🔓破滅のロト6~舞鶴市・母親殺害幼児遺棄事件~

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください。なお、有料記事を無断で転載、公開、購入者以外に転送した場合の利用料は50万円~となります。
**********

 

兄妹

平成17年3月29日午前9時50分、京都府福知山市。
その日、男性は仕事でダンプカーを運転し、曲がりくねった府道530号線を走行していた。
春の山里の景色が広がるその道は、普段あまり車の往来も地元民や工事関係者のみでさほど多くない。春先とはいえ、朝晩は気温が5度以下になるほど冷え込み、運転席の窓をすかすと気持ちの良い冷たい風が吹き込んできた。

ふと、道路沿いを流れる上三岳川が目に入った。
道路との高低差は5mほどあり、普段ならば気にも留めない小さな川だが、運転手は思わずダンプを停めた。

上三岳川の川岸に、なにか、いた。

運転手がガードレール越しにのぞき込むと、そこにはうつぶせで両足を川の水につけた状態の幼児が倒れていたのだ。

仰天した運転手は急いで川へと駆け降りると、その幼児の生死の確認をした。生きている。運転手は幼児を抱きかかえると急いで最寄りの民家へ駆け込み、119番通報した。

幼児は女の子で、救急隊員らの保温によって一命をとりとめたものの、上室性期外収縮、徐脈を伴う体温32.5度、直腸温度は34度の低体温となっており、凍死の一歩手前という重篤な状態にあった。

ただこの時点で、付近の住民はこの女の子を全く知らないといい、この年頃の女児の迷子、捜索願も出ていなかった。女の子も名前を話せなかったことから、その身元は分からなかった。

女児の保護から4日後の4月1日午後3時。
高知県吾川郡いの町長沢の国道で、幼い男の子がとぼとぼと歩いているのを住民が見つけ、110番通報した。
男児は4歳で、名前を話すことができた。そこで、署員らは驚愕する。
この男児は、3月31日に京都府警に捜索願が出されていた男の子だった。京都の男の子がなぜ、高知のしかも山奥に?

しかも、行方不明になっていたのはこの男の子だけではなかった。
男の子には2歳の妹がおり、さらには母親の所在も31日夜以降、わからなくなっていた。

その後、京都府警との連絡により、4日前に福知山市内で保護された女の子の兄と判明した。

母親の所在は依然わからずにいたが、警察では、もう一人所在のわかっていない男の存在を把握していた。

※この記事は令和4年8月30日まで無料で公開されていたものです。条件に合致する方は無料でお楽しみいただけます。
そうでない場合も、既読でないかご確認の上、購入にお進みください。


【有料部分目次】
事件発覚
男のそれまで
女のそれまで
破滅へのロト6
傷害事件
限界
目撃者
殺意の形成
こんなに尽くしているのに

🔓Love & Father~八街市・父娘強盗殺人放火事件~

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください。なお、有料記事を無断で転載、公開、購入者以外に転送した場合の利用料は50万円~となります。
**********

 

平成22年5月11日

男性はその日、火災発生を知らせる防災無線に耳をすませた。
場所によっては、消火活動をする必要もあるため、住所を聞き取ろうとして息をのんだ。
男性は急いで現場に駆け付けたが、その家はすでに2階から炎が噴き出し、手が付けられない状態となっていた。

その家は、男性が5年前に建築を請け負った家だった。

八街の放火

平成22年5月11日午後2時半ころ、千葉県八街市小谷流の民家が燃えていると、近所の住民から119番通報があった。
駆け付けた消防隊が火を消し止めたものの、木造二階建ての立派な家は見るも無残に焼け落ちた。

この家は、農業の中村行夫さん(当時76歳)と長男(46歳)、そして長男の娘ふたりの4人暮らしだった。
火災は平日の午後に起こっており、長男と娘二人はそれぞれ学校と職場へ行っており無事が確認された。行夫さんも、火災が起きた時いつも使用している軽四自動車が見当たらなかったことから、行夫さんも出かけていて無事なのでは、と思われたが、その後の現場検証で、1階の六畳間で遺体が発見された。

近所の人らは、「車がなかったからてっきりお孫さんを迎えに行っているのだとばかり思っていた」と話し、一家を襲った突然の不幸に同情を寄せた。

しかし、一つおかしな点があった。

住民らが言うように、普段行夫さんが使用していた軽四がなくなっていたのだ。
長男も使用しておらず、行夫さんが自宅で死亡している以上、行夫さん以外の誰かがその軽四を乗って出ていった、としか思えなかった。
警察では当然、事件を視野に入れて捜査したが、後日行われた司法解剖の結果、行夫さんの遺体には背中に刺し傷があったことが判明。さらに、胃の内容物から食後4時間ほどで死亡していること、そして、喉には微量のすすも認められたことから、刺されてすぐに火を放たれたとみられた。

警察は殺人事件と断定、目撃情報や、なくなった車の捜査を始めた。
まずもたらされたのは、行夫さん宅の近くの山道に放置されていた見慣れぬ自転車の存在だった。それは2台並べて置いてあり、最近とめられた、という感じだったという。
また、家の中では物色されたような跡もあり、さらには行夫さんの家族以外のなにものかが「食事」をした形跡があったという。
以上のことから、犯人が行夫さんを殺害後に室内を物色し、食事をして火を放ち、行夫さんの軽四を盗んで逃走した、と警察では見ていた。

そしてもうひとつ、重大なある事情がこの家には悩みの種として覆いかぶさっていたことも分かった。

行夫さんの孫娘の一人が、ストーカー被害に遭っていたのだ。

【有料部分 目次】
ストーカー
八街の父と娘
「愛に年齢は関係ないっ!」
父親の暴走
凶行
無罪主張の父
A子
少女たち

🔓魔が刻~群馬・幼児ダム突き落とし事件~

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください。なお、有料記事を無断で転載、公開、購入者以外に転送した場合の利用料は50万円~となります。
**********

 

平成11年5月3日

埼玉県妻沼町。
群馬県警の捜査車両は一台の車とカーチェイスさながらの追跡劇を作り広げていた。
運転していたのは男。男が運転していたのは、群馬県館林市内で盗まれた車であり、その車には、持ち主の子供たちが乗っていた、はずだった。

事件概要

平成11年5月3日、GWのさなかのこの日、その車は館林市松原の住宅展示場にあった。
所有者は館林市内在住の会社員、田島修さん(仮名/当時37歳)。妻と二人の子供とともに、この住宅展示場を訪れていた。
ぽかぽか陽気の中、子供たちは楽しい休日を満喫し、後部座席で寝入っていた。
田島さん夫妻は子供たちを起こそうとしたが、気持ちよさそうに眠っていたため、エアコンをかけエンジンをかけたまま車を離れた。
住宅展示場へ入って、目当ての家の二階に上がってふと、修さんが外に停めた自分の車のほうを見て驚愕した。
あったはずの車が、消えていたのだ。

「車がない!子供が乗ってるんだ!!」

展示場に入ってわずか6分。すぐさま110番通報し、直ちに緊急配備が敷かれた。

午後8時半、冒頭の通り国道17号線を群馬から埼玉に入ったところで捜査車両に行く手をふさがれたその車は、ガードレールにぶつかりながらも逃走を図ったものの、逃げ切れず逮捕となった。
が、肝心の子供の姿が車の中にはなかったのだ。

さらに、警察が男の身元を調べたところ、なんと別の事件で茨城県警に指名手配されていた男だということが判明した。
【有料部分 目次】
男のそれまで
暗雲低迷
どうしようもない男
誤算からの破滅
自責
その後

🔓クレイジーデイジー~青森・武富士弘前支店放火事件②~

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください。なお、有料記事を無断で転載、公開、購入者以外に転送した場合の利用料は50万円~となります。
**********

 

(残り文字数:14,060文字)



🔓双葉ハイムで死んだ女②~宇都宮・男女4人殺傷放火事件~

この記事を転載あるいは参考にしたりリライトして利用された場合の利用料金は無料配信記事一律50,000円、有料配信記事は100,000円~です。あとから削除されても利用料金は発生いたします。
但し、条件によって無料でご利用いただけますのでこちらを参考になさるか、jikencase1112@gmail.comまで連絡ください。なお、有料記事を無断で転載、公開、購入者以外に転送した場合の利用料は50万円~となります。
**********

 

平成一二年八月五日

茨城県大洗町の海岸から東に約四〇キロ離れた太平洋上で、その日釣りをしていた船が漂流遺体を発見した。
那珂湊海上保安部が収容したところ、その遺体は二〇代から三〇代半ばと思われる成人男性で、背中一面に入れ墨があった。刺青の状態から、おそらく日本人だと思われた。
ベージュの半そで姿にスウェット姿、足元は素足。遺体の状態から死後一週間ほど経過していると見られた。

平成一二年八月二一日


深夜二時半。その男性は、火災報知機のベルと、大きな叫び声で目を覚ました。

「助けてくれ!!」
宇都宮市一条にある双葉ハイム最上階の十二階の一室から聞こえるその声に驚いた男性は一一〇番通報。すぐさま宇都宮署員が駆け付けると、一二〇一号室から煙が出ており、室内には衣服の乱れた男性二名、女性二名が倒れていた。

部屋の主は小堀英二さん(仮名/当時三七歳)で、小堀さんも部屋の中で倒れており、それ以外に栃木県高根沢町の中村慎吾さん(仮名/時三七歳)、宇都宮市鶴田町の無職、稲見晃子さん(仮名/当時三一歳)そして、宇都宮市宝木本町の飲食店従業員、小林潤美(ますみ)さん(当時二四歳)がいた。
小堀さん、中村さん、稲見さんは胸や背中を刃物で刺されたような傷を負い、稲見さんは左腕に火傷も負っていた。
三人の命に別状はなかったが、小林さんは収容先の病院で死亡した。ただ、小林さんには致命傷となるような外傷が見当たらなかった。

室内はソファなどの家具が焼けており、三人の証言で暴力団員風の男らが複数で三人の両手足をひもで縛り、刃物で傷を負わせたうえに灯油をまいて火を放ったことが分かった。
男らが出て行った後、もがいているうちにたまたま縛られていたひもがほどけた中村さんが自力で消火したという。

外傷のないにもかかわらず死亡した小林さんの死因は、後に大量の覚せい剤を打たれたことによる急性薬物中毒死と判明。
その場に居合わせた三人の証言からも、犯人と思われる男らのうちの主犯格が、小林さんに無理やり覚せい剤を注射したことがわかった。
一命をとりとめた三人も、それぞれ覚せい剤反応が出たが、日常的に使用していた痕跡は四人になく、それらも犯人の男らが強制的に注射したということも判明した。
現場となったマンションは、大通りに面した大きなマンションで、周辺には店舗、学校もある。そういったどこにでもあるような日常の中で、若い女性二人を含む四人が脅迫され、覚せい剤を打たれた挙句室内に火を放たれ、結果、一番若い小林さんが死亡するという事件が起こり、この時点では犯人らも逃走中であったため、宇都宮市内は物々しい雰囲気に包まれていた。

被害者と犯人の関係

当初、被害者の小堀さんと中村さんらは、「四人組の男にやられた」「暴力団員風だった」などと、犯人を知らないといった供述をしていた。
しかし、捜査員らが話を聞くうちに稲川会系大前田一家後藤組の後藤良次(当時四二歳)が主導して事件を起こしたことを把握。その日のうちに放火、殺人未遂容疑で後藤を指名手配した。

ただこの時点では「何らかのトラブル」があったことは推測できるものの、なぜ稲見さんと小林さんまで巻き込まれたのかもわからず、そのトラブル自体もつかめていなかった。
中村さんは以前、後藤の運転手をしていたことがあったという。自動車販売を行っていた小堀さんとはその後親しく付き合っていた。小堀さんもまた、過去にマンションの家賃に関するトラブルを暴力団との間で抱えていたという。
当日は、午後九時ころに市内のパチンコ店で後藤と合流し、小堀さんが暮らす双葉ハイムへ中村さんとともに車で向かっていた。
しかしその際、部屋の鍵を小堀さんが持っておらず、交際相手の小林さんに鍵を持ってこさせることになった。そして、その小林さんを車でマンションへ送ってきたのが稲見さんだった。

この双葉ハイムは、一般の人々が多く入居している普通のマンションだが、当時の住民の話によれば、「事件の数か月前から暴力団員風の人の姿を見かけるようになった。それ以降、夜男性が怒鳴りあうような声を聞くこともあった」ということだった。
小堀さんが入居していた最上階の部屋は、同一部屋内に一階と二階があるメゾネットタイプで、他の部屋に比べるとつくりも家賃も立派である。マルチ商法なども手掛けていたという小堀さんにはある程度の収入があったと見られた。

事件から一週間たっても、依然として後藤の行方は知れず、共犯の男らの行方も分かっていなかった。
小堀さんらの供述もあいまいな部分が多く、捜査はなかなか進まなかった。
本人らの供述や知人らへの聞き取りで、小堀さんと後藤の間で金銭トラブル、人間関係のトラブルがあったことまではわかっており、その話し合いが決裂したあげくの犯行との見方は固まってはいたものの、大量の覚せい剤を打ち、縛り上げた状態で火を放つという犯行に至らせた決定的な動機はわかっていなかった。
三人は犯行時に大量の覚せい剤を打たれた影響で記憶もあいまいだったが、小林さんは交際相手の小堀さんから後藤の話を聞いてはいたもののそれ以上の接点はなく、稲見さんに至ってはまったく接点がなかった。
そのため、小林さんと稲見さんの二人は、たまたま巻き込まれたとの見方が強まっていた。

逮捕から起訴

事件発生から一〇日。この日宇都宮署の捜査本部は、埼玉県松伏町のホテルにいた後藤を発見。同時に、共犯として指名手配されていた後藤組幹部の小野寺宣之(当時三一歳)、無職の浦田大(当時三四歳)、そして出頭してきた土木作業員の沢村勝利(当時三七歳)を逮捕した。
容疑は後藤と小野寺が現住建造物等放火未遂、殺人未遂、逮捕監禁、浦田と沢村は逮捕監禁だった。
その際、沢村以外の三人は自動式短銃一丁も所持していたため、銃刀法違反(共同所持)でも逮捕された。

後藤と小野寺は容疑を否認したが、浦田と沢村は容疑を認めていた。

九月七日。送検された後藤は、当初こそすべてを否認していたものの、この頃から少しずつ同期に関する部分を話し始めていた。
また、死亡した小林さんを含めて四人に覚せい剤を注射したのも後藤本人であると認め、殺人容疑でも追及されることになった。
そして新たに暴力団幹部の吉澤浩(当時三七歳)と、暴力団員の男(当時二一歳)もこの日指名手配された。

九月二一日。最初に逮捕された四人はこの日宇都宮地裁に起訴された。また、警察ではこの四人を強盗致死の容疑でも再逮捕する方針を決めていた。
四人を監禁した後、稲見さんのセルシオと現金二万円弱、小堀さん宅にあったペアの腕時計などを奪っていたことが判明していたのだ。

後藤をはじめ、計六人が逮捕されたこの事件は、暴力団員が一般人四人を死傷させた事件として扱われたが、裁判が始まり、トラブルの全容などが明らかになると、複雑な人間模様が露呈することとなった。

【有料部分 目次】
事の発端
阿鼻叫喚
大洗町の漂流遺体
ヤクザのメンツと別の顔
人間性のかけら
人生が”あおり運転”
被害者と言えたか
凶悪