いい親になりたかった母親の無理筋~尼崎・児童虐待死事件②~

「ママにしか頼まれへん!」


当時の報道によれば、知子夫婦らは自宅で次男の面倒をみてくれていた母親に対し、「恭一を病院に連れて行った」と話した、とされているが、実際はこうである。
知子の母親は二人を訝りながらも、気の強い知子が涙を流しているのを見てただならぬ気配を感じていた。

すると、普段は口もきこうともしない剛士が突然、
「相談がある」
と切り出してきた。金の無心に違いないと思った母親はそっけなく「銭ならないぞ!」と吐き捨てたが、剛士は食い下がった。
「カネの事と違う、おばはん、恭一を預かったことにしてくれ」
その時まで、母親は姿の見えない恭一君について、知子夫婦が病院へ連れて行ったものだとばかり思いこんでいたという。
それが、預かっていたことにしてくれとはどういうことか。問いただそうとするより先に、知子が土下座する勢いで頼み込んできた。
「ママにしか、無理を言えん。ママにしか頼まれへん。お願いや!」

続きを読む いい親になりたかった母親の無理筋~尼崎・児童虐待死事件②~

いい親になりたかった母親の無理筋~尼崎・児童虐待死事件③~

婦人公論の記事

事件後、婦人公論の誌面において、フリーライター佐藤万作子氏による知子との面会などを綴ったルポが発表された。
内容をまとめると、
①知子はよき母親になろうとしていた
②本来は心優しい人間である
③職員が母親である知子の扱いを間違えた
④知子は助けてほしいと思っていた
だから知子は悪くない、とは言っていないが、正直よくここまで恭一君の存在を無視できるよなぁという印象だった。

続きを読む いい親になりたかった母親の無理筋~尼崎・児童虐待死事件③~

自己憐憫の夫がつけた、やり過ぎた妻へのおとしまえ~日立母子6人殺害事件①~

2017年10月6日

月明かりに照らされた家族の寝顔を、男はしばらく眺めていた。
リビングのテレビが、午前4時39分を告げたころ、男は答えを出した。
左利きの男は左手に包丁を持ち、妻と子供が眠る寝室へと向かう。

午前5時ごろ、茨城県日立市田尻の県営上田沢アパート7棟から出火。
通報で駆け付けた消防によれば、そのアパートに暮らす小松恵さん(33)とその子供ら5人の合わせて6人が倒れているのを発見、長女以外はその場ですでに死亡、長女も病院に搬送されたが病院で死亡が確認された。

騒動になった頃と時を同じくして、日立署に一人の男が現れた。
脚にやけどを負い、錯乱に近い状態のその男は、応対した署員にこう告げた。

「ごめんなさい、妻と子供を刺して火をつけました」

続きを読む 自己憐憫の夫がつけた、やり過ぎた妻へのおとしまえ~日立母子6人殺害事件①~

自己憐憫の夫がつけた、やり過ぎた妻へのおとしまえ~日立母子6人殺害事件②~

恵さんへの違和感

幼い子どもたちとともに突然殺害された恵さんについて、報道によれば「しっかり者のお母さん」「病院で薬剤師として働く立派な人」「働かない夫から暴力を受けていた」というようなものばかりである。
被害者という立場を差っ引いても、夫である小松被告のクズっぷりが凄いため恵さんについては同情の声しかない。
しかし、どうも私は恵さんという女性について、そういった世間の声と本人像が合致せずにモヤモヤしたものがあった。

被害者を貶める意味ではなく、客観的に冷静に恵さんという女性を見た場合、事件が起きてしまった要因もまた見えてくる。もちろん、だからといって殺されて良いはずは全くない。

続きを読む 自己憐憫の夫がつけた、やり過ぎた妻へのおとしまえ~日立母子6人殺害事件②~

強制退去で娘を殺した母親にあえて言いたい「ふざけるな」~銚子市母子家庭娘殺害事件~

平成26年9月24日

その日、千葉県銚子市の県営団地において強制退去が行われる予定であった。
対象は、その団地に7年前から入居している松谷美花(当時43歳)とその娘・可澄さん(当時13歳)が暮らす一室で、この部屋は長きにわたって月額12800円の賃料が延滞、あるいは滞納されていた。
この時点でも、最終支払いは前年の4月。それでも滞納額は10万2400円となっていた。
強制執行についての段取り、日時などは、入居者である美花には事前に知らせてはあったが、ここ数日は松谷親子とは連絡が取れていなかった。

鍵を開け、室内に入ると人の気配がある。
テレビの前に敷かれた布団に、娘がうつぶせに寝ていた。そしてその傍らで、呆けたような表情の美花が、テレビ画面を指さし、「これ、うちの子なの」などと言った。
その時点で、室内に入った執行官や業者らは娘が寝ているのではなく、死んでいるということに気づく。

美花は、テレビに映る鉢巻き姿の娘を指さし、
「頭に巻いてる鉢巻きで首を締めちゃった」
と言った。

続きを読む 強制退去で娘を殺した母親にあえて言いたい「ふざけるな」~銚子市母子家庭娘殺害事件~