なーんにも考えてない男~大阪・義姉殺害死体損壊事件~

昭和63年10月12日

薄曇りの秋の日、徳島県小松島市の小さな港町の民家で、さみしい告別の儀が執り行われていた。
参列者はまばらで、柩ではなく骨壺を前にしての葬儀だった。

家族と思しき人々の間からは、悲痛な、押し殺したような嗚咽が時折漏れている。その中でも若い女性の哀しみ様は、事情を知る者の心を抉った。
骨壺の中には、お別れすらいえなかった大切なこの家の長女が入っていたのだ。妹は姉と大阪で同居するほど仲良し姉妹だった。

そして、姉を骨に変えたのは、その女性の内縁の夫だった。

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🔓The Killing Fields~秦野市・カンボジア難民一家殺害事件~

病院にて

「あ!ソウカンさん、旦那さんが来てくれたよ」

秦野市くず葉台病院305号室。
3人部屋の病室で談笑していた入院患者が、一人の女性にそう声をかけた。
部屋の入り口には、女性の夫の姿があった。
女性は26歳のカンボジア人で、夫と3人の子供とともにこの病院の近くの住宅で暮らしていた。
持病が悪化したことから外科手術を行うために、女性は数日前からこの病院に入院していたのだ。

同室の患者らは、気をきかせて病室を出た。
直後、病室から身の毛もよだつような凄まじい叫び声が上がった。
職員らが駆け付けると、病室のドアにカギがかかっていて開かない。しばらくすると、先ほどの夫がゆらりと病室から出てきた。
周囲の人々はその姿に息をのみ、微動だに出来なかった。夫の手には、血塗れの包丁が握られていたのだ。

夫が出ていったのを確認して、急いで病室へ入ると、そこには血だらけで息絶えた女性の姿があった。

【有料部分 目次】
事件
インドシナ難民
日本社会
5月30日事件
ほころび
その日
衝撃の判決
ムアンの過去
根本
心の扉
結局、利用する

怨焔~大胡町・不倫仲裁逆恨み隣人焼殺事件

平成8年5月2日

群馬県勢多郡大胡町。
とある民家のガレージから火の手が上がった。
隣人らの通報で消防と警察が駆け付けたが、ガレージでその家に暮らす女性と思われる焼死体が発見された。

その数時間後、赤城山の大沼近くの旅館から、沼に車が突っ込んだ、という通報も入った。
しかも、「人を殺したと言っている」とのこと。
赤城大沼に突っ込んだ車は白の乗用車で、大胡町の現場から急発進して逃走した車も、白の乗用車だった。

捜査の結果、一命をとりとめた白い乗用車の運転手の男が、元交際相手だった大胡町の女性にガソリンをかけて焼き殺したと判明。
男の回復を待って、5年後の平成13年月に逮捕となった。

この事件、地元の人らの間では忌まわしいある過去の事件を思い起こさずにはいられなかった。

昭和の終わり、この事件と同じような事件がこの大胡町で起きていたのだ。

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🔓女たち~3つの殺された女の話~

まえがき

女はいくつもの顔を持つ。貞淑な妻として、強くひとり生きる女として、子を思う母として。

しかしそれら表の顔とは違う顔を見せるとき、運命の歯車は軋み始める。

メールもLINEも携帯電話すらない昭和の時代、物が溢れ多くの人は意識せずとも中流と呼ばれたあの頃、必死で生き抜こうとする女、誰にも言えない暗い過去を背負った女、なんの不満もないはずの恵まれた生活にため息をつく女がいた。

昭和に生きた、3人の女の話をしたいと思う。

【有料部分 目次】
翻弄された女
上野の事件
それぞれのそれまで
女の意地
「あの女には負けたくない」
くれない族の結末
調布の主婦
違い過ぎる二人
男の過去
鬼か、それとも
身元不明の遺体
ゆきずりの女
女の罪
もがき疲れて

妄想男の理不尽な憤怒~富里市・一家3人惨殺放火事件~

白昼

「やった!やってやった!!バカたち、なにをやってるんだ」

とある新興住宅地の一角にある美容室から火の手が上がったのは夏休みの土曜日。
多くの家庭では昼で仕事も終わり、昼食を家族でとる、そんなありふれた日常が突然ぶち壊された。

家々が密集する場所とあって、火災に気づいた近隣住民らは必死の消火活動を続けていた。
そんな中、火が出た家の裏手の家の2階から、その家の住民が奇声を発しているのを皆が見ていた。

その数分後、今度はその家から火が出た。

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