絶望の淵の先にあるもの~香川・父親撲殺事件~

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昭和50627

「主文、本件抗告を棄却する。」

高松高等裁判所の小川豪裁判長は、この日、ある少年事件の抗告を棄却する決定を出した。
加害者は17歳の女子少年。彼女は昭和50514日に、高松家庭裁判所において、中等少年院への送致が決定していたが、それを不服として抗告したものだった。
彼女の罪は、父親を手斧で殺害するという非常に重大なもので、高松家庭裁判所は本来ならば検察官送致も十分考えられるとしたが、その内容を考慮して中等少年院送致を決めた、としていた。

彼女をそこまでさせた事件の背景とは。 続きを読む 絶望の淵の先にあるもの~香川・父親撲殺事件~

私がやらなければ~大阪・実父殺害事件~

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大阪家庭裁判所にて

夏の日差しが日に日にその強さを増してきた7月、大阪家庭裁判所では一人の少女に対する保護観察処分の決定がなされた。

少女は16歳、大阪府内の高校に通う高校生だった。

しかし少女が犯した罪は、殺人。しかも被害者は、実の父親だった。
検察官送致もあり得る実父殺害だったが、大阪家庭裁判所の判断は、
「本件の決定的要因は父親にある」
とし、少女を少年院などに送致することはむしろ少女の円滑な社会復帰を妨げるとの観点から、保護観察官による直接的、長期的な指導がなされるべきというものだった。

少女と父と、その家族の辿った道のりとは。 続きを読む 私がやらなければ~大阪・実父殺害事件~

もうひとつの「MOTHER マザー」~桐生市・高齢女性殺害事件~

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川口の事件

平成27年年94日、東京高等裁判所の秋葉康弘裁判長は、強盗殺人などの罪に問われた事件当時17歳の少年に対し、控訴棄却、懲役15年の一審判決を支持する判決を言い渡した。
少年は、平成26年に川口市で起きた高齢夫婦強盗殺人の実行犯であり、その高齢夫婦の孫だった。
裁判では、被害者夫婦の娘であり、少年の母親でもある女も強盗と窃盗の罪で起訴されていたが、そもそもこの母親による「殺してでも借りてこい」という指示があったことが明らかとなり(母親は現在も否定)、また、少年の信じられない不遇な生い立ちにも注目が集まった。

母親の判決は懲役46月、その後この事件は令和2年に長澤まさみ主演で映画化された。

その、ずっと前。
平成16年にも、同じく母と息子が共謀して祖母を殺害、その金を奪うという事件があった。

もうひとつの「MOTHER マザー」。 続きを読む もうひとつの「MOTHER マザー」~桐生市・高齢女性殺害事件~

過剰防衛~ふたつのDV反撃事件~

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まえがき

DV、それは夫婦間、恋人間で起こる精神的、肉体的、経済的なあらゆる分野における暴力の全てを指す。
1970年代にアメリカでDVの概念が作られ、その後平成13年にようやく日本でDV防止法が施行されたが、当時その認知件数は配偶者暴力相談支援センターに寄せられたものが約36,000件、警察が把握したものが約14,000件。
それは年々増加の一途をたどり、令和元年には警察への相談件数だけでも11万件を超えた。

これは、単にDVが増えた、ということではなく、DVの概念が広まり、それまではDVだと思われていなかったものがきちんとDVであると言われるようになったこともあるだろう。
たとえば、いまだにDV=暴力、だと思っている人は男女問わずいる。しかし、DVは「外出を制限する」「無計画な買い物をする」「無視する」「他人の前で恥をかかせる」「常識的な性交渉に応じない、または強要する」といったことまで多岐にわたる(分類詳細)。

そのDVから逃れるために、もし、相手を殺してしまったら。命の危険を感じて咄嗟にとった行動で相手が死亡してしまったら。

昭和と平成に起きたふたつの事件と、その結末である。

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残念な家族~岐阜・嬰児殺害コインロッカー遺棄事件~

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昭和60830

暑い盛りの岐阜市。名鉄新岐阜駅はその日も多くの乗客や、隣接する新岐阜百貨店の客らで賑わっていたが、その百貨店の一階北東側のコインロッカーの周辺には警察官らの姿があった。

異臭がする、という通報で駆けつけた警察官がコインロッカーを開けると、そこにはビニール袋に包まれた嬰児の遺体が押し込められていたのだ。

嬰児は生後間もない男児で、へその緒が付いたまま。当然ながらすでに死亡、腐敗が始まっていた。

警察では生後間もなく殺害して遺棄されたとして、岐阜市内の産婦人科などに聞き込みをしたが、不審な妊婦や、出産したのに出生届が出ていないといった事案は見つからなかった。

しかし2年後、ひょんなことからこの事件が解決となった。そこには、登場人物全員残念としか言いようのない秘め事があった。

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