何見てヨシって言ったんですか?〜あなたの隣の重過失〜

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重過失。
些細な注意を払えば防げたはずなのに、その些細な注意を怠ったがために重大な結末、例えば第三者の死亡などを招いた場合につけられる罪状。
平成31年、日本工業大学による屋外イベントにおいて木製のジャングルジムの内部から出火、幼い子供の命が奪われるという痛ましい事故があったことは記憶に新しいが、この事故で起訴された人物の罪名は重過失致死罪である。
木製のジャングルジムに高温になる白熱球を仕込んだだけでなく、その周囲に燃えやすい鉋屑(かんなくず)を詰め込むという発火待ったなしの状態だったことは、白熱球の熱さを知っている昭和生まれの度肝を抜いた。

類似するものとして、重過失失火というものもある。寝たばこや火の不始末などで火災に発展した場合に適用される。

そこに故意、悪意がないということのみならず、加害者のちょっとした気の緩みや無知と、ほんの一手間の注意を怠ったことで人を死なせてしまう事故は実は少なくない。
バックモニターもアラウンドビューもない車をガレージに入れる際、なぜか幼い子供を先におろす親、ガス漏れ警報で点検に来たにも関わらず、暗いからとなぜかライターをつける人、回収したスプレー缶を空にするため大量に噴射したのちになぜか瞬間湯沸かし器をつけて爆発させる人などなど、他人事としてその報に接すれば「なんでそうなった」と唖然とするわけだが、そんな私たちの隣にも「最悪のミステイク」はまるで日常の裂け目のように口を開けているのだ。

あなたはミスを犯さないか。あなたの隣人は、家族はミスを犯さないか。 続きを読む 何見てヨシって言ったんですか?〜あなたの隣の重過失〜

特集:虐待事件①

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摂津市で3歳の新村桜利斗(おりと)ちゃんが、母親の交際相手から熱湯シャワーを数分間にわたって浴びせられ、その後死亡するという残虐極まりない事件が起きた。

男は現在殺人で逮捕され取調べを受けているが、遊びの延長だったという趣旨の供述をしていて殺意は否認。
のちに母親も虐待を行なっていたとして逮捕されている。

ぷくぷくのほっぺたに、あどけない瞳。
手も足も何もかもが小さくて、一生懸命に生きている。

そんな子供たちを容赦なく、死ぬほどの暴力を加えて笑える人間が存在している。そこに血の繋がりなどは関係ない。

摂津市の事件に限らず、大きく報道され人々の記憶にも残る虐待、殺人事件というのは多い。目黒の船戸結愛ちゃん、野田市の栗原心愛さん、小山市の小林一斗ちゃん、隼斗ちゃん、大阪の下村桜子ちゃん、楓ちゃん、厚木の斉藤理玖ちゃん、尼崎の勢田恭一くん、秋田の畠山彩香さん、米山豪憲くん……

名前を聞いただけで「あぁ、あの事件の」と思い浮かべられるほど記憶に残る子供達がいる一方で、「そんな事件あったっけ?」と忘れ去られてしまった子供たちもいる。

事件備忘録ではむしろそういった、もう誰の記憶にもないかもしれない、親やその関係者に殺害された子供達の事件を書き続けていきたいと思っている。

あの子たちは生まれてきたし、ちゃんと生きていた。

忘れないで。

【収録事件】
①座間市・3歳児傷害致死事件(平成13年)
②🔒泉崎村・実子4人全員虐待3歳児餓死事件(平成18年)
③八王子・6歳女児熱湯シャワーせっかん死事件(平成7年)
④🔒大阪・2歳男児監禁致死死体遺棄事件(平成19年)
⑤施設収容申立および親権喪失宣告申立事件の背景

書ききれなかったので特集は第二弾もあります。

5歳の目撃者〜〜座間市・三歳児暴行死事件〜

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救急車にて

「ごめんね、ごめんね

救急車の狭い車内で、母親と思しき女性は意識のない子供の手を握りしめ、涙を目にためながらそう呟いた。
大学病院に搬送されたのは、まだオムツも取れていない小さな男の子。意識はなく、かなり危険な状態だった。

男児はその後搬送先の病院で救命及ばず、短い一生を終えた。

横浜地方裁判所

平成17年3月1日、横浜地方裁判所は、当時3歳の内縁の夫の連れ子に暴力をふるい死なせたとして、辻岡裕美(仮名/当時28歳)に対し、懲役4年6月の判決を言い渡した。

罪状は、傷害致死。
裕美はこの裁判で一貫して無罪を主張していた。事実、裕美が逮捕されたのは事件が起きた約1年後であり、判決が出たのはさらにその2年半後で、未決拘留日数は800日に及んでいた。

しかし裁判の結果は、有罪。

男児の死は事故か、それともそこに誰かの悪意があったのか。

有罪の決め手は、小さな目撃者の存在だった。 続きを読む 5歳の目撃者〜〜座間市・三歳児暴行死事件〜

執着する親たち~施設収容申立および親権喪失申立事件~

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虐待大国ニッポン。

大変不名誉な表現であるが、世界のいわゆる先進国と呼ばれる中で、日本ほど子供への虐待に生ぬるい国は珍しいのではないか。
どんなに車内放置はダメだといっても毎年のように子供が蒸し焼きにされる。もはや風物詩なのかと、わざとなのかと言いたくなるほどだ。これほど「車内放置は死ぬ」と言われていてもやるのは、もはや故意である。

欧米、特にアメリカでは州によって違いはあるものの、虐待通報として受理された場合は24時間から72時間以内にケースワーカーがその子供に直接会いに行くという。
受理されたものは虐待があったかなかったを調べ、結論も出す。玄関で怒鳴り散らされておめおめと引き下がることはない。

毎年のように信じられないような痛ましい虐待事件が起き、その何割かは子供が命を落としている。
にもかかわらず、何回も何回も、同じことが繰り返されるのはなぜか。前兆はなかったのか。

ここでは虐待事件として監護者が逮捕されたか否かにかかわらず、児童相談所が子供の身を守るために監護者から引き離すために行う「施設収容申立」と、親権を持つ親からその権利を奪う「親権喪失申立」について実際のケースを紹介したい。 続きを読む 執着する親たち~施設収容申立および親権喪失申立事件~

午前4時の熱湯シャワー〜八王子・6歳養女せっかん死事件〜

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笑顔のお誕生日会

平成769日。
八王子市中野上町の小さな二階建てアパートの一室には、子供たちの歓声が響いていた。
大きなバースデーケーキと、甘いお菓子。飲み物もたくさんあった。
7歳の男の子と、6歳の女の子。二人は兄妹で、お誕生日が近かったことからこの日二人分のお誕生パーティーを両親が開いてくれたのだ。

笑顔の兄妹を、両親は目を細めて何枚もカメラに収めた。

ただ、その笑顔はところどころ、青や黒いアザに覆われている。

そしてこの2週間後、妹は死亡した。

顔と右半身の皮膚を真っ赤に爛れさせ、想像を絶する苦しみの中もがき続け、誰にも助けられることなく短い一生を終えた。

幼い女の子が最後に見たのは、母親の再婚相手の姿だった。 続きを読む 午前4時の熱湯シャワー〜八王子・6歳養女せっかん死事件〜