母の名は、女~山形・村山市6歳男児殺害死体遺棄事件①~

拘置所にて

「私、今でも夢を見るの。男の人と連れ子と4人で仲良く暮らしていて。でも、男の人の顔はないの。」

女は拘置先の刑務所で、面会に来た知人にこう話した。
家族で楽しく幸せに暮らすことが夢だった。自分に子供がいるから、相手にも子供がいればいいな、女はそう思ってまさにその通りの男と巡り会った。

しかし家族になろうとしたひと月後、女は月灯りに照らされながらスギ林の中で我が子の墓穴を掘っていた。

加藤翔くん(当時6歳)。母親とその同棲相手の男から凄惨な暴行を受け、死亡。母親の手によって、鬱蒼としたスギ林に埋められた。
最初に発見された遺体は、わずかに髪の毛が残った頭部だった。

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母の名は、女~山形・村山市6歳男児殺害死体遺棄事件②~




母子のそれまで

有美は秋田県由利町(現・由利本荘市)の出身。
田畑の中を国道108号線が走り、そこから各集落へと進むとどこも似たような長閑な田舎の風景が広がる。
旧由利町の中心部こそ商店や施設が立ち並ぶものの、石巻から由利本荘市までをつなぐこの国道沿いとはいえ、由利町は通過点の町、といった印象だ。

この町で有美は高校卒業まで育った。 続きを読む 母の名は、女~山形・村山市6歳男児殺害死体遺棄事件②~

母の名は、女~山形・村山市6歳男児殺害死体遺棄事件③~




葛藤

有美は実母に対し、新しい交際相手ができたことを告げられずにいた。
というのも、翔くんがまだ幼く普通よりも子育てに慎重さが求められるため、「再婚」については実母は反対していたのだ。
しかし有美としては交際の延長上には当然、再婚があるわけで、彼女なりの葛藤はあったに違いない。 続きを読む 母の名は、女~山形・村山市6歳男児殺害死体遺棄事件③~

母の名は、女~山形・村山市6歳男児殺害死体遺棄事件④~




「母として仇をとってやりたい」

板垣は平成15年12月22日に死体遺棄容疑で起訴、有美同様、のちの殺人罪でも起訴となる。

2月16日の初公判では、どこか心ここにあらずと言った風で、裁判長からの呼びかけに応じない場面もあった。
4月19日の第二回公判において、殺人罪の罪状認否については「死んでも構わないと思ったが、計画的ではない」と確定的な殺意を否認、弁護側も有美同様、未必の故意を主張した。 続きを読む 母の名は、女~山形・村山市6歳男児殺害死体遺棄事件④~

護られたかった人~小牧市・同居女性殺害事件①~

平成18年8月17日

名古屋高裁でこの日、とある殺人事件の控訴審判決が言い渡された。
被告人は、原田芳文(仮名/当時39歳)。平成16年に小牧市内で同居していた女性を殺害、遺棄した疑いで逮捕起訴されていた。
半年前の28日に下された一審判決は、懲役12年。求刑が15年であったことからも、妥当な線に思えた。
しかし、この日名古屋高裁の前原捷一郎裁判長は、原判決を破棄、懲役10年を言い渡した。
さらに減刑となった理由は、殺人が起こるその過程に注目したうえで、一審判決はそれを十分に考慮していない、というものだった。

男が殺人を犯した理由は、なんだったのか。

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