君が働いとったからね、高校の時から。そんなんであの子がここにおった頃は、朝自転車で学校行くとき、『おはようございます』ゆうて挨拶してくれよったんですよ。
それがねぇ・・・なんであんなことになってしまったんか・・・ここらの人もみんなわからんのやないですか。」 続きを読む Evil and Flowers~新居浜・両親殺害事件⑫~
剛志は、母親の最後の言葉は特になかったと話した。
しかし、実際は洋子さんと最後のやり取りというのが存在している。
剛志が洋子さんの首を絞めたとき、意識がもうろうとした洋子さんは、剛志のことが分からなくなっていた。
そして、剛志に対して、
「あんた、誰?」
と聞いた。そして、自身の弟である剛志のおじの名を呼んだという。 続きを読む Evil and Flowers~新居浜・両親殺害事件⑬~
子どもたちが集団登校し始めた月曜日の午前8時。
畑が広がるのどかな桑名市長島のこの一帯では、冬の寒さの中、早朝から畑仕事に勤しむ人々の姿も見られた。
天気予報は、日中の気温が15度近くまで上がると告げており、冬独特の乾燥した一日になると予想された。
その日、男性はいつものように自身が栽培した野菜を市場へと出荷し、自宅に戻ってきた。
家には先週末から体調を崩している次男坊が寝ているはずだ。
家につくと、ふと、なにかにおう気がした。誰か朝から野焼きでもしているのだろうか。
男性は違和感を覚えながらも玄関の戸を開けた。