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嘱託殺人 松山地裁 42号法廷
被告人 織田由佳(おりた ゆか) 昭和61年8月10日生まれ (現在39歳)
小柄、痩せている。色白で本当にはかない感じの女性。腰の下まで伸びた長い黒髪を一つにまとめている。入廷時から泣いている。
【傍聴記】Community~愛媛・消防団員放火事件~
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その人は、私の過去のいろんな場面にいた。
学校、会社、家の近所……
いろんな、小さな集団の中に、その人はいつもいた。
彼らは、どうしてそこにこだわったのだろうか。
火をつけた男
愛媛県今治市。しまなみ海道の愛媛県側入り口として、美しい瀬戸内の島々と世界に誇る地場産業、造船を擁する街。
その、市内中心部から少し離れた場所の、半径1,6kmの範囲で連続不審火が起きた。
10月25日深夜から5日間に、資材置き場や廃車置き場、池ののり面の雑草や倉庫などから火が出、幸いけが人や死者は出なかったものの建物などが全焼した。
現場はいずれも火の気はなく、今治市消防本部と今治署は連続放火事件の可能性を視野に地元の消防団と連携して捜査と警戒にあたった。
犯人逮捕は早かった。
令和3年11月17日未明、今治署は今治市内の倉庫の壁に火をつけたとして、市内の20代の男を放火の疑いで逮捕した。実は逮捕されたきっかけは、先の連続不審火ではなく、11月17日午前2時過ぎに起きた倉庫が燃える火災だった。
火災発生を受け、現場に臨場していた捜査員が付近にいた男に話を聞いたところ火をつけたことを認めたという。しかも、男の家は火が出た倉庫の「隣」だった。
さらに驚くべきことに、男は今治市の消防団に所属している消防団員だったのだ。
連続不審火が起きた際、その消火活動にもあたっていたという男。
消防団員が放火するという事件に興味を持って、私は裁判を傍聴することにした。 続きを読む 【傍聴記】Community~愛媛・消防団員放火事件~
【傍聴記】父のいた風景~松山市・実父傷害致死事件~
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令和3年、10月25日松山地方裁判所41号法廷。
「主文。被告人を懲役5年に処す。」
傍聴席の女性と男性が、若干うつむいた。予想通りだったか、それとも、期待外れだったのか。被告人は特に動揺した様子はなく、背筋をまっすぐ伸ばして裁判長の言葉を聞いていた。
傍聴席の女性は、被告人の暴力によって夫を奪われた。傍らの男性は、被告人によって父を奪われた。
しかしふたりは、亡くなった夫、父よりも、というよりただひたすらこの被告人の身を案じ続けていた。
被告人は家族だった。 続きを読む 【傍聴記】父のいた風景~松山市・実父傷害致死事件~
暴走反応〜松山市・同居女性傷害致死事件〜
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松山地裁第41号法廷にて。
令和4年2月2日から始まったその裁判は、交際していた女性を同居していた男が死なせたという事件についてだった。
奇しくもその裁判が始まった日は、2年前に事件が起きた日と同じ日。すでに保釈されていた被告の男は、スーツを着て髪も短く刈り、神妙な面持ちでメモをとりながら裁判に臨んでいた。
二人の間に何があったのか。なぜ男は愛する人を死なせてしまったのか。
当初の報道では、痴話喧嘩の末に体力で勝る男が女性を死なせたという印象だったが、弁護側は無罪を主張。
被害者には心臓に不安な点があったというのが根拠となっていたが、裁判が進むにつれて明らかになったことがもう一つあった。
自分でどうにかしたかった男と、男が全てを受け入れたがために制御不能となった女の事件。 続きを読む 暴走反応〜松山市・同居女性傷害致死事件〜
おもいあがり~愛媛・高知同居男性傷害致死死体遺棄事件①~
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令和2年1月27日
「被告と被害者は、一心同体だったのです」
高知地裁204号法廷。
その裁判は、こんな弁護人の冒頭陳述から始まった。
被告人席に座るのは、長身で面長、銀縁の眼鏡をかけてうつむく男。長身のわりに、どこか自信のなさそうな、気の弱そうな印象を受ける。
男は2年前の冬、愛媛県西条市で同居していた60歳の男性に暴力を振るい、そのあげくに死亡させ、さらには遺体を高知県いの町まで運んで焼き棄てた疑いで起訴されていた。
罪状は、傷害致死および死体損壊、遺棄。先に起訴、審理された死体損壊と遺棄については男も認めている。
しかし男は、傷害致死を否認していた。