なぜ彼女は家を出たか~伊勢崎市・主婦監禁暴行餓死事件②~

惹きつけられる女たち

幸夫は逮捕当時こそ報道で顔写真が出ていたが、残念ながら私自身彼の顔を知らない。
当時を知る人によれば、幸夫は見た感じ普通、逮捕当時は小太りな男といった印象、との話がある。
そんな幸夫は、なぜか交際する女性が常にいたという。どこからともなく連れてくる女性は引きも切らず、二十歳で最初の結婚をし、4年後に離婚した後もまた再婚し、それぞれに子供をもうけていた。
結婚した二人の妻を含め、鳥之郷団地の金井家に同居していた女性は少なくとも8人以上はいた。それは近隣の人らが把握できている数であり、それ以外にもまだ関わりのあった女性はいたとみられる。
過去に、秋田の進藤美香の事件について書いた際にも、世の中には外見的、環境的にモテる要素が一切見当たらないにもかかわらず、異性を惹きつけてやまない人間がいるということに触れた。
この金井幸夫という男にも、どうやらそういった部分があったように思う。ただ、「ある条件を備えた女性」限定で。 続きを読む なぜ彼女は家を出たか~伊勢崎市・主婦監禁暴行餓死事件②~

いい親になりたかった母親の無理筋~尼崎・児童虐待死事件~

平成13年8月14日


「剛士ぃっ!!!!」
人通りの多いJR神戸線立花駅前のコンビニエンスストア前の路上では、多数の捜査員と揉みあう若い男女の姿があった。
暴れまわる金髪の女に対し、向き合う形で捜査員に引き離された痩せこけた男は、錯乱状態で泣き叫ぶその女を茫然としたまなざしで見つめていた。
この様子はその日の夕方のニュースで全国に放送され、見たものは二人の異常な様子に唖然とした。

この日から1週間前、男と女は小学1年生の女の実子を凄惨な暴力の挙句に殺害し、こともあろうか事件の発覚を恐れて近くを流れる運河に遺棄したのだ。
その遺体は、黒いごみ袋に詰められていた。
男児は勢田恭一くん(当時6歳)。度重なる虐待から児童養護施設で生活していたが、事件の直前、8月1日から10日間の予定で一時帰宅となっていた。
恭一君は、「嫌やなぁ、(家に)帰りたくない」と泣いていた。そして、その7日後に、殺害されてしまった。

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いい親になりたかった母親の無理筋~尼崎・児童虐待死事件②~

「ママにしか頼まれへん!」


当時の報道によれば、知子夫婦らは自宅で次男の面倒をみてくれていた母親に対し、「恭一を病院に連れて行った」と話した、とされているが、実際はこうである。
知子の母親は二人を訝りながらも、気の強い知子が涙を流しているのを見てただならぬ気配を感じていた。

すると、普段は口もきこうともしない剛士が突然、
「相談がある」
と切り出してきた。金の無心に違いないと思った母親はそっけなく「銭ならないぞ!」と吐き捨てたが、剛士は食い下がった。
「カネの事と違う、おばはん、恭一を預かったことにしてくれ」
その時まで、母親は姿の見えない恭一君について、知子夫婦が病院へ連れて行ったものだとばかり思いこんでいたという。
それが、預かっていたことにしてくれとはどういうことか。問いただそうとするより先に、知子が土下座する勢いで頼み込んできた。
「ママにしか、無理を言えん。ママにしか頼まれへん。お願いや!」

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いい親になりたかった母親の無理筋~尼崎・児童虐待死事件③~

婦人公論の記事

事件後、婦人公論の誌面において、フリーライター佐藤万作子氏による知子との面会などを綴ったルポが発表された。
内容をまとめると、
①知子はよき母親になろうとしていた
②本来は心優しい人間である
③職員が母親である知子の扱いを間違えた
④知子は助けてほしいと思っていた
だから知子は悪くない、とは言っていないが、正直よくここまで恭一君の存在を無視できるよなぁという印象だった。

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自己憐憫の夫がつけた、やり過ぎた妻へのおとしまえ~日立母子6人殺害事件①~

2017年10月6日

月明かりに照らされた家族の寝顔を、男はしばらく眺めていた。
リビングのテレビが、午前4時39分を告げたころ、男は答えを出した。
左利きの男は左手に包丁を持ち、妻と子供が眠る寝室へと向かう。

午前5時ごろ、茨城県日立市田尻の県営上田沢アパート7棟から出火。
通報で駆け付けた消防によれば、そのアパートに暮らす小松恵さん(33)とその子供ら5人の合わせて6人が倒れているのを発見、長女以外はその場ですでに死亡、長女も病院に搬送されたが病院で死亡が確認された。

騒動になった頃と時を同じくして、日立署に一人の男が現れた。
脚にやけどを負い、錯乱に近い状態のその男は、応対した署員にこう告げた。

「ごめんなさい、妻と子供を刺して火をつけました」

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