片隅の記録〜三面記事を追ってpart3〜

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蒲田のラブホテルの腐乱死体

「部屋が臭くてたまらない。部屋を変えてくれ」

昭和63年1月1日、宿泊していたカップルからフロントに苦情が入った。年末年始のラブホテルは、クリスマスからの流れもあって満員御礼が続いていた。少々、清掃に手ぬかりがあったか?
ただ、その部屋のにおいは、この手のホテルにありがちな漂白剤の匂いでも、下水が詰まって湧き上がるようなものでもなかった。

…何かが腐っている?

苦情があった翌朝、ホテルは従業員二人にその部屋の点検を命じた。
ホテルの中央にある大きなベッドは、下に土台があってその上にマットレスが乗っかっているというもので、部屋を一通り点検して異常がなかったことから、最後にマットレスをあげてみることにした。

マットレスを起こした時、従業員らが見たのは、すでに腐敗が始まっていた遺体だった。

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忘れないで〜生きた証⑥〜

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長阪 優奈ちゃん(滋賀県高島市:平成18年7月5日死亡/当時2歳)

「勤務態度は真面目。口数は多くないが、しっかりしている」

母親が再婚した相手は、航空自衛官。饗庭野駐屯地で電気関係の任務についていた24歳で、上官からの評価も良かった。

滋賀県中央子ども家庭相談センターの職員も、当初は子育てに不安を抱えていた母親の様子が再婚を機に成長が見られたこともあって、それまで入所措置が取られていた2歳になる女の子を母親の元へ返すことにした。
すでに女児と母親の再婚相手は養子縁組も済んでいる。一つ上の姉(当時3歳)とともに新しい家族として再スタートを切ったその女児は、入所措置停止から2ヶ月後、無惨な姿となって命を落とした。

忘れないで~生きた証②~

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川田 康代ちゃん(埼玉県比企郡:昭和60年12月3日死亡/当時3歳)

埼玉県比企郡鳩山町内の小学校では、ある問題に直面していた。
昭和63年4月に同小学校に入学したことになっている郡内の女児が、1年経っても登校してこないどころか、自宅を訪問しても家族から「病気なので会えない、治ったら登校させる」といわれるばかりでその姿を確認できていなかったのだ。

何かがおかしいと感じた鳩山町教育委員会は、西入間署に学校教育法違反で女児の母親を告発していた。

告発を受け、家族から事情を聴いていたところ、女児の祖母が「自転車の荷台に乗せていたら落ちてしまった。その後死んだので埋めた」と供述。
警察が庭を調べたところ、子どもの白骨遺体が出た。家族の話や遺体の状況から、白骨遺体は行方が確認できていない女児であると判明した。

白骨遺体で発見されたのは、川田康代ちゃん。
康代ちゃんは双子で、妹にあたる。離婚か死別で実家に戻った母親と、別の姉、そして祖母との暮らしだった。
康代ちゃんを死なせたとして逮捕されたのは、康代ちゃんの母方の祖母、川田喜枝(仮名/当時65歳)。康代ちゃんの母親は、この喜枝の三女にあたる。
当初は事故であるかのような供述をしていた喜枝だったが、実際には布団の上で粗相をした康代ちゃんを叱ったところ、言うことを聞かなかったことでカッとなり頭を殴り、さらには体を蹴飛ばしたという。
その後ぐったりしていたが翌朝まで寝かせておいたところ、朝にはすでに死亡していた。

康代ちゃんの母親にバレるとまずいと思った喜枝は、家族の目を盗んで康代ちゃんの遺体を物置へ隠した。そして、普段からいたずらがひどかったことを持ち出し、「康代はいたずらが過ぎるので県内の専門の施設へ預けた」と言い繕った。
有り得ない話ではあるが、なぜか母親はそれを信じたという。

そして昭和61年の夏ごろに、これ以上物置に置いておくのは無理だとして庭に埋め直していた。

祖母のやったことを母親は知らなかったのか。
いや、母親も、真実を知っていたかどうかは別として、康代ちゃんがすでに死亡しているのではないかということは勘づいていた。
というのも、昭和63年度の入学児童の就学前健康診断に、康代ちゃんが参加したことになっていたのだ。
どういうことかというと、康代ちゃんだとして健康診断を受けたのは、双子の姉だったのだ。

実は姉はこの時点で他の市の施設に預けられており、姉には鳩山町からの就学案内は来ていなかった。そこで、双子の姉を康代ちゃんと偽って鳩山町の就学前健康診断に行かせていたのだ。
誰が?双子の姉を施設から連れ出し、健診を受けさせていたのは母親だった。

警察は以前から喜枝以外の人間も康代ちゃんをせっかんして怪我をさせていた事実を掴んでいた。
死体遺棄は時効が成立していたが、警察では傷害致死にあたる可能性があるとして捜査を進めたが、その後の報道はない。

康代ちゃんの死という事実だけが、残っている。 続きを読む 忘れないで~生きた証②~

忘れないで~生きた証①~

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令和になってもなくなることがない、親による虐待事件。
民法第822条に定められていた親の懲戒権というものが正当な範囲の躾に基づくものなのか、そうでないのかの判断が難しく、令和になってようやく削除となった。

昭和生まれの私が育った家庭では、幼いころは押し入れに入れられたり、廊下で正座させられたり玄関先で立って反省しろと言われたり、よほど悪いことをした時にげんこつをかまされたりすることはあっても、日常的に殴られたりということはなかった。
しかし友達の家では、「やいと」(お灸のこと)をお仕置きがわりにされたり、殴られて歯が折れたとか、そういう話は珍しいことでもなかった。

もちろん、お仕置きされた子どものやらかしは「どんだけ悪いことをしたんだ」と皆が思うようなものだったし、やられた子どもも、親の懲戒という認識があった。親だから、愛されているからこそのものだと、子どもも分かっていた。だから反省したし、誰も命の危険にさらされるような目には遭ってない。

これまで一体どれだけの子どもが、親に殺されただろうか。
理由は様々で、死んでもいいと思ってのものもあれば、あくまで躾のつもりだったというものもある。
中には信じられないが、虐待行為そのものを面白がって、というものや、夫や妻の歓心を買いたい、見捨てられたくない、自分を守るためといったものもある。

事件備忘録でも多くの虐待事件を取り上げてきた。
かねてから過去に報道されている虐待によって亡くなった子供たち一人一人の事件を短くてもいいから、その事実を書き留めていきたいと思っていて、今回からそれを始めてみようと思う。

その内容として単独記事にするものもあるが、古いものは虐待の捉え方が今と違っていたことから情報自体が少ないため時系列と結果のみ、というものも出てくるが、出来る限り取り上げていきたい。 続きを読む 忘れないで~生きた証①~

片隅の記録〜三面記事を追ってpart2〜

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千葉の転落死

「あんたはヒモのくせに。私には強い味方がいるんだ。この部屋の家賃は私が払っている。早く出ていけ!」

女は出勤前の慌ただしさも手伝って苛立っていた。
もう本当に限界。何でこんなジジイと結婚してしまったんだろう。日本人は働き者のはずだったのに。
仕事もしないでゴロゴロして、私の稼ぎにぶら下がっているジジイなんかいらない…
ていうかさっきから何をゴソゴソしているんだろう。何もかもがあーもう。腹が立つ!

「早く出てってよ!」

振り向いたその時、体に衝撃があった。

「?」

ふと見れば、体の胸あたりから、血がとめどなく溢れていた。 続きを読む 片隅の記録〜三面記事を追ってpart2〜