特集:昭和は遠くなりにけり~4つの昭和の事件~

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私は昭和49年生まれ。ど真ん中とはいかず、すでに終盤に差し掛かったころの生まれです。
記憶にあるのは、とにかくみんなよく働いた時代ということ、テレビや雑誌などのマスコミは権威を振るい、正直なんでもありな時代。
勢いがありました。

一方で、昭和60年代というと、昭和天皇のご容態が連日報道される中、近く訪れるであろう「代わる日」に、なんとなく恐怖感にも似た暗い気持ちを持っていたようにも思います。

事件も、昭和の終わりは暗いものや衝撃的なものが多いように感じます。コンクリ事件もそうですね。

昭和の日を過ぎてしまいましたが、私の大好きな昭和の終わりに起きた事件を4つご紹介します。

ちなみに、ひとつは過去に有料記事として書いた「一人で死ね、は暴言か~道連れにしたがる人々~」内の記事とリンクしています。

なーんにも考えてない男~大阪・義姉殺害死体損壊事件~
禁断の死出の旅路~福島・男女服毒心中事件~
🔓The Killing Fields~秦野市・カンボジア難民一家殺害事件~
怨焔~大胡町・不倫仲裁逆恨み隣人焼殺事件~

どうぞお楽しみください。

なーんにも考えてない男~大阪・義姉殺害死体損壊事件~

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昭和63年10月12日

薄曇りの秋の日、徳島県小松島市の小さな港町の民家で、さみしい告別の儀が執り行われていた。
参列者はまばらで、柩ではなく骨壺を前にしての葬儀だった。

家族と思しき人々の間からは、悲痛な、押し殺したような嗚咽が時折漏れている。その中でも若い女性の哀しみ様は、事情を知る者の心を抉った。
骨壺の中には、お別れすらいえなかった大切なこの家の長女が入っていたのだ。妹は姉と大阪で同居するほど仲良し姉妹だった。

そして、姉を骨に変えたのは、その女性の内縁の夫だった。

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禁断の死出の旅路~福島・男女服毒心中事件~

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昭和62年10月29日朝 路上にて

「あんた!こんなとこに停めて邪魔やろ、あんた運転できんのか?」

愛知県西春日井郡西春町のニット製品会社の車庫前に、一台の赤い軽四自動車が停まっていた。
同社の社員が気付き、見慣れない車であること、車庫の前で邪魔なことから、運転席の女性に声をかけた。
すると、その若い女性は血色の悪い顔でこうつぶやいたという。
「ここまで来たけど、もう動けなくなっちゃった。」
わけのわからないことを言われた社員はイラつきながら、ふと車内を覗くと助手席に中年男性がいるのに気が付いた。そこで冒頭のように、その中年男性に声をかけたのだ。

男性はリクライニングを倒し、眠っているように見えたが、社員はその男性の胸の上で組まれた手を見てハッとした。
男性の手はぶるぶると小刻みに震えていたのだ。さらに、眠っていたと思った男性の目は、白目を剥いていた。
ただごとではない、そう感じた瞬間、今度は運転席の女性が口から白い泡が涎のように垂れてきた。慌てて119番通報したものの、搬送先の病院でこの男女は死亡が確認された。

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🔓The Killing Fields~秦野市・カンボジア難民一家殺害事件~

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病院にて

「あ!ソウカンさん、旦那さんが来てくれたよ」

秦野市くず葉台病院305号室。
3人部屋の病室で談笑していた入院患者が、一人の女性にそう声をかけた。
部屋の入り口には、女性の夫の姿があった。
女性は26歳のカンボジア人で、夫と3人の子供とともにこの病院の近くの住宅で暮らしていた。
持病が悪化したことから外科手術を行うために、女性は数日前からこの病院に入院していたのだ。

同室の患者らは、気をきかせて病室を出た。
直後、病室から身の毛もよだつような凄まじい叫び声が上がった。
職員らが駆け付けると、病室のドアにカギがかかっていて開かない。しばらくすると、先ほどの夫がゆらりと病室から出てきた。
周囲の人々はその姿に息をのみ、微動だに出来なかった。夫の手には、血塗れの包丁が握られていたのだ。

夫が出ていったのを確認して、急いで病室へ入ると、そこには血だらけで息絶えた女性の姿があった。

【有料部分 目次】
事件
インドシナ難民
日本社会
5月30日事件
ほころび
その日
衝撃の判決
ムアンの過去
根本
心の扉
結局、利用する

怨焔~大胡町・不倫仲裁逆恨み隣人焼殺事件

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平成8年5月2日

群馬県勢多郡大胡町。
とある民家のガレージから火の手が上がった。
隣人らの通報で消防と警察が駆け付けたが、ガレージでその家に暮らす女性と思われる焼死体が発見された。

その数時間後、赤城山の大沼近くの旅館から、沼に車が突っ込んだ、という通報も入った。
しかも、「人を殺したと言っている」とのこと。
赤城大沼に突っ込んだ車は白の乗用車で、大胡町の現場から急発進して逃走した車も、白の乗用車だった。

捜査の結果、一命をとりとめた白い乗用車の運転手の男が、元交際相手だった大胡町の女性にガソリンをかけて焼き殺したと判明。
男の回復を待って、5年後の平成13年月に逮捕となった。

この事件、地元の人らの間では忌まわしいある過去の事件を思い起こさずにはいられなかった。

昭和の終わり、この事件と同じような事件がこの大胡町で起きていたのだ。

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