我が子を失いたくなかった母親が負うべき罪は何か~長崎・新生児遺棄事件~

平成25年4月24日

とうとうこの日がやってきてしまった。
先延ばしにする間に、なんとか方法を考えるはずだった。しかし、あっという間に十月十日(とつきとおか)は過ぎ去っていった。
鈍痛は次第に強烈な痛みへと変わったが、もう後戻りはできない。

疲労困憊ではあったが、女にはまだやるべきことが残されていた。
足元には血まみれのバスタオル。それをそっと、手に取った。

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暴力夫を餓死させて晴らした妻の怨~四日市・痛風夫餓死殺害事件~

平成17年月23日夕方

近鉄四日市市駅にほど近い交番に、女が訪れた。
応対した署員に対し、付き添いの親族とみられる人に支えられながら、女は自宅で夫が死亡していることを伝えた。

県警四日市南署員が女とともに堀木2丁目の自宅アパートへ向かうと、玄関からは異様な臭気が漏れていた。

付き添ってきた親戚によれば、この女から夫が死んでいると電話を受け、驚いて一緒に交番にやってきたという。
夫は長年通風を患ってほぼ寝たきりだったというが、女は
「昨日普通に話したのに、朝になったら死んでいた」
と話した。

しかし、現場を確認した誰の目にも、夫が死亡したのが今朝ではないことは一目瞭然であった。 続きを読む 暴力夫を餓死させて晴らした妻の怨~四日市・痛風夫餓死殺害事件~

男の罪を見つめた火の玉~宮崎・独居2女性連続強盗殺人事件~

平成13年11月26日

女性はその日、隣の家の灯りが朝になっても付きっぱなしになっていることに気が付いた。
夜遅くまで仕事をして帰宅し、疲れてそのまま寝てしまったのだろう、そう考えながらその家に入っていった。
勝手知ったるその家は、女性の53歳になる娘が暮らす家で、実家の隣という安心感からか、玄関に鍵がかかっていないこともあった。
電気を消そうと寝室へ向かった女性が目にしたのは、ベッドの上であおむけに倒れ、胸から血を流して息絶えた娘の姿だった。
殺害されていたのは橋田とし子さん。西都市内でスナックを経営していた。 続きを読む 男の罪を見つめた火の玉~宮崎・独居2女性連続強盗殺人事件~

男の罪を見つめた火の玉~宮崎・独居2女性連続強盗殺人事件②~

待ち伏せ

松田は11月25日午前3時、潜伏していた資材置き場の小屋から出た後、目についた倉庫やビニールハウスなどに忍び込んでは、防寒具や食料(ミカンなど)を次々盗んだ。
そして、橋田さん方の裏手に当たる空き家に入り込み、そこでまた計画を練っていた。
すでに橋田さんを殺害してでも金品を奪おうと考えていた松田は、凶器になり得るものがないか探していた。
ふと、自転車の車輪部分にあるスポークが目に入った。
松田は、この針金状の金属をどうにか加工すれば、凶器の代わりになるのではと考えた。 続きを読む 男の罪を見つめた火の玉~宮崎・独居2女性連続強盗殺人事件②~

男の罪を見つめた火の玉~宮崎・独居2女性連続強盗殺人事件③~

知的、精神遅滞への判断

松田は裁判で精神鑑定が行われた。
弁護側は、複雑な家庭の中において十分なしつけや愛情を受けずに育ったことでいわゆる社会規範を身に着ける機会を失い、くわえて養育環境や親からの遺伝的な要素によって知能検査は軽度の精神遅滞にあたる低さになっていたことを訴えた。
また、松田は4度の窃盗での服役の過去があるが、実は幼少の頃より盗癖があったのだという。それが理由で、小学5年生から中学までを養護施設で過ごすことになったのだ。
クレプトマニアという言葉が聞かれるようになり、罰よりも治療を受けさせることが優先されるとも言われているが、松田の盗癖はこのクレプトマニアとは違うようであった。
クレプトマニアは、成育歴なども大きく関係する病気であり、摂食障害との関連性も大きいもので、利益のために盗むのではなく、盗むために盗むといわれているが、松田の場合は完全に自己の利益のためである。

そして、盗むために、自己の利益のために殺人を犯しているので、全く別物だろう。
裁判でもこの盗癖についてはさほど重要視されていないように見受けられた。 続きを読む 男の罪を見つめた火の玉~宮崎・独居2女性連続強盗殺人事件③~