愛のためと嘯いた男の事情~静岡2女性殺害事件~

2010年5月5日。

静岡県御殿場市萩原の住宅街の一角。
住宅ローンが滞り3月に競売にかけられたその家は、不動産業者が落札し清掃業者が残された荷物やゴミの整理のため立ち入っていた。
直前の4月25日まで元の住人が暮らしていたその家は、生活感の抜けきらない何とも言えない雰囲気だったが、競売物件にはよくあることでもあった。
敷地内にある物置を掃除していた業者は、放置された青いビニールシートに目が留まった。粘着テープで不自然に巻かれたそのビニールシートをはぐと、そこに現れたのは女性らしき遺体であった。
仰天した清掃業者の通報で駆け付けた御殿場署員も遺体を確認、その後の調べで遺体は2月ごろから行方が分からなくなっていた久松紘子さん(当時26歳)とわかった。
紘子さんは、遺体発見現場となったこの住宅の元の持ち主である桑田一也(当時44歳)の前妻であった。

桑田は、遺体が発見される直前の4月に、知人女性に振り込め詐欺をはたらいた容疑で逮捕、起訴されていた。

続きを読む 愛のためと嘯いた男の事情~静岡2女性殺害事件~

美女と野獣の成れの果て~館林ストーカー殺人事件~

2014年2月19日。

群馬県館林市小桑原町。
その日は冬空の合間から太陽も見える一日で、新宿二丁目交差点から少し南下したそのディスカウントストアにも買い物客が多く訪れていた。
広い駐車場内の一画に、ポツンと止まる1台の軽乗用車。15時ころ、通りがかった店員が運転席でうなだれている若い女性に気づいた。
寝ているのか?と思ったが、頭と鼻から血を流しているのを発見し、急いで通報したが女性はすでに死亡していた。
女性は、群馬県大泉町寄木戸に住む鈴木千尋さん(26)。3歳の子供の母親であった。

続きを読む 美女と野獣の成れの果て~館林ストーカー殺人事件~

美女と野獣のなれの果て~館林ストーカー殺人事件②~

再会と200万円

12月に入り、群馬県警は栃木県警から鈴木さんに関するトラブルの引継ぎを行う。
その後、2週間ほど後に実際の住所を把握し、その数日後にようやく鈴木さん本人に安否確認を行っていた。
やけにのんきな対応にも思えるが、鈴木さん自身が警察からの忠告に対し反応が薄かったこと、永井に前科がなかったこと、暴力団員でもなかったことなどからこのような対応であったのだろうと推測する。
現に、鈴木さんは12月の終わり、なんと永井と直接面会している。
これは永井による申し出であったが、本来はストーカー規制法に引っかかるため会えないはずだが、「金銭トラブルを解決するため」という永井の方便によって、警察も許可せざるを得なかった。
鈴木さん自身も、お金である程度解決できるならばやむなしとも考えたのだろう、父親同伴で佐野市内の飲食店で永井と対面している。
その際、警察によって永井は身体検査も受けており、鈴木さんとしても今日こそは別れ話に決着をつけたい、そんな思いで臨んだ話し合いだったが、決裂した。

続きを読む 美女と野獣のなれの果て~館林ストーカー殺人事件②~

双葉ハイムで死んだ二人の女①~宇都宮拳銃たてこもり心中事件~

 平成16年5月20日早朝。

電話口で、女は必死で訴えていた。
愛する人が死にそうなこと、先に撃ったのはこの人ではないこと、追い詰めたのは周りだということ。
そのマンション下の国道119号には、ずらりと黒塗りの高級車が列をなし、あきらかに堅気ではない人物の姿もあちこちに見えた。その中に、中年の夫婦の姿も見て取れる。
警察車両もマンションを取り囲んでいる。周囲の道路は封鎖され、すぐ向かいにある中学校は臨時休校、周辺のガソリンスタンドや商店も、閉店を余儀なくされていた。

マンション近くの陸橋のそばで構えていた報道のカメラに、突然、女性の絶叫が聞こえた。名前を叫んだように聞こえた。

そして、間髪入れずに銃声。

宇都宮市一条の双葉ハイム206号室で、その日男と女が死んだ。

その4年前、同じマンションの同じ2階の端の部屋でも、一人の女が死んでいた。

続きを読む 双葉ハイムで死んだ二人の女①~宇都宮拳銃たてこもり心中事件~

私を捨てるなら、死んで。~木更津年下夫殺害遺棄事件~

平成15年10月8日午前。

母親は、前夜から夫が帰っていないと中学生の娘にうろたえた表情で伝えていた。
でも、帰ってくるかもしれないからと、いつも通りお弁当も作った母親を、娘はどんな目で見ていたのだろうか。
「お母さん。お義父さんはもう帰ってこないんじゃないの…」
心の中では、娘とて両親の不仲には気づいていたのではないだろうか。

翌9日、警察から「夫の車が塩浜公園で燃えている」と伝えられた。
夫の父親とともに警察で事情をきかれ、「昨日から夫が帰宅していない」と心配そうに捜索願を出した。

ぼんやり考えていた。
明々後日は、息子の3歳の誕生日。こんなことになってしまって、息子がかわいそう。
でも、息子は「いちごのお姉さん」のほうが好きなのかしら。
どうしてこうなってしまったんだろう。あんなに私を求めてくれたあのひとは、遠くに行ってしまった…

10月12日、「夫を殺して池に棄てました」。

続きを読む 私を捨てるなら、死んで。~木更津年下夫殺害遺棄事件~