🔓魔が刻~群馬・幼児ダム突き落とし事件~

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平成11年5月3日

埼玉県妻沼町。
群馬県警の捜査車両は一台の車とカーチェイスさながらの追跡劇を作り広げていた。
運転していたのは男。男が運転していたのは、群馬県館林市内で盗まれた車であり、その車には、持ち主の子供たちが乗っていた、はずだった。

事件概要

平成11年5月3日、GWのさなかのこの日、その車は館林市松原の住宅展示場にあった。
所有者は館林市内在住の会社員、田島修さん(仮名/当時37歳)。妻と二人の子供とともに、この住宅展示場を訪れていた。
ぽかぽか陽気の中、子供たちは楽しい休日を満喫し、後部座席で寝入っていた。
田島さん夫妻は子供たちを起こそうとしたが、気持ちよさそうに眠っていたため、エアコンをかけエンジンをかけたまま車を離れた。
住宅展示場へ入って、目当ての家の二階に上がってふと、修さんが外に停めた自分の車のほうを見て驚愕した。
あったはずの車が、消えていたのだ。

「車がない!子供が乗ってるんだ!!」

展示場に入ってわずか6分。すぐさま110番通報し、直ちに緊急配備が敷かれた。

午後8時半、冒頭の通り国道17号線を群馬から埼玉に入ったところで捜査車両に行く手をふさがれたその車は、ガードレールにぶつかりながらも逃走を図ったものの、逃げ切れず逮捕となった。
が、肝心の子供の姿が車の中にはなかったのだ。

さらに、警察が男の身元を調べたところ、なんと別の事件で茨城県警に指名手配されていた男だということが判明した。
【有料部分 目次】
男のそれまで
暗雲低迷
どうしようもない男
誤算からの破滅
自責
その後

🔓親であり兄であり、恋人だったあなたへ~畠山武人・外伝~

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まえがき

「連絡が来ると思ってました。いいですよ、書いてもらって。事実が捻じ曲げられなければ、いいです。」

秋の終わり、私が公開しているとある記事にコメントがついた。
その記事とは、平成16年に栃木県宇都宮市で起きた拳銃立てこもり事件だ。
その詳細は該当記事を読んでもらうとして個人的にはこの事件備忘録を始めるきっかけともいえる思い入れのある事件だった。

コメントしてくれたのは女性で、彼女はこの立てこもり事件で死亡した畠山武人氏と、それ以前に人生の一時期をともに生きた人物である。

宇都宮の立てこもり事件を書いた後、畠山氏と刑務所で一緒だったという人や暴力団関係で知り合いだったという数人から話を聞くことは出来ていたが、いずれも男性であり、さほど深い関係の人はいなかったことから、私はすぐさま彼女に連絡を取った。
そこで彼女が語ってくれた内容は、凄まじい迫力に加え、本人でなくては絶対に出せない生々しさに満ち溢れていて、私は圧倒されてしまった。

重大な罪を重ねたあげく、若き愛人と手をつなぎ頭を拳銃で撃ちぬいて心中した男。その荒ぶる魂に隠された「人間・畠山武人」を、私はなぜかどうしても残しておきたくなった。

平成3年の夏の終わりに宇都宮市内で起きた、覚せい剤と立てこもりと、彼と女子中学生の物語である。

【有料部分 目次】
事件概要
あの夏の少女
出会い
軋み
後輩の女
厳しい現実
逮捕、そして別れ
けじめ
永遠の別れ

🔓蠢く隣人~高崎市・女児殺害事件~

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法廷にて

前橋地裁高崎支部。この日、とある裁判の第5回公判が開かれていた。
幼い児童を殺害したとして殺人の罪などで裁かれている被告に、検察官よりある要望が投げかけられた。
その瞬間、それまでうなだれていた被告の男は、弾かれたように態度を豹変、感情を爆発させた。

「あの子たちを処分することは!私の子供を殺すかのようなものだ」

被告の男は号泣、その後も「くそっ!」などと感情を吐露し続けるそんな男の態度を、傍聴席の遺族は一瞥し、法廷を後にした。

事件概要

平成16年3月11日、群馬県高崎市北久保町の豊岡小1年、浜名愛さん(当時7歳)が、下校後に行方が分からなくなっていた。
愛さんは4年生の兄と両親の4人で県営団地で生活していたが、その日、同じ団地に住む同級生とともにエレベーターに乗った後、自宅に戻らなかったのだ。
防犯カメラには6階でまず同級生が降り、その後自宅のある10階で降りる愛さんの姿が映っており、以降、愛さんが団地から出る様子は映っていなかった。時刻は午後2時35分。
その一時間後に母親からの通報で、捜査員らが状況から団地内を捜索を開始、同時に学校関係者や保護者には電話連絡網で愛さんの行方不明が伝えられていた。

その日、愛さんは水色のフリースに紺色のキュロット、靴はピンク。
その姿を、外出先から車で戻る途中の母親が目撃していた。友達と元気に下校する娘の姿を、母親が見間違えるはずもなかった。
先に帰宅し家事をしながら、母親は玄関ドアが開き、「ただいま」といつものような愛さんの声が聞こえると思っていたが、気が付けばやけに時間が経っていた。
ひとりではなかったし、この年頃の子は遊びながら帰ってくるもので、階段を上がるだけでも遊びに変えてしまうこともよくある。

それにしても、遅かった。

母親は一緒にいた6階に暮らす同級生宅に電話を入れた。愛さんが遊びに行っているかもしれない。しかし、その同級生はとっくに帰宅しており、愛さんとはエレベーターで別れた、と話したため、すぐさま警察へ通報したのだった。

警察では状況から、愛さんは団地内にいる可能性が強いとして、片っ端から団地の住人宅を捜索。
そして、午後5時半。捜査員が愛さん宅の隣の部屋の住人に話を聞いていた時だった。
応対した母親(当時48歳)が、仕事に出かけている息子に連絡し、何か知らないかと尋ねた際、「事情を知っている」と息子が話したのだ。

そして、午後7時すぎ、勤務先から帰宅した息子とともに部屋を捜索したところ、息子の部屋の押し入れから、愛さんを発見したのだった。
愛さんはゴミ袋に入れられており、すでに死亡していた。

【有料部分 目次】
隣家の男
報じられない犯行内容
地域の衝撃
張本人からのアドバイス
心のよりどころと応報
母の思い

🔓ひとりで死ね、は、暴言か~道連れにしたがる人々~

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まえがき

人は人生に行き詰まり、また絶望したとき、ふと、自死に思いを巡らせる瞬間がある。それは、単に想像するだけのものから、実際に計画を立てたり、あるいは衝動的に自傷行為に及ぶもの、そして、計画的か衝動的かにかかわらず、結果として死亡してしまうものまで幅広い。

年間の自殺者は3万人を超え、10歳以下の子どもから80歳を超える年寄りまで自殺者のいない世代はない。
これらは社会問題とされ、その要因を社会に求める人々、家族間や学校に求める人など様々だが、いずれにせよ自死を選択しやり遂げた人からすれば、どれも「なんか違う、けどまぁいいか」程度のものだと思っている。

そういった自死を選択する人々の多くはひとりで旅立っていくわけだが、時に他人とともに旅立とうとする人々がいる。
同じ自殺の意思を持ち行う集団自殺、あるいは夫婦や恋人間に見られる完全合意の心中、さらには、無関係の他人を無差別に巻き込む通り魔的犯行まで、そのかたちも様々だ。

そういった、「誰かと死ぬ」「一人では死なない」という選択をした人々の事件をいくつかとりあげてみたい。

他人とともに死ぬということ

こう聞いて、まず思い浮かべるのはやはり心中事件だろう。個人的に、心中という言葉は使いたくなく、特に親が幼い子を道連れにするようなケースにおいては全部殺人だと思っている。
しかし一方で、完全なる合意のもとで行われる、それこそ「心中」と呼ぶ以外にないケースもあるだろう。病気を苦にした人が家族に殺害を依頼し、それに家族が応じたうえで自らも命を絶つというケースや、そこに全員の「死ぬ意思」がはっきりと見て取れるケースなどは心中に該当するのだろう。

病気を苦に、将来を悲観して、経済的な問題、男女関係の問題、理由は様々あろうが、家族以外の人間と、となるとその判断は特に慎重にしなければならない。

特に、男女関係におけるそれは、片方の身勝手な思い込みが介在していることが少なくない。大昔であれば、身分の違いから結婚を許されない二人が…などという話もあっただろうが、現代においてそんな身分はない。眞子さまだってこの状況でも結婚のお許しはもらえたわけで、一般庶民が許されざる関係に嘆いて心中、などというのはほとんどない。あるとすれば不倫関係か。であっても、数としてはそんなに多くないだろう。

家族間の場合は、よくある「あとに残される人間が不憫」という理由で全員連れていく、というものだが、それとて全員の承諾があったかどうかは本当のところはわからない。全員死んでしまえばそれで終わりだし、こういうケースで生き残るのはたいてい首謀者であり、その首謀者の言葉を鵜呑みにするのは当然危険である。
このサイトでも取り上げた、中津川の一家五人殺しも、首謀した一家の主が家族を殺害後、自らの首を切っていたこと(未遂)などから無理心中を図ったとされ、幼い孫まで殺しておきながら死刑を免れた。
一方、宮崎の一家三人殺害の場合は死刑判決が確定している。心中する「つもり」だったのかそうじゃなかったのかは、殺害した人の数よりも重要なのだ。

しかし道連れにされた(殺害された)家族の心はどうなるだろうか。
しかも、首謀者が道連れを画策したのが初めてではないとしたら。
平成13年と14年に青森で起きた二つの無理心中事件を紹介しよう。

【有料部分 目次】
七戸一家4人無理心中事件
岩崎村の兄殺し
・吐き気がするほどの身勝手
大宮のテレクラ殺人
・虚無の人生
・噴出した感情
永遠に自分のもの
・大胡町の事件
・優柔不断男の豹変
・愛憎の焔
・衝撃の判決
ひとりで死ね論争
道連れにしたがる人々

🔓仇~宮城・乳児二人殺害死体遺棄事件~

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平成16年9月8日

宮城県古川市、JR古川駅前交番。
女は明らかに思い詰めた様子で、応対した警察官はただならぬ雰囲気に気圧されていた。
「子供を殺した。」
呆然とした様子でそう警察官に伝えた女は、さらに驚愕の告白をする。

「二人とも殺した。」

警察官は古川署へ任意同行を求め、事情を聞いたところ、女の供述通り古川市内の女の自宅からまず一体、そして、女の実家の敷地内からも、小さな小さな遺体が出た。
自宅から見つかった遺体は腐敗が激しく、また女の実家から出た遺体は白骨化していたが、女は埋める前に庭にあった焼却炉で遺体を焼いたと言った。

事件概要

宮城県警捜査一課と古川署は、1歳になる長男の遺体を自宅に隠したとして出頭してきた古川市江合本町一丁目の無職、丹野洋子(当時22歳)を死体遺棄容疑で逮捕した。
さらに、自宅を捜索した際に洋子の夫で亡くなった子供たちの父親である丹野耕司(当時22歳)も同容疑で逮捕。
洋子の話では、7月下旬ごろに長男・洸希(こうき)ちゃん(当時1歳)を耕司が殴って殺害し、その遺棄を命じられたという。
当初は押し入れに隠していた。しかし腐敗が進んだことから処分するよう耕司に強く求められたものの、遺棄することもできずに、良心の呵責に耐えかね出頭したのだという。
また、陽子の実家から出た遺体は、次男の有己(ゆうき)ちゃん(生後一か月)であると自供。有己ちゃんも、耕司が殴りつけて殺害していた。
驚くべきことに、有己ちゃんが殺害されたのが6月中旬、洸希ちゃんが殺害されたのはそのわずか1か月後だった。

しかも、耕司は取り調べに対し、
「子供が好きではなかった。かわいくなかったので殴った。」
と供述しており、捜査本部では殺意があった可能性も視野に入れて捜査を始めた。

感情が高ぶり、思わず強く殴ってしまったら死んでしまった、死ぬとは思わなかったというありがちな言い訳を、耕司はしようともしなかった。
それどころか、洸希ちゃんが死亡した際、
「こんなに簡単に死ぬんだったら、最初からもっと本気で殴っとけばよかった」
と、母親の洋子に言い放っていたのだ。

その後、殺意があったとして10月に入って耕司を殺人容疑で、洋子を殺人ほう助の容疑で再逮捕し、仙台地検はすでに起訴されていた死体遺棄容疑に追加して起訴した。

幼いわが子を短期間にふたりも殺害し、遺棄するという極悪非道の事件だったが、平成17年9月6日、仙台地方裁判所は耕司に対して懲役17年(求刑20年)、洋子に対しては懲役4年(求刑7年)の判決を出した。
異様に軽いように思われるこの判決。
その背景には、耕司の残酷すぎるある体験が深く関係していた。

ここからは有料記事です